無線LANに地殻変動? 無料相互利用の「FON」専用ルーターがシェア1位獲得
個人所有のアクセスポイントを、世界中のユーザー同士で共用しようという相互利用型の無線LANサービス「FON」が浸透しつつある。サービスを利用するのに必要な専用の無線LANルーター「LaFonera」が、4月第2週の「BCNランキング」無線LANカテゴリーで販売台数シェア1位を獲得したからだ。その人気ぶりを検証しながら、「FON」サービスそのものについても概要をまとめた。
個人所有のアクセスポイントを、世界中のユーザー同士で共用しようという相互利用型の無線LANサービス「FON」が浸透しつつある。サービスを利用するのに必要な専用の無線LANルーター「LaFonera」が、4月第2週の「BCNランキング」無線LANカテゴリーで販売台数シェア1位を獲得したからだ。その人気ぶりを検証しながら、「FON」サービスそのものについても概要をまとめた。
●店頭キャンペーンが功を奏し、1位に輝いた「LaFonera」
このスペイン生まれのユニークなサービスが日本に上陸したのは06年12月。専用無線LANルーター「LaFonera」も発売された。そして4月の第2週(4月9日-15日)では、ついに無線LAN製品全体のランキングで1位を獲得。販売台数シェアは11.7%を記録した。
「LaFonera」は、白色で幅93.5×高さ25.5×奥行き70mmとコンパクトな無線LANルーター。「IEEE802.11g/b」規格に対応し、暗号化方式はWPA/WEP/WPA2が利用できる。発売直後の06年12月第1週(12月4日-11日)から販売台数シェア1.0%で26位にランクインしており、その後じわじわとシェアを伸ばしてきた。07年に入ってからはしばしばトップ10に顔をのぞかせるようになり、今回、初めて首位を獲得した。「FON」の知名度が高まるにつれ専用無線LANルーターのシェアも伸びていることが要因に挙げられる。さらに、3月にフォンが伊藤忠など3社と資本業務提携を結んだのをきっかけに、大キャンペーンを実施したことも大きい。
パソコンとPCパーツの専門店「ツクモ」を運営する九十九電機が、4月中旬に全店で「LaFonera」の店頭キャンペーンを実施。通常1980円で販売している「LaFonera」を500円で販売した。秋葉原地区では午後2-3時には売り切れになる店舗が続出するほど盛況だったという。この九十九電機のキャンペーンが功を奏し、「LaFonera」を1位に押し上げたようだ。
●「FON」とは一体どんなサービスなのか?
では「LaFonera」の人気の根幹となる「FON」というサービスについて触れてみよう。利用するのは簡単。まず「LaFonera」を購入し設置。その後「FON」の専用サイトでユーザー登録をすると、無線LANの相互利用型サービス「FON」のメンバー「Fonero(フォネロ)」になれる。「Fonero」になれば、設置したAPを無料開放する代わりに、ほかのユーザーが開放しているAPを無料で利用できる。基本的にはユーザー自身がAPを設置して開放するという、ユーザー主導のサービスだ。
「Fonero」になれば、自宅で無線LAN環境を楽しめるだけではなく、自宅外でも無線LANを楽しむことができる。ただし、「LaFonera」は「FON」のユーザーIDがないと接続することができないという制限がある。
また「FON」は国内だけではなく、海外でも展開しており、出張や旅行などで海外に赴いた時も「FON」のAPを利用して無線LANを楽しむことができる。「FON」を展開している国や、利用できるエリアなどは専用サイトの「FONマップ」で確認できる。
●安くて便利な「FON」サービス、課題は?
ユーザー登録料は無料、外出先や海外でも無料で無線LANを利用できる、というとメリットだらけのように聞こえるが、これからの課題もある。「LaFonera」の通信可能範囲は半径50mほどと狭い。そのうえ自宅に設置するユーザーが多いため、住宅地にアクセスポイントが多い状況になっている。さらに、07年3月末時点で国内で約1万か所のAPが開放されたが、そのほとんどが首都圏に集中しており、地方ではまだまだ浸透していないのが現状だ。
また、インターネットプロバイダー(ISP)との契約上の問題もある。「通信回線やインターネット接続アカウントを他人に提供してはならない」という条項を掲げているISPでは、利用できない。さらに、FONの利用を禁止しているISPもある。一方、こうした条項のない「BB.excite」「isao.net」「インターリンク」などのISPであれば問題なく利用できる。「FON」を始めてみたい、と思ったユーザーはまず自分が契約しているプロバイダーの利用契約を確認したほうがいいだろう。
日本でのサービスはまだ始まったばかり。課題も多い。しかし「FON」は、これまでの無線LANサービスの概念を根底から覆すまったく新しい試み。「将来性」に大いに期待したい。(WebBCNランキング編集部・山下彰子)
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など21社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。
個人所有のアクセスポイントを、世界中のユーザー同士で共用しようという相互利用型の無線LANサービス「FON」が浸透しつつある。サービスを利用するのに必要な専用の無線LANルーター「LaFonera」が、4月第2週の「BCNランキング」無線LANカテゴリーで販売台数シェア1位を獲得したからだ。その人気ぶりを検証しながら、「FON」サービスそのものについても概要をまとめた。
●店頭キャンペーンが功を奏し、1位に輝いた「LaFonera」
このスペイン生まれのユニークなサービスが日本に上陸したのは06年12月。専用無線LANルーター「LaFonera」も発売された。そして4月の第2週(4月9日-15日)では、ついに無線LAN製品全体のランキングで1位を獲得。販売台数シェアは11.7%を記録した。
「LaFonera」は、白色で幅93.5×高さ25.5×奥行き70mmとコンパクトな無線LANルーター。「IEEE802.11g/b」規格に対応し、暗号化方式はWPA/WEP/WPA2が利用できる。発売直後の06年12月第1週(12月4日-11日)から販売台数シェア1.0%で26位にランクインしており、その後じわじわとシェアを伸ばしてきた。07年に入ってからはしばしばトップ10に顔をのぞかせるようになり、今回、初めて首位を獲得した。「FON」の知名度が高まるにつれ専用無線LANルーターのシェアも伸びていることが要因に挙げられる。さらに、3月にフォンが伊藤忠など3社と資本業務提携を結んだのをきっかけに、大キャンペーンを実施したことも大きい。
パソコンとPCパーツの専門店「ツクモ」を運営する九十九電機が、4月中旬に全店で「LaFonera」の店頭キャンペーンを実施。通常1980円で販売している「LaFonera」を500円で販売した。秋葉原地区では午後2-3時には売り切れになる店舗が続出するほど盛況だったという。この九十九電機のキャンペーンが功を奏し、「LaFonera」を1位に押し上げたようだ。
●「FON」とは一体どんなサービスなのか?
では「LaFonera」の人気の根幹となる「FON」というサービスについて触れてみよう。利用するのは簡単。まず「LaFonera」を購入し設置。その後「FON」の専用サイトでユーザー登録をすると、無線LANの相互利用型サービス「FON」のメンバー「Fonero(フォネロ)」になれる。「Fonero」になれば、設置したAPを無料開放する代わりに、ほかのユーザーが開放しているAPを無料で利用できる。基本的にはユーザー自身がAPを設置して開放するという、ユーザー主導のサービスだ。
「Fonero」になれば、自宅で無線LAN環境を楽しめるだけではなく、自宅外でも無線LANを楽しむことができる。ただし、「LaFonera」は「FON」のユーザーIDがないと接続することができないという制限がある。
また「FON」は国内だけではなく、海外でも展開しており、出張や旅行などで海外に赴いた時も「FON」のAPを利用して無線LANを楽しむことができる。「FON」を展開している国や、利用できるエリアなどは専用サイトの「FONマップ」で確認できる。
●安くて便利な「FON」サービス、課題は?
ユーザー登録料は無料、外出先や海外でも無料で無線LANを利用できる、というとメリットだらけのように聞こえるが、これからの課題もある。「LaFonera」の通信可能範囲は半径50mほどと狭い。そのうえ自宅に設置するユーザーが多いため、住宅地にアクセスポイントが多い状況になっている。さらに、07年3月末時点で国内で約1万か所のAPが開放されたが、そのほとんどが首都圏に集中しており、地方ではまだまだ浸透していないのが現状だ。
また、インターネットプロバイダー(ISP)との契約上の問題もある。「通信回線やインターネット接続アカウントを他人に提供してはならない」という条項を掲げているISPでは、利用できない。さらに、FONの利用を禁止しているISPもある。一方、こうした条項のない「BB.excite」「isao.net」「インターリンク」などのISPであれば問題なく利用できる。「FON」を始めてみたい、と思ったユーザーはまず自分が契約しているプロバイダーの利用契約を確認したほうがいいだろう。
日本でのサービスはまだ始まったばかり。課題も多い。しかし「FON」は、これまでの無線LANサービスの概念を根底から覆すまったく新しい試み。「将来性」に大いに期待したい。(WebBCNランキング編集部・山下彰子)
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など21社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。