松下、トリプル補正対応の「お嬢さまカメラ」など「LUMIX」6機種

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2007/01/31 23:06

 松下電器産業は1月31日、コンパクトデジタルカメラ「LUMIX」シリーズ6機種を2月9日から順次発売すると発表した。全機種に被写体の動きを認識し、手ブレや被写体ブレ防止する機能を搭載。薄型モデルでは若い女性と団塊の世代の主婦を対象にユーザー獲得を狙う。

 松下電器産業は1月31日、コンパクトデジタルカメラ「LUMIX」シリーズ6機種を2月9日から順次発売すると発表した。全機種に被写体の動きを認識し、手ブレや被写体ブレ防止する機能を搭載。薄型モデルでは若い女性と団塊の世代の主婦を対象にユーザー獲得を狙う。


●「トリプルブレ補正」で狙う若い女性と団塊の主婦ユーザー

 春商戦モデルの主力は「コンパクトデジタルカメラの強力二重奏」(平原重信・パナソニックマーケティング本部副本部長)と位置付ける、20-30代の女性をターゲットにした「お嬢さまカメラ」の「DMC-FX30」と、団塊の世代の主婦を狙った「奥様カメラ」の「DMC-TZ3」。

 「DMC-FX30」は、35ミリフィルムカメラ換算で28-100mmの光学3.6倍ズームレンズを搭載しながら、22mmと世界最薄を実現。レンズは独ライカと新開発した「ライカ DC バリオ・エルマリート」で、厚さが0.95mmの非球面レンズを5枚使用してレンズ部分をコンパクトに収めることで薄型化に成功した。


 また、被写体が動いているか、止まっているかをカメラが認識、動いている時にはISO感度を上げて被写体ブレを抑え、停止している時には感度を下げてノイズを抑えるようコントロールする「動き認識」機能を搭載。光学式手ブレ補正機能、高感度撮影機能と組み合わせた「トリプルブレ補正」(同)で、簡単にきれいな写真を撮影できるよう設計した。


 CCDは有効720万画素で、モニターには20.7万画素の2.5インチ高精細パワー液晶を採用した。記録媒体はSDメモリーカードとSDHCメモリーカードで、本体に約27MBのメモリも内蔵する。カラーはプレシャスシルバー、アーバンブルー、センシュアルブラウン、エクストラブラックの4色。


 一方、「DMC-TZ3」は、35ミリフィルムカメラ換算で28-280mmの光学10倍ズームレンズを搭載した高倍率ズームモデル。CCDは有効720万画素で、「DMC-FX30」同様、「トリプルブレ補正」に対応。さらにひとまわり大きなCCDを使うことで「マルチアスペクト」を実現。4:3、3:2、16:9すべてのアスペクト比(画像の縦横の比率)で同じ画角で撮影できる。


 本体サイズは、光学10倍ズームレンズ搭載のコンパクトカメラで世界最小の幅105×高さ59.2×厚さ36.7mm。モニターは、23.0万画素の大画面3.0型高精細パワー液晶を搭載する。記録媒体はSDメモリーカードとSDHCメモリーカードで、本体に約12.7MBのメモリを内蔵。カラーはシルバー、ブラック、ブルーの3色。


 そのほか、CCDが有効600万画素で薄さ24.2mmのスリムモデル「DMC-FS1」、CCDが有効720万画素で光学12倍ズームの「DMC-FZ8」、CCDが有効720万画素で光学6倍ズームの単3乾電池対応モデル「DMC-LZ7」、ズームを光学3倍に変更した「DMC-LS75」をラインアップした。いずれも、独自の「動き認識」「光学式手ブレ補正機能」「高感度撮影機能」による「トリプルブレ補正」に対応する。


 価格はすべてオープン。実勢価格は「DMC-FX30」が4万円前後、「DMC-TZ3」が4万7000円前後、「DMC-FS1」が3万円前後、「DMC-FZ8」が5万円前後、「DMC-LZ7」は3万3000円前後、「DMC-LS75」で2万5000円前後の見込み。

●「動き認識」で「顔認識」技術に対抗、シェア拡大はなるか?

 松下では特定層をターゲットにした製品を投入することで、春商戦でのシェア拡大を図りたい考え。同社の調査によると、コンパクトデジカメユーザーは「ここ3年で、3人に1人が若い世代を中心とした女性。また、50歳以上のユーザーも01年の19%から06年には32%にまで上昇している」(平原副本部長)ことから、こうした層を取り込むことで、競争の激しいコンパクトデジカメ市場を制する戦略だ。


 光学式手ブレ補正機能、広角レンズなどを他社に先駆けてコンパクトデジカメに採用し、一時は市場を席巻した松下だが、ライバルメーカーが同様の機能を搭載した製品を次々と投入。さらに、被写体の中から人の顔を見つけ出し、自動的に焦点を合わせ露出を調整する「顔認識」機能を備えた機種にも人気が集まっており、同機能を採用していない「LUMIX」シリーズは厳しい戦いを強いられている。

 「BCNランキング」の月次データでコンパクトデジタルカメラのメーカー別販売台数シェアを見ると、松下は06年9月の15%をピークに11月には11.7%まで下落。12月にはやや持ち直したものの12.3%にとどまっている。一方、「顔認識」機能を搭載した機種を年末商戦に投入した富士フイルムは、10月の8.3%を底に12月には14.1%までシェア拡大させている。メーカー別シェアでトップのキヤノンも、「顔認識」機能を搭載した機種を発売。10月の26.3%をピークにから年末にかけシェアを落としたが、12月でも23.1%と依然高いシェアを保っている。


 今回、松下がすべてのモデルに搭載した「動き認識」は、06年8月発売の2機種に初めて搭載した機能だが、「顔認識」の対抗技術として、新製品で普及に一段と弾みをつけたい考えだ。また、「FX30」は歌手の浜崎あゆみさん、「TZ3」ではタレントの綾小路きみまろさんと、女優の長山藍子さんをイメージキャラクターに起用し、ターゲット層にアピールする。

 薄型タイプのコンパクトデジタルカメラでは、カシオ計算機が厚さ25.5mmで光学7倍ズームレンズを搭載した機種を2月下旬に発売すると発表。カシオは9月の19%から12月には13%まで落としており、巻き返しが注目される。今回、松下がうたい文句の1つに挙げる「薄型」モデルでも競争が一段と激しさを増しそうだ。


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など22社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。