NICT、日常会話と行動を学習するロボット技術を開発

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2007/06/15 10:08

 情報通信研究機構(NICT、田中栄一理事長代行)は6月13日、日常生活支援ロボット分野で、対話と行動を学習するロボットの知能化技術の開発に世界で初めて成功したと発表した。

 情報通信研究機構(NICT、田中栄一理事長代行)は6月13日、日常生活支援ロボット分野で、対話と行動を学習するロボットの知能化技術の開発に世界で初めて成功したと発表した。

 ロボットが幼児の発達過程と同じように、人間とのやり取りを通して利用者の意図や状況を適切に理解するコミュニケーション能力を学習することが可能となった。実用化すれば、これまで障壁とされてきた生活環境への言語処理適応問題が解決し、日常生活支援ロボットに不可欠な、利用者の生活空間や習慣に応じた自然で効果的なコミュニケーションを実現できる。さらに、音声対話インターフェイス分野の新たな市場の創出も見込める。

 日常生活支援ロボットの研究開発は、世界的に日本がリードしているが、ロボットの対話機能に関しては、設計者によって与えられた固定言語知識に基づく言語処理技術を採用しているため、ロボット自身が利用者ごとに異なる状況に応じた発話の意味を適切に理解することができなかった。

 今回の研究では、あらかじめ言語知識を与えるのではなく、利用者の状況に合った対話と行動の言語能力を、ロボット自身が音声・画像・動作によるコミュニケーションを通して学習する技術を開発。従来の言語学習型ロボットが名詞のみを用いた学習だったのに比べ、行動の学習や、名詞に加えて動詞や文法も学習できるようになった。さらに、言語的知識や行動に関する非言語的知識、実世界知識などさまざまな知識を関連付ける方法も考案し、状況に応じて利用者の意図を適切に推定できるようにした。

 これにより、人間とのコミュニケーションを通して、その場で数十個の単語と単純な文法などを学習し、利用者と対話することができる。今後、「いつものかばんを持ってきて」などの発話に対して適切に行動したり、気が利いたタイミングで「雨が降りそうだから傘を持って出かけた方がいいですよ」などと教えてくれる機能の付加も見込めるという。NICTでは、より日常的な生活に近い環境で、実用的な知識の学習機能・性能の評価・検証に取り組む。