塗り替わったDVDレコーダー勢力図、機種別もメーカー別もシャープが首位に

特集

2007/02/06 23:18

 2011年7月24日のアナログ放送終了まで5年を切った。地上デジタル放送推進協会のウェブサイトでは、完全デジタル化までのカウントダウンも行われており、残りは1620日余り。HDD-DVDレコーダー(DVDレコーダー)も、アナログからデジタルへの移行が急だ。「BCNランキング」の週次データでは、アナログ専用モデルが販売台数トップ10から早くも姿を消している。メーカー勢力図も06年で大きく変化し、薄型テレビが好調の松下とシャープが上位を占めるようになってきた。特に07年1月第4週ではシャープが健闘。メーカー

 2011年7月24日のアナログ放送終了まで5年を切った。地上デジタル放送推進協会のウェブサイトでは、完全デジタル化までのカウントダウンも行われており、残りは1620日余り。HDD-DVDレコーダー(DVDレコーダー)も、アナログからデジタルへの移行が急だ。「BCNランキング」の週次データでは、アナログ専用モデルが販売台数トップ10から早くも姿を消している。メーカー勢力図も06年で大きく変化し、薄型テレビが好調の松下とシャープが上位を占めるようになってきた。特に07年1月第4週ではシャープが健闘。メーカー別販売台数ランキングで1位を獲得すると同時に、機種別でも同社の「DV-ARW22」が初めてトップに立った。

●エントリーモデルと2番組同時録画の普及モデルの2社2機種に人気集中

 07年1月第4週(07年1月22日-28日)の「BCNランキング」DVDレコーダー機種別販売台数ランキング1位は、シャープの「DV-ARW22」が初めて獲得。2位は松下「DMR-XP10」、3位は再びシャープの「DV-AC32」、4位は松下「DMR-XW30」と、シャープと松下の2社が交互に並んだ。シャープ、松下、いずれの製品とも片方が価格の安いエントリーモデルで、もう片方がそのワンランク上の普及モデル。シェアは1位の「DV-ARW22」が9.3%、2位の「DMR-XP10」が8.4%で、差はわずかに0.9ポイント。3位と4位はさらに僅差で、「DV-AC32」が6.4%、「DMR-XW30」が6.3%という大接戦だった。


 「DV-ARW22」は、地上・BS・110度CSデジタルチューナーを搭載した地上デジタル放送(地デジ)対応モデル。デジタルチューナーをそれぞれ2基ずつ搭載し、デジタル放送をハイビジョン画質で2番組同時に録画できる。スタートメニューは基本操作の「再生・編集」「予約」「ダビング」が大きく表示され、シンプルでわかりやすい。本体液晶に番組名が表示されるなど、細かな工夫も施されている。


 今回「DV-ARW22」が1位を獲得した要因は、ずばり「価格」だろう。HDD容量が250GBで少ないとはいえ、発売から日が経ち、実勢価格は年末商戦では6万円台に突入していた。さらに1月第4週には6万円台前半まで下がっている。「DMR-XP10」や「DV-AC32」など、デジタル放送の2番組同時録画ができないエントリーモデルとほどんど価格差がないことを考えれば、一番人気になるのもうなずける。

●メーカー別ではシャープが06年11月末から7週連続トップ

 06年11月以降、今週1位から4位に入ったシャープ・松下の計4機種は、常に上位5位以内につけ、激しいシェア争いを繰り広げていた。もっともトップの座は、当初の「DMR-XP10」を同じ松下の「DMR-XW30」が逆転、さらに「DMR-XP10」が再浮上と、松下の独壇場だった。そこへシャープの「DV-ARW22」が急浮上してトップを奪った形だ。


 シャープのデジタルチューナー内蔵モデルが、DVD-HDDレコーダーの機種別週次ランキングで1位を獲得したのは今回が初めて。しかし、メーカー別販売台数シェアでは、06年11月第1週(06年10月30日-11月5日)の時点で、初のトップを獲得。松下の2週連続1位を挟み、06年11月第4週(06年11月20日-11月26日)から7週連続で1位を記録していた。1月に入って松下に逆転を許したものの、直近週はシェア28.4%でトップに返り咲いている。2位は松下で、シェアは24.8%。両社ともここ3か月ほど、20%台の高いシェアをキープしており、2強の色合いが濃くなってきた。一時、10%を割っていた東芝が13、14%まで盛り返してきているが、今年に入ってからは足踏み状態だ。


 メーカー別で販売台数の前年同週比を見ると、両社の強さがより鮮明になる。HDD-DVDレコーダー市場全体では前年並みか前年割れの水準が続いていたにも関わらず、松下は1.2-1.5倍、シャープに至っては1.4倍から最大3倍と、それぞれ前年を大きく上回った。


●テレビとレコーダーの両方のデジタルを促す「ハイビジョン」の魅力

 筆者は自宅でデジタルチューナー内蔵の32V型液晶テレビを使っている。ブラウン管テレビの故障を機に最近買い替えたばかりだ。しかし、HDD-DVDレコーダーは、まだアナログ専用機。テレビのデジタル放送でハイビジョン画質に目が慣れてしまうと、アナログのDVDレコーダーで録画した画質はいかにも汚く見えてしまう。

 現在の環境で綺麗な映像を楽しむには、録画ではなくリアルタイムで放送を見るしかない。デジタル放送だと16:9の画面いっぱいに表示されるハイビジョン番組でも、アナログレコーダーで録画すると従来と同じ4:3の比率になったり、四方が黒で囲まれた「額縁状態」になってしまい、とても損をした気分になる。結局、気に入った番組を美しい映像で見るために、放送時間に合わせて行動させられる羽目になってしまった。

 デジタルチューナー内蔵テレビの普及率が高まれば、レコーダーもデジタル対応が求められる。従来の4:3のテレビでも、デジタルチューナー内蔵レコーダーをデジタルチューナー代わりに使えば、デジタル放送を受信可能だ。電子番組表(EPG)や字幕表示、双方向サービスなど、デジタル放送ならではのサービスも、実はレコーダーを導入するだけで利用できる。正常に受信できれば、画質もかなり良くなるはずだ。

 AV関連機器が1年で最も売れる12月が過ぎ、価格は全体的に下落傾向。同じ製品が、年末より安く買えるようになってきた。すでに三菱電機、東芝が新製品の発売を発表しており、他社からも近々アナウンスがありそうだ。価格第一なら、モデルチェンジ前の今が狙い目かもしれない。アナログ放送終了や次世代DVD機の価格下落まで「待ち」を決め込まず、お手頃価格の地デジ対応DVDレコーダーで、デジタル放送を楽しむのはいかがだろうか? (WebBCNランキング編集部・嵯峨野芙美)


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販など22社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。