microSDカード急伸、携帯電話が変えるメモリカード市場
メモリカードの勢力図に異変が起きた。SDメモリカード(SDカード)に代表される「SD系」がメモリカードのおおよそ7割を占める状態こそ変わらないが、SD系のシェア拡大の原動力となった「miniSDカード」の売れ行きが鈍り、代わって「microSDカード」が急激に伸びているのだ。とくに10月半ば以降、週を追うごとに増え、11月第4週(06年11月20日-11月26日)の「BCNランキング」では、「microSD」がメモリカード全体の15%以上にまで拡大してきた。
メモリカードの勢力図に異変が起きた。SDメモリカード(SDカード)に代表される「SD系」がメモリカードのおおよそ7割を占める状態こそ変わらないが、SD系のシェア拡大の原動力となった「miniSDカード」の売れ行きが鈍り、代わって「microSDカード」が急激に伸びているのだ。とくに10月半ば以降、週を追うごとに増え、11月第4週(06年11月20日-11月26日)の「BCNランキング」では、「microSD」がメモリカード全体の15%以上にまで拡大してきた。
●わずか1%台だった「microSD」が15%超に急伸、SD系も75%に上昇
SDカードの弟分で、大きさが約4分の1と超小型の「microSDカード」。本格的に売れ出したのは、06年10月以降、ほんの1、2か月前からだ。06年7月第1週(06年7月3日-7月9日)から11月第4週(11月20日-11月26日)まで約4か月間の「BCNランキング」をもとに、メモリカード全体に占める「microSD」の構成比を見ると、急激に伸びていることがわかる。
「microSD」の販売数量シェアは、7月の時点ではわずか1%台で、8月にようやく2%台に乗せた程度。9月に入って徐々に増え始めたが、それでもなかなか5%には届かなかった。しかし、10月第4週(10月23日-29日)を境に一気に増え、11月第1週(11月6日-11月12日)にはあっさり10%の大台を突破してしまった。
逆に、携帯電話用メモリカードの定番だった「miniSD」は急ブレーキ。7月第1週の時点では29.7%と3割近かったシェアは、11月第4週には20.2%まで下がった。「microSD」が16.0%まで上昇してきたことを考えると、逆転する日も近そうだ。ちなみに販売金額ベースでは、11月第3週の時点で、「miniSD」を僅差ながらもすでに上回っている。
メモリカード全体の販売数量はほぼ一定。週によって若干の増減があるものの大きな変動はない。SD系ではシェアが75.5%と、やや上昇した。「miniSD」「microSD」以外のメモリカードの構成比が、ほぼ同じ水準で推移していることを考えると、やはり「microSD」が「miniSD」に置き換わっているようだ。
●秋冬モデルで切り替わった携帯電話のメモリカード規格
急激にmicroSDの販売量が増えた理由は1つ。外部メモリに「microSD」を採用する携帯電話が各社の秋冬モデルで一気に増えたからだ。たとえば、NTTドコモの秋冬モデル「903iシリーズ」11機種のうち、microSDカードに対応するのは9機種、auは12のうち10機種、ソフトバンクモバイルは15のうち9機種と、ほとんどが「microSD」対応といってもいい。
ちなみに「microSD」の構成比が一気に高まった10月第4週は、NTTドコモの「903iシリーズ」の第1弾、シャープ製端末「SH903i」の発売直後と重なる。新端末の購入と同時に、メモリカードを購入した人が少なからずいたようだ。改めて、携帯電話の影響力の高さがうかがえる。
「miniSD」「microSD」とも、変換アダプタを装着することでSDカードやminiSDカードとして使えるが、その逆はできない。最新の携帯電話に買い替えると、今まで使っていた「miniSDカード」は使えなくなる。端末の小型化・薄型化が携帯電話の一つのトレンドとなっている以上、おそらく「miniSD」に戻ることはないだろう。携帯電話を将来的に買い替える予定があるなら、使いまわしが可能な「microSD」を選んだ方が無難かもしれない。
●256MBと512MBが3割で同程度、今後はより大容量にシフトか
microSDカードの売れ筋も見ておこう。11月第4週の「BCNランキング」microSDカード製品別ランキング1位は、I・Oデータ機器の「SDMC-512M/A」。2位はハギワラシスコムの「HNT-MR256TA」、3位は1位の容量違いモデル「SDMC-256M/A」だった。いずれもSD変換アダプタ、miniSD変換アダプタが付属する。microSDカードには、変換アダプタが付属するタイプと、付属しないタイプがある。携帯電話に挿しっぱなしの状態で使うなら、カード単体で事足りるが、使い回しを考えるならアダプタ付きを選びたい。
容量別構成比では、512MBが34.0%、256MBが33.1%でほぼ並んだ。1GBが15.0%、128MBが13.1%で続く。7月から容量別構成比の推移を見ると、128MBの割合が減り、より容量の大きい512MB、1GBが増えてきた。付属カメラの高画素化が進み、音楽ケータイも珍しくなくなった現状では、携帯電話用といっても、やはりある程度の容量は必要になってくる。
ちなみに、「SDカード」は1GBが40.1%でトップ。2番目は512MBで34.8%だった。一方、「miniSD」では256MBが33.3%、512MBが25.5%、128MBが17.4%、1GBが15.1%と、他の規格に比べ容量ごとの差は大きくなかった。
●お得に買うなら通常サイズ、使いまわすなら小型、大容量ならSDHC
物理的な大きさなら「小は大を兼ねる」のがメモリカード。1枚のカードをさまざまな機器で使いたいなら、多少割高でも、使いまわせる小型タイプが便利だ。
しかし、価格を考えればサイズの大きい方が安い。SD系カードの中で1GBタイプを例に取ると「SDカード」がもっとも安く、サイズが小さくなるに従って価格は高くなっていく。複数枚のカードを使い分けるような使い方をするなら、通常サイズのSDで十分だ。
一方、一眼レフタイプを中心に高画素化が進むデジタルカメラでは、写真1枚あたりの容量が大きくなり、必要になるメモリカードの容量も大きくなってきた。そこで注目なのは、大容量対応の「SDHCカード」だ。SDカードでは規格上最大2GBだが、SDHCカードでは4GB以上の容量が可能になる。数年後には32GBタイプも登場すると見られ、今後の新機種では多くが対応しそうだ。microSDカードと携帯電話の関係とは違い、SDHC対応機器では従来のSDカードも使える。そのため立ち上がりは緩やかだが、大容量カードを求めるユーザーに支持され、着実に売り上げを伸ばしている。
「SDカード」「miniSDカード」「microSDカード」「SDHCカード」とSD系カードにもバリエーションが増えて複雑になってきた。自分の用途や使い方にあわせて、お得にうまく使い分けたい。
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販など22社・ 2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。
メモリカードの勢力図に異変が起きた。SDメモリカード(SDカード)に代表される「SD系」がメモリカードのおおよそ7割を占める状態こそ変わらないが、SD系のシェア拡大の原動力となった「miniSDカード」の売れ行きが鈍り、代わって「microSDカード」が急激に伸びているのだ。とくに10月半ば以降、週を追うごとに増え、11月第4週(06年11月20日-11月26日)の「BCNランキング」では、「microSD」がメモリカード全体の15%以上にまで拡大してきた。
●わずか1%台だった「microSD」が15%超に急伸、SD系も75%に上昇
SDカードの弟分で、大きさが約4分の1と超小型の「microSDカード」。本格的に売れ出したのは、06年10月以降、ほんの1、2か月前からだ。06年7月第1週(06年7月3日-7月9日)から11月第4週(11月20日-11月26日)まで約4か月間の「BCNランキング」をもとに、メモリカード全体に占める「microSD」の構成比を見ると、急激に伸びていることがわかる。
「microSD」の販売数量シェアは、7月の時点ではわずか1%台で、8月にようやく2%台に乗せた程度。9月に入って徐々に増え始めたが、それでもなかなか5%には届かなかった。しかし、10月第4週(10月23日-29日)を境に一気に増え、11月第1週(11月6日-11月12日)にはあっさり10%の大台を突破してしまった。
逆に、携帯電話用メモリカードの定番だった「miniSD」は急ブレーキ。7月第1週の時点では29.7%と3割近かったシェアは、11月第4週には20.2%まで下がった。「microSD」が16.0%まで上昇してきたことを考えると、逆転する日も近そうだ。ちなみに販売金額ベースでは、11月第3週の時点で、「miniSD」を僅差ながらもすでに上回っている。
メモリカード全体の販売数量はほぼ一定。週によって若干の増減があるものの大きな変動はない。SD系ではシェアが75.5%と、やや上昇した。「miniSD」「microSD」以外のメモリカードの構成比が、ほぼ同じ水準で推移していることを考えると、やはり「microSD」が「miniSD」に置き換わっているようだ。
●秋冬モデルで切り替わった携帯電話のメモリカード規格
急激にmicroSDの販売量が増えた理由は1つ。外部メモリに「microSD」を採用する携帯電話が各社の秋冬モデルで一気に増えたからだ。たとえば、NTTドコモの秋冬モデル「903iシリーズ」11機種のうち、microSDカードに対応するのは9機種、auは12のうち10機種、ソフトバンクモバイルは15のうち9機種と、ほとんどが「microSD」対応といってもいい。
ちなみに「microSD」の構成比が一気に高まった10月第4週は、NTTドコモの「903iシリーズ」の第1弾、シャープ製端末「SH903i」の発売直後と重なる。新端末の購入と同時に、メモリカードを購入した人が少なからずいたようだ。改めて、携帯電話の影響力の高さがうかがえる。
「miniSD」「microSD」とも、変換アダプタを装着することでSDカードやminiSDカードとして使えるが、その逆はできない。最新の携帯電話に買い替えると、今まで使っていた「miniSDカード」は使えなくなる。端末の小型化・薄型化が携帯電話の一つのトレンドとなっている以上、おそらく「miniSD」に戻ることはないだろう。携帯電話を将来的に買い替える予定があるなら、使いまわしが可能な「microSD」を選んだ方が無難かもしれない。
●256MBと512MBが3割で同程度、今後はより大容量にシフトか
microSDカードの売れ筋も見ておこう。11月第4週の「BCNランキング」microSDカード製品別ランキング1位は、I・Oデータ機器の「SDMC-512M/A」。2位はハギワラシスコムの「HNT-MR256TA」、3位は1位の容量違いモデル「SDMC-256M/A」だった。いずれもSD変換アダプタ、miniSD変換アダプタが付属する。microSDカードには、変換アダプタが付属するタイプと、付属しないタイプがある。携帯電話に挿しっぱなしの状態で使うなら、カード単体で事足りるが、使い回しを考えるならアダプタ付きを選びたい。
容量別構成比では、512MBが34.0%、256MBが33.1%でほぼ並んだ。1GBが15.0%、128MBが13.1%で続く。7月から容量別構成比の推移を見ると、128MBの割合が減り、より容量の大きい512MB、1GBが増えてきた。付属カメラの高画素化が進み、音楽ケータイも珍しくなくなった現状では、携帯電話用といっても、やはりある程度の容量は必要になってくる。
ちなみに、「SDカード」は1GBが40.1%でトップ。2番目は512MBで34.8%だった。一方、「miniSD」では256MBが33.3%、512MBが25.5%、128MBが17.4%、1GBが15.1%と、他の規格に比べ容量ごとの差は大きくなかった。
●お得に買うなら通常サイズ、使いまわすなら小型、大容量ならSDHC
物理的な大きさなら「小は大を兼ねる」のがメモリカード。1枚のカードをさまざまな機器で使いたいなら、多少割高でも、使いまわせる小型タイプが便利だ。
しかし、価格を考えればサイズの大きい方が安い。SD系カードの中で1GBタイプを例に取ると「SDカード」がもっとも安く、サイズが小さくなるに従って価格は高くなっていく。複数枚のカードを使い分けるような使い方をするなら、通常サイズのSDで十分だ。
一方、一眼レフタイプを中心に高画素化が進むデジタルカメラでは、写真1枚あたりの容量が大きくなり、必要になるメモリカードの容量も大きくなってきた。そこで注目なのは、大容量対応の「SDHCカード」だ。SDカードでは規格上最大2GBだが、SDHCカードでは4GB以上の容量が可能になる。数年後には32GBタイプも登場すると見られ、今後の新機種では多くが対応しそうだ。microSDカードと携帯電話の関係とは違い、SDHC対応機器では従来のSDカードも使える。そのため立ち上がりは緩やかだが、大容量カードを求めるユーザーに支持され、着実に売り上げを伸ばしている。
「SDカード」「miniSDカード」「microSDカード」「SDHCカード」とSD系カードにもバリエーションが増えて複雑になってきた。自分の用途や使い方にあわせて、お得にうまく使い分けたい。
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販など22社・ 2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。