三省堂、書籍でもウェブでも両方使える「電紙(でんがみ)辞典」

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2006/09/11 21:20

 三省堂(八幡統厚社長)は9月11日、書籍とウェブの両媒体で同時出版する辞書「電紙(でんかみ)辞典 デュアル・ディクショナリー」を今秋に発売すると発表した。八幡社長は「紙の辞書の売り上げが年々落ち込み、代わりに電子辞書、ウェブ辞書の売り上げが伸びている。紙とウェブで同時に提供することで、新たな需要の獲得を目指す」と「電紙」に活路を見出したい考えだ。

 三省堂(八幡統厚社長)は9月11日、書籍とウェブの両媒体で同時出版する辞書「電紙(でんかみ)辞典 デュアル・ディクショナリー」を今秋に発売すると発表した。八幡社長は「紙の辞書の売り上げが年々落ち込み、代わりに電子辞書、ウェブ辞書の売り上げが伸びている。紙とウェブで同時に提供することで、新たな需要の獲得を目指す」と「電紙」に活路を見出したい考えだ。

 ラインアップは「大辞林 第3版」「ウィズダム英和辞典 第2版」「ウィズダム和英辞典」の3冊。価格と発売日は、「大辞林 第3版」が8190円で10月27日、「ウィズダム英和辞典 第2版」と「ウィズダム和英辞典」は3300円で10月10日。なお、発売記念として「大辞林」を07年5月31日まで7665円で販売する。

 これまでのデジタル辞書は紙媒体辞書の組版データを変換して作成してきた。しかし効率は悪く、紙と電子媒体での同時提供が難しかった。そこで今回、同社は制作フローを一新し辞書のマスターデータの編集過程から「XML」言語を採用。これで書籍版・ウェブ版で同じデータを利用することができ、同時に提供できるようになった。

 書籍版の辞書を購入し専用サイトにアクセスすると、言葉に関するクイズが出題される。購入した辞書で調べて正解するとパスワードがもらえる仕組み。以後、ウェブ版の辞書にアクセスできるようになる。ウェブ版の利用料・利用期限は特に設けられておらず、「次の改訂版が発売されるまで」(同社辞書出版部・瀧本氏)利用できる。なお、不正利用を防止するため、同時ログインはできない。

 ウェブ版の辞書には書籍版の内容すべてが閲覧できるほか、書籍版には収録できなかった情報も提供する。「大辞林」では見出し語や類似語句、約1万語の新語・俗語を、また「ウィズダム英和辞典」「ウィズダム和英辞典」では見出し語、複合語、成句を提供する。さらに、「ウィズダム英和辞典」では7万5000語、「ウィズダム和英辞典」では7万8000語の用例も収録した。そのほか「ウィズダム英和辞典」では約6000語の見出し音声データも収録した。

 今後、同社はウェブ媒体の特性を活かし、内容、システムのアップデートを随時行い、利便性を向上させていく。また携帯電話での利用も今後検討していきたい、としている。