ソニー、液晶テレビ「BRAVIA」年末モデルを発表、大型化でシェア拡大へ
ソニーは8月30日、液晶テレビ「BRAVIA(ブラビア)」の新製品9機種を発表した。年末商戦に向け、全モデルで色の再現力を強化し、40V型以上の大型タイプを7機種投入する。06年末には金額ベースで40V型以上の販売構成比率を50%まで高める計画で、「06年度第1四半期での世界シェア16%以上」(井原勝美・代表執行役副社長テレビ・ビデオ事業本部事業本部長)を狙う。
ラインアップは、フラッグシップ機の「X2500シリーズ」、付加価値モデルの「V2500シリーズ」、スタンダードモデルの「S2500シリーズ」の3シリーズ。「X2500シリーズ」は52V型、46V型、40V型、「V2500シリーズ」は46V型、40V型、32V型、「S2500シリーズ」では46V型、40V型、32V型を発売する。52V型は今回が初登場。いずれも地上・BS・110度CSデジタルチューナーを内蔵する。
「X2500シリーズ」は全サイズで解像度が水平1920×垂直1080画素のフルHD(ハイビジョン)パネルを採用。テレビやビデオ用の色の国際規格「xvYCC」に民生用テレビとして初めて対応した。また、映像のノイズを抑え現行のテレビ放送の画質をハイビジョン並みの高精細に引き上げて表示する技術を盛り込んだ新型の映像処理回路「ブラビアエンジンプロ」を搭載した。また、本体カラーはシルバー、ブラックに加え、ホワイト、ブラウン、ブルー、レッドを受注生産で販売する。
「V2500シリーズ」では46V型、40V型でフルHDパネルを採用。32V型は解像度が水平1366×垂直768のワイドXGA液晶パネル。映像処理回路にはフルデジタル処理の「ブラビアエンジン」を搭載する。「S2500シリーズ」は液晶パネルの解像度が水平1366×垂直768のワイドXGAで、処理回路に「ブラビアエンジン」を装備する。
従来製品では一部機種のみに使われていた、「ライブカラークリエーション」を3シリーズの全機種で搭載。独自開発の蛍光体をバックライトに使い青、緑、赤の色の純度を上げ色の再現力を広げる。「一部ユーザーから色がどぎついとの声があった」(木暮誠・コーポレートエグゼクティブSVPテレビ・ビデオ事業本部副本部長)ことを反映し、中間色の調整することでより自然な色の再現を図った。
バックライトや偏向板、カラーフィルターなどの改良を行い、コントラスト比を従来の1300:1から「X2500シリーズ」では1500:1、32V型を除く「V2500シリーズ」では1800:1、「V2500シリーズ」の32V型と「S2500シリーズ」の32V型では1700:1に向上させた。また、全機種で映像の明るさを自動判別してバックライトとコントラスト比を最適に調整する「アドバンスト・コントラストエンハンサー」を装備した。
価格はすべてオープン。実勢価格は「X2500シリーズ」は52V型が80万円前後、46V型が55万円前後、40V型は45万円前後。「V2500シリーズ」の46V型が50万円前後、40V型は40万円前後、32V型は24万円前後。「S2500シリーズ」が46V型で45万円前後、40V型が35万円前後、32V型は23万円前後。
このほか、リアプロジェクションテレビ「A2500シリーズ」も発表した。50V型と60V型の2機種で、フルHD対応の反射型小型液晶ディスプレイパネル「SXRD」と「ライブカラークリエーション」、「ブラビアエンジンプロ」を搭載。映画などを高精細な映像で楽しめる。
価格はオープン。実勢価格は50V型が50万円前後、60V型は60万円前後の見込み。ソニーでは高機能な製品を投入することで、米国で好調なリアプロの勢いを国内にも波及させたい考え。
発表会で井原副社長は「液晶テレビ市場は価格下落と大型化が進んでいるが、ソニーでは『大型』という付加価値で価格を確保し、1台あたりの収益を高める」との考えを示した。ソニーの液晶テレビの平均単価は全世界ベースで05年第2四半期は14万3000円で06年第1四半期19万4000円と「平均単価は上がっている」(同)という。
また「『BRAVIA』でソニーのテレビ事業は復活の入り口に立った。今回の年末商戦モデルで本格的な復活感が出るところまで持っていきたい。新製品でシェアのさらなる向上も実現できる」と自信を見せた。