宇部興産、廃プラスチックの色を自在に操る「調色リサイクル樹脂」を事業化
宇部興産(田村浩章社長)は10月12日、顔料や染料で着色・表面塗装された廃プラスチックの色調を変え、表面外観の優れたリサイクル樹脂を作る「調色リサイクル樹脂」の事業化を決定したと発表した。商標名は「UBE?コンポジット」。家電、自動車メーカーが採用を決めており、11年には15億円の売り上げを見込む。
「調色リサイクル樹脂」は同社が03年に開発した技術で、コンパウンド着色技術を使い遮光性の高い顔料等を使用することで、まちまちに着色された廃プラスチックを、要求された色に再着色できる。さらに、塗膜片などの混在物を見えにくくすることも可能。
特に成形品で多用されるシボ加工面では、再着色し、塗膜片を封じ込め、表面外観の優れたリサイクル樹脂による成形品を作ることができる。また、細かい異物程度であれば、シボ加工面でなくとも表面外観の優れた成形品を作ることも可能。
例えば、異なる着色された廃家電のプラスチックから再生したリサイクル樹脂を、冷蔵庫や洗濯乾燥機の目に見える箇所に使用するとができるほか、自動車の回収バンパーから再生したリサイクル樹脂を、塗膜片を封じ込め自動車内装のコンソールボックスに使用することも可能。
プラスチックは通常、顔料や染料で着色し成形品に加工したり、表面を塗装するといった工程を経て市場に供給される。しかし、リサイクルにあたっては、着色された様々な色が混ざり合ったり表面の塗膜片や細かい異物が混入してしまうため、事実上、色は黒しか選択肢がなかった。そのため、大部分のものは再利用されることなく産業廃棄物として処理されていた。