ソースネクスト、東証マザーズに上場、初値は公開価格の1.61倍の35万5000円
ソースネクスト(松田憲幸代表取締役社長)は12月20日、東京証券取引所・マザーズ市場に上場した。公開株式数は8万50株で、初値は公開価格の22万円を61%上回る35万5000円を付けた。初日の終値は31万2000円で出来高は3万1576株。02年2月、ナスダックジャパン市場に上場する予定だったが果たせず、今回2度目のチャレンジで株式公開にこぎつけた。
同社は03年2月から「Qualityイチキュッパ」シリーズを展開しており、1980円の製品を中心とする格安ソフトが好調。06年8月には同シリーズの累計出荷本数が1300万本を突破した。販売店のPOSデータを基にした実売本数による「BCNランキング」で年間1位のメーカーを表彰する「BCN AWARD」も、06年度にはソフトウェアの10部門で受賞している。取り扱いカテゴリーもゲームからOSまでと幅広く、12月現在での製品数は約500タイトルにのぼる。
7月には、OSの公式サポート終了まで継続して使用でき、年間更新料が無料のセキュリティソフト「ウイルスセキュリティZERO」を発売し話題を呼んだ。「BCNランキング」セキュリティソフトのメーカー別販売本数シェアでも、発売後の7月第2週(3-9日)から8月最終週(28日-9月3日)の間はトレンドマイクロを抜き、シマンテックに次ぐ2位に浮上。その後ややシェアを落としたが、11月下旬から再びシェアが上向き始めている。直近の12月第3週(11-17日)では、1位がシマンテックで37.9%、2位がトレンドマイクロの25.8%。ソースネクストは23.7%で再び2位を狙う展開。
株式公開にあたってインタビューに答えた松田憲幸代表取締役社長は、初値について「思った以上に高く評価していただき、ありがたい」と語った後、「業績をキッチリ出して着実に積み重ねていきたい」と抱負を語った。また今後の事業展開については「7月に発売した『ウイルスセキュリティZERO』が好調で、現在では売り上げの4割を占める製品に成長した」とした上で、「まず現在好調なセキュリティ製品を中心にマーケットシェア拡大を狙っていく」方針を明らかにした。
さらに松田社長は、不必要に大きなパッケージをやめてスリムなパッケージに切り替えていることや、セキュリティソフトの更新料を無料にしたことなどを「自然体」と表現。「普通の人から見て不自然に見えるようなソフトウェア業界の常識を自然な形に戻していきたい」として、同社が掲げる「次の常識」についての考え方を述べた。
11月に同社が発表した07年3月期の業績見通しは、売り上げが前期比9.9%増の113億8500万円、純利益が同49.9%増の5億2600万円、1株あたりの純利益は8560.08円。