KCCSなど3社、地上デジタル放送を光ファイバーと無線で配信する実験に成功

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2006/10/27 10:32

 京セラコミュニケーションシステム(KCCS、森田直行社長)とNTTインフラネット(米重太平社長)、古河電気工業(石原廣司社長)の3社は10月25日、地上デジタル放送信号を光ファイバーと無線中継システムを用いて伝送するシステムの実用化に向けた実験に成功したと発表した。

 京セラコミュニケーションシステム(KCCS、森田直行社長)とNTTインフラネット(米重太平社長)、古河電気工業(石原廣司社長)の3社は10月25日、地上デジタル放送信号を光ファイバーと無線中継システムを用いて伝送するシステムの実用化に向けた実験に成功したと発表した。

 実験では、岐阜県が整備した光ファイバー網「岐阜情報スーパーハイウェイ」を用いて、岐阜県防災交流センターで受信した地上デジタル放送信号を、約130km離れた下呂市まで光信号で伝送。伝送した地上デジタル信号は、下呂総合庁舎から無線機(親局)を用いて18G/19GHzの無線周波数で伝送し、約2.6km先の無線子局で受信した。

 親局から子局は、河川を2回、大型道路を3回横断し、無線子局からは、既設の共聴施設の同軸伝送路(光?無線?同軸方式)とFTTH(光?無線?FTTH方式)にそれぞれ接続、モニター宅で地上デジタル放送を視聴できることを確認した。また、IP通信実験では、アクセスシステムとして、FTTH設備と無線LANを仮設構築し、FTTH、無線LANどちらも問題なく伝送できることを確認した。

 インターネット接続など双方向のIP通信を同時に実現するために、無線リンクを双方向化し、データ通信の信号を直接伝送する検証実験も実施。モニター宅において、インターネットサービスやIP告知端末サービス、VODサービスを安定して受けられることを確認した。

 今回の実験により、光ファイバーで伝送した地上デジタル放送信号を、光ファイバーの敷設が困難な地域や伝送区間でも、高品質のまま無線を使って中継・配信できることが実証された。現在、23GHz帯周波数での多チャンネル伝送の検討が行われており、07年春には、それぞれの周波数に対応したシステムの実現が可能になる予定。3社では、開発したシステムをさらに発展させ、デジタルデバイド解消に役立てていきたい考え。