トレンドマイクロ、「Vistaに最適」目指し開発した「ウイルスバスター」

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2007/02/05 20:19

 新OS「Windows Vista」が発売され、セキュリティソフト業界各社も対応ソフトを相次いで発売している。トレンドマイクロも「ウイルスバスター2007 トレンド フレックス セキュリティ Windows Vista対応版」でVistaに対応。この最新版を機に「ウイルスバスター」のテコ入れを図る同社にその戦略を聞いた。

 新OS「Windows Vista」が発売され、セキュリティソフト業界各社も対応ソフトを相次いで発売している。トレンドマイクロも「ウイルスバスター2007 トレンド フレックス セキュリティ Windows Vista対応版」でVistaに対応。この最新版を機に「ウイルスバスター」のテコ入れを図る同社にその戦略を聞いた。


●目標は「Vistaに最適なセキュリティソフト」

 Vistaはセキュリティ機能を強化したことが特徴の1つ。例えばメールアドレスを詐称しているフィッシングメールを判定する「フィッシングメール判定」機能やスパイウェアを検出・削除する「Windows Defender」を標準搭載している。しかし、ウイルスを防ぐ機能は搭載していない。そのため、やはりウイルス対策ソフトは必須。「ウイルスバスター2007 Vista対応版」は、こうしたウイルス対策機能はもとより、クレジットカード番号やパスワードなどの「個人情報の保護」機能、無線LAN内の不法侵入を監視する「無線LAN&ホームネットワーク管理」機能などをもつ。販売戦略を担当している沢昭彦・コンシューマービジネス統括本部・統括本部長は「ウイルスバスターを使うことで、Vistaの弱みを補完できる」と語る。

 マイクロソフトは、Vistaとの互換性に加え、第3者機関による検証を受け、プログラムの技術要件に合致していると認められソフトウェアには「Certified for Windows Vista」認定を与えているが、トレンドマイクロの「ウイルスバスター2007 Vista対応版」はこの認定をコンシューマー向けセキュリティソフト分野でいち早く取得している。

 「Vistaに最適なセキュリティソフトを、と思って開発を進めてきた。認定テストをクリアするのは大変だったが、これでユーザーにVista搭載PCでも安心、安全に使えるセキュリティソフトをお届けすることができる」と沢統括本部長は安全・安心をアピールした。

●全国規模では5年ぶりのキャンペーンも展開し販促にも注力

 さらに同社は全国規模で「V&V(Windows Vista & Virus Buster)キャンペーン」を展開、販売戦略にも力を入れる。店頭では、対象製品を購入すると「PLAYSTATION 3」などを抽選でプレゼントするといった内容。またオンラインショップでは、「ダウンロード新規3年版」を購入したユーザーを対象に、利用期間を無料で2か月延長するというもの。期間は店頭キャンペーンが4月1日まで、オンラインキャンペーンが2月13日まで。同社でこうした「全国規模のキャンペーンは5年ぶり」(同社広報)だ。

 このほか、Windows XP搭載PCで「ウイルスバスター2007」を利用しているユーザーを対象に、Vistaへのアップグレード支援も行っている。「ウイルスバスター2007 Vista対応版」へのアップグレードプログラムをダウンロードした後に、Vistaをインストールすることで、「ウイルスバスター2007 Vista対応版」と同様に使えるようになる。

 また、「ユーザーが持ち帰る時に、少しでも持ちやすくなれば」(同)とVistaのパッケージが小さくなったのに歩調を合わせて製品パッケージを小型化。店頭で目立ちにくくなるのではという懸念はあったものの、「売り場に余裕がある店舗ばかりではない。限られたスペースに並べるのであれば小さい方が(たくさん並べられて)いい。また品出しがしやすくなった、という販売店からの声も頂いた」(同)と、思いがけず売り場店員からも喜ばれているようだ。


●セキュリティソフトで最も重要なのは価格ではなく「安全性」

 ところで、06年にはソースネクストが更新料無料の「ウイルスセキュリティZERO」をリリースし、セキュリティソフト業界に新風を巻き起こした。この現象について沢統括本部長は、「みんなそんなに更新するのが嫌だったのか……」と苦笑いしながら「ここまでの影響力があるとは思わなかった」と語る。しかし、「追随するメーカーは1社もなく、(業界全体で)更新料無料ということにはならないと思う」と見通しを語った。

 さらに、「安い、というのは確かに魅力」だとしながらも、セキュリティソフトは「安全性がもっとも重要」だと強調し、「ウイルスの浸入を防ぐ検知率の高さや、亜種や新種のウイルスにも対応する検出技術の高さがユーザーに求められている」と話す。とはいえ、一般ユーザーにとって検知率などわかりにくい部分。購入の判断材料は大まかな機能と価格ぐらいしかない。こうした点について沢統括本部長は、「性能面での比較ができるように、ウイルスバスターの検知率を公表するなど、告知活動をしていきたい」と語った。