シャープ、07年度の事業方針を発表、液晶テレビ事業は数よりも利益を追求

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2007/01/12 23:03

 シャープは1月12日、07年度の事業方針を発表した。主力となる液晶テレビ事業では、去年稼動を開始した大型液晶テレビを製造する亀山第2工場(三重県)や海外工場の生産能力を7月までに増強。太陽電池事業も拡大を図り、07年度は連結売上高で06年度計画の10%増の3兆3000円、営業利益も10%増の1980億円程度を見込む。

 シャープは1月12日、07年度の事業方針を発表した。主力となる液晶テレビ事業では、去年稼動を開始した大型液晶テレビを製造する亀山第2工場(三重県)や海外工場の生産能力を7月までに増強。太陽電池事業も拡大を図り、07年度は連結売上高で06年度計画の10%増の3兆3000円、営業利益も10%増の1980億円程度を見込む。


 液晶テレビ事業は7月をメドに、亀山第2工場に第3期生産ラインを導入。40V型以上の大型液晶パネルの供給能力を強化する。投資額は約2000億円。「北米をはじめ国内でも46、52V型が予想以上の売れ行きで供給能力が十分でない」(片山幹雄・AV・大型液晶事業統括専務)ため、早期の増産体制に踏み切る。

 亀山第2工場では40型クラスで8面取り、50型クラスは6面取りが可能な第8世代(2160×2460mm)のマザーガラスを使用。新ラインの導入でマザーガラスの投入能力を現在の月3万枚から6万枚まで引き上げる。08年中には月9万枚まで増強する計画。

 海外工場では北米市場向けに大型液晶テレビを製造するメキシコ工場に約80億円を投じ、液晶モジュールからテレビまで一貫生産を行う第2工場を7月に建設する。生産能力は月20万台で、北米で需要が拡大する40-50V型の大型液晶の供給体制を強化する。

 欧州市場向けの製品を生産するポーランド工場では、液晶モジュールの生産体制を3月までに現行の月10万台から30万台に引き上げるほか、7月には液晶モジュールからテレビまで一貫生産を行う体制を整える。

 一方、中小型液晶は、パソコンやディスプレイなど販売先メーカーによる影響を受ける中型液晶の生産は抑える。ワンセグなどで需要が高まる携帯電話やPDA(携帯情報端末)向けの小型タイプのパネル生産は拡大する方針で、07年度で5300億円の売り上げを計画している。

 シャープは大型モデルの生産体制強化で、07年度の液晶テレビの販売目標を国内320万台、海外580万台、合計900万台に設定。40V型以上液晶テレビの販売構成比率も06年度見込みの12%から40%まで高める。液晶事業全体の売り上げは06年度計画よりも17%増の1兆2000億円を見込む。

 太陽電池事業は、太陽電池セルを生産する葛城工場(奈良県)に約30億円を投資し、3月には年間生産能力を600MW(メガワット)から710MWまで拡大。また、富山県に太陽電池用シリコン生産拠点を約50億円で新たに開設する。環境意識が高まる欧州などの需要増で、太陽電池事業での売り上げを06年度計画の18%増となる2350億円を見込む。

 薄型テレビ市場は松下電器産業が約2800億円を投じ、プラズマディスプレイパネルの新工場を建設。37V型以上の薄型テレビで、世界シェアを20%から09年度中には25%まで引き上げる方針を打ち出すなど、海外勢を含め大型投資で生産体制を強化し、販売シェア拡大を図る動きが本格化している。

 シャープの投資額は液晶、太陽電池を合わせ約3000億円で、会見では他社よりもスピードが劣るのではとの指摘も出たが、町田勝彦社長は「価格競争の中で数を追うことが利益につながるのか。ここ1-2年は業界は混乱する。数よりも収益の方が(市場で)優位に立てる」と述べ、大型化とフルHDなどの付加価値で1台あたりの利益を確保すると同時に経営の安定化を図る戦略を強調した。