デジタル一眼10メガ決戦、週替わりで主役交代の序盤戦は「Kiss」に軍配
このところランキングの変動がめまぐるしいデジタル一眼レフカメラ。7月にソニー、9月に松下と家電メーカーが新規参入したのに続き、9月にはニコンとキヤノンが相次いで新製品を投入。発売のインパクトがランキングに大きく影響した。新製品のほとんどは初・中級者向け1000万画素(10メガピクセル)クラスのカメラで性能面でもほぼ横一線。各社が繰り広げる熱いバトルの模様が「BCNランキング」で浮かび上がった。
このところランキングの変動がめまぐるしいデジタル一眼レフカメラ。7月にソニー、9月に松下と家電メーカーが新規参入したのに続き、9月にはニコンとキヤノンが相次いで新製品を投入。発売のインパクトがランキングに大きく影響した。新製品のほとんどは初・中級者向け1000万画素(10メガピクセル)クラスのカメラで性能面でもほぼ横一線。各社が繰り広げる熱いバトルの模様が「BCNランキング」で浮かび上がった。
●新製品で最後発の「EOS Kiss デジタルX」が40%台のシェアを一気に獲得
ソニーが「α100」、松下が「DMC-L1K」を発売した7月から、キヤノンの「EOS Kiss デジタルX」、ニコンの「D80」が発売された9月までの「BCNランキング」で、週ごとに機種別販売台数シェアを追った。 直近の9月第4週(9月18日-24日)では、1位がシェア42.4%でキヤノン「EOS Kiss デジタルX」、2位は14.7%でニコン「D80」、3位は9.5%でソニー「α100」という結果になった。
これまで圧倒的なシェアを維持していた「EOS Kiss デジタルN」の後継だけに「Kiss」は強い。発売直後の瞬間風速を割り引いて考えても「EOS Kiss デジタルX」が序盤戦を制したとみてよさそうだ。
「EOS Kiss デジタルX」は有効1010万画素と高画素CMOSセンサーを搭載。サイズは幅126.5×高さ94.2×奥行き65mm、重さは510gと小型・軽量な初心者向けのカメラ。都内大手量販店でボディーの価格は約9万円。9月8日発売で、8月下旬に製品が発表されて以降、事前予約が膨らみ発売週で40%台までのシェアを一気に獲得した。
都内のある大手量販店店員は「画質がよい上に、AF(オートフォーカス)の動作が速く、ピント合わせが苦手な人でも使いやいことに加え、ほかのカメラよりも軽い。そのため、女性や高齢者を中心に一番売れている」と人気の理由を話す。
2位の「D80」はおもに中級者をターゲットにした機種。有効1020万画素のCCDを搭載。新開発の画像処理回路で、なめらかな階調の画像撮影ができるほか、処理速度の高速化、省電力化を図った。9月1日に発売し、量販店でボディーの価格は約12万円。「マニア層を中心に事前予約が多かった」(都内大手量販店店員)ことから。発売週には23.5%とトップシェアを獲得した。
しかし、キヤノンの新「Kiss」登場のあおりで、翌週には10ポイント以上も大きくシェアを落とした。「ほかのカメラと比べるとゴツゴツし過ぎて重い。そのためニコンファン以外にはどうしても敬遠されがち」(同)ということが理由にあるようだ。
3位の「α100」は、ソニーがコニカミノルタから引き継いだ「αマウント」を継承してデジタル一眼レフ市場に本格参入した第1号機。量販店でのボディー価格は約10万円。CCDは有効1020万画素。CDDシフト方式の手ブレ補正機能、カメラの電源を切るたび、CCDユニットが動いてチリやホコリをふるい落とす「アンチダスト機能」を本体に内蔵する。
「α100」は7月21日発売。事前の話題性が高かったこともあり、発売週には35.7%のシェアを獲得。その後は3週連続で機種別シェアのトップを飾った。しかし、その後は購入者が一巡したことと、キヤノン、ニコンの新製品発売の影響もあり、シェアを下げ3位まで後退した。
ソニーのデジタル一眼レフについては「カタログ上の性能では一番だが、画質面ではカメラメーカーにまだ一歩劣る。今後、市場で販売が伸びるには、2号機以降で製品としての熟成が必要」と厳しい見方をする量販店の声もあった。
一方、ソニーと同じく新規参入組の松下は冴えない。「DMC-L1K」は、有効749万画素のLive MOSセンサーを搭載するボディーに独ライカレンズをセットにし、高級タイプのカメラで中・上級者をターゲットに発売した。しかし、レンズセット限定での販売で、店頭での実勢価格が約24万円と「高くて全く売れていない」(同)という。「BCNランキング」でもシェアは1%を切っている状況だ。
そのほかの機種では、7月下旬に発売され、量販店でのボディー価格が約7万5000円で610万画素のペンタックス「K100D」が7-8月上旬にかけて「α100」の影響をかわしながら10-11%のシェア獲得し善戦していた。しかし、8月中旬以降、キヤノン、ニコンの新製品が発表に押される格好で1桁にまでシェアを落とした。
●メーカー別シェアも週替わりで変化、ペンタックス「K10D」登場で一波乱も
最後に新製品で各社のシェアがどう動いたか、メーカー別の販売台数シェアで確認しよう。直近の9月第3週ではキヤノンが「EOS Kiss デジタルX」効果で54.4%と圧倒的なシェアを獲得した。
ニコンは「D80」の発売週の8月28日の週には42.9%とキヤノンを抜き、一時トップシェアを獲得したものの、その後は「D80」の伸び悩みが影響し、キヤノンに大差で引き離された。ソニーも「α100」の発売週7月17日の週にはキヤノン、ニコンを抜きシェア35.7%で1位と新規参入組としては大活躍を見せたが、「α100」の鈍化に伴い10%を切るまでシェアを下げた。
06年のデジタル一眼レフ秋冬商戦では、キヤノンが新製品を最後に出したということもあり、序盤戦を制した結果となった。一方、メーカー別シェア4位で、7月に「K100D」を発売したばかりのペンタックスだが、10月下旬にさらに新機種を発売すると発表している。1020万画素のCCDを搭載し、手ブレやゴミを防止する機能を備えたデジタル一眼レフカメラ「PENTAX K10D」だ。
初級・中級向けデジタル一眼レフは既に、1000万画素(10メガピクセル)クラスが主流になっている。ソニー、ニコン、キヤノンに続いてペンタックスが「10メガクラブ」に仲間入りする。「K10D」の登場で、デジタル一眼レフ市場は一層にぎやかになりそうだ。
10月は本格的な運動会や行楽シーズン。デジタル一眼レフ市場も需要が高まる第2コーナーに差し掛かり、各社の競争はさらに激しさを増す。ここを制し、年末商戦をトップで勝ち抜けるのはどのカメラか? 形勢は予断を許さない。
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など22社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。
このところランキングの変動がめまぐるしいデジタル一眼レフカメラ。7月にソニー、9月に松下と家電メーカーが新規参入したのに続き、9月にはニコンとキヤノンが相次いで新製品を投入。発売のインパクトがランキングに大きく影響した。新製品のほとんどは初・中級者向け1000万画素(10メガピクセル)クラスのカメラで性能面でもほぼ横一線。各社が繰り広げる熱いバトルの模様が「BCNランキング」で浮かび上がった。
●新製品で最後発の「EOS Kiss デジタルX」が40%台のシェアを一気に獲得
ソニーが「α100」、松下が「DMC-L1K」を発売した7月から、キヤノンの「EOS Kiss デジタルX」、ニコンの「D80」が発売された9月までの「BCNランキング」で、週ごとに機種別販売台数シェアを追った。 直近の9月第4週(9月18日-24日)では、1位がシェア42.4%でキヤノン「EOS Kiss デジタルX」、2位は14.7%でニコン「D80」、3位は9.5%でソニー「α100」という結果になった。
これまで圧倒的なシェアを維持していた「EOS Kiss デジタルN」の後継だけに「Kiss」は強い。発売直後の瞬間風速を割り引いて考えても「EOS Kiss デジタルX」が序盤戦を制したとみてよさそうだ。
「EOS Kiss デジタルX」は有効1010万画素と高画素CMOSセンサーを搭載。サイズは幅126.5×高さ94.2×奥行き65mm、重さは510gと小型・軽量な初心者向けのカメラ。都内大手量販店でボディーの価格は約9万円。9月8日発売で、8月下旬に製品が発表されて以降、事前予約が膨らみ発売週で40%台までのシェアを一気に獲得した。
都内のある大手量販店店員は「画質がよい上に、AF(オートフォーカス)の動作が速く、ピント合わせが苦手な人でも使いやいことに加え、ほかのカメラよりも軽い。そのため、女性や高齢者を中心に一番売れている」と人気の理由を話す。
2位の「D80」はおもに中級者をターゲットにした機種。有効1020万画素のCCDを搭載。新開発の画像処理回路で、なめらかな階調の画像撮影ができるほか、処理速度の高速化、省電力化を図った。9月1日に発売し、量販店でボディーの価格は約12万円。「マニア層を中心に事前予約が多かった」(都内大手量販店店員)ことから。発売週には23.5%とトップシェアを獲得した。
しかし、キヤノンの新「Kiss」登場のあおりで、翌週には10ポイント以上も大きくシェアを落とした。「ほかのカメラと比べるとゴツゴツし過ぎて重い。そのためニコンファン以外にはどうしても敬遠されがち」(同)ということが理由にあるようだ。
3位の「α100」は、ソニーがコニカミノルタから引き継いだ「αマウント」を継承してデジタル一眼レフ市場に本格参入した第1号機。量販店でのボディー価格は約10万円。CCDは有効1020万画素。CDDシフト方式の手ブレ補正機能、カメラの電源を切るたび、CCDユニットが動いてチリやホコリをふるい落とす「アンチダスト機能」を本体に内蔵する。
「α100」は7月21日発売。事前の話題性が高かったこともあり、発売週には35.7%のシェアを獲得。その後は3週連続で機種別シェアのトップを飾った。しかし、その後は購入者が一巡したことと、キヤノン、ニコンの新製品発売の影響もあり、シェアを下げ3位まで後退した。
ソニーのデジタル一眼レフについては「カタログ上の性能では一番だが、画質面ではカメラメーカーにまだ一歩劣る。今後、市場で販売が伸びるには、2号機以降で製品としての熟成が必要」と厳しい見方をする量販店の声もあった。
一方、ソニーと同じく新規参入組の松下は冴えない。「DMC-L1K」は、有効749万画素のLive MOSセンサーを搭載するボディーに独ライカレンズをセットにし、高級タイプのカメラで中・上級者をターゲットに発売した。しかし、レンズセット限定での販売で、店頭での実勢価格が約24万円と「高くて全く売れていない」(同)という。「BCNランキング」でもシェアは1%を切っている状況だ。
そのほかの機種では、7月下旬に発売され、量販店でのボディー価格が約7万5000円で610万画素のペンタックス「K100D」が7-8月上旬にかけて「α100」の影響をかわしながら10-11%のシェア獲得し善戦していた。しかし、8月中旬以降、キヤノン、ニコンの新製品が発表に押される格好で1桁にまでシェアを落とした。
●メーカー別シェアも週替わりで変化、ペンタックス「K10D」登場で一波乱も
最後に新製品で各社のシェアがどう動いたか、メーカー別の販売台数シェアで確認しよう。直近の9月第3週ではキヤノンが「EOS Kiss デジタルX」効果で54.4%と圧倒的なシェアを獲得した。
ニコンは「D80」の発売週の8月28日の週には42.9%とキヤノンを抜き、一時トップシェアを獲得したものの、その後は「D80」の伸び悩みが影響し、キヤノンに大差で引き離された。ソニーも「α100」の発売週7月17日の週にはキヤノン、ニコンを抜きシェア35.7%で1位と新規参入組としては大活躍を見せたが、「α100」の鈍化に伴い10%を切るまでシェアを下げた。
06年のデジタル一眼レフ秋冬商戦では、キヤノンが新製品を最後に出したということもあり、序盤戦を制した結果となった。一方、メーカー別シェア4位で、7月に「K100D」を発売したばかりのペンタックスだが、10月下旬にさらに新機種を発売すると発表している。1020万画素のCCDを搭載し、手ブレやゴミを防止する機能を備えたデジタル一眼レフカメラ「PENTAX K10D」だ。
初級・中級向けデジタル一眼レフは既に、1000万画素(10メガピクセル)クラスが主流になっている。ソニー、ニコン、キヤノンに続いてペンタックスが「10メガクラブ」に仲間入りする。「K10D」の登場で、デジタル一眼レフ市場は一層にぎやかになりそうだ。
10月は本格的な運動会や行楽シーズン。デジタル一眼レフ市場も需要が高まる第2コーナーに差し掛かり、各社の競争はさらに激しさを増す。ここを制し、年末商戦をトップで勝ち抜けるのはどのカメラか? 形勢は予断を許さない。
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など22社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。