初のデジタル一眼で松下に勝算は? 「LUMIX DMC-L1」で参入を発表
松下電器産業は6月21日、同社初のレンズ交換式デジタル一眼レフカメラ「LUMIX DMC-L1」を7月22日に発売すると発表した。独ライカと共同開発した専用ズームレンズとのセットで販売する。価格はオープン。実勢価格は25万円前後の見込み。ハイアマチュアをターゲットに月産3000台を計画。海外でも8月に出荷を開始する。
松下電器産業は6月21日、同社初のレンズ交換式デジタル一眼レフカメラ「LUMIX DMC-L1」を7月22日に発売すると発表した。独ライカと共同開発した専用ズームレンズとのセットで販売する。価格はオープン。実勢価格は25万円前後の見込み。ハイアマチュアをターゲットに月産3000台を計画。海外でも8月に出荷を開始する。
●レンズマウントに「フォーサーズ」を採用、「ライブビュー」機能も
撮像素子に有効794万画素のLive MOSセンサーを採用し、本体の2.5型液晶ディスプレイで撮影する構図を決めることができる「ライブビュー」機能を搭載した。液晶の視野率は100%。
付属レンズは、ライカでは世界初となるデジタル一眼専用ズームレンズ「ライカ D VARIO-ELMARIT(バリオ・エルマリート)」。焦点距離は35ミリフィルム換算で28-100mm、F値は2.8-3.5。最短撮影距離はズーム全域で29cm。レンズ本体には毎秒4000回の高速処理で手ブレを防ぐ「光学式手ブレ補正ジャイロセンサー」と画像処理回路「ヴィーナスエンジンプラス」を内蔵する。
レンズマウントにはデジタル一眼レフのオープン規格「フォーサーズシステム」を採用。同規格に参画するオリンパスが販売している交換レンズ14本とシグマが発売予定の交換レンズ8本も利用できる。また松下でも交換レンズの発売を予定している。発売は07年以降の予定で、35mmフィルムカメラ換算28-300mm(F3.5-5.6)と100-300mm(F2.8-4.0)のズームレンズ2本と、同25mm(F1.4)と同45mm(F2.0)の単焦点レンズ2本の計4本。
カメラ本体の素材にはマグネシウム合金を採用。絞りリングとシャッターダイアルはユーザーが操作して設定できるようにしたほか、レンジファインダーの35mmフィルムカメラを意識したデザインを施した。
ピント合わせはオートフォーカスのほかマニュアルでも可能。マニュアルフォーカス時にはピントを合わせたい場所を任意に選択して最大10倍まで拡大して確認することができる。さらに、新開発のデジタル一眼専用「ヴィーナスエンジンIII」を画像処理回路に搭載し、色ノイズを抑えると同時に低消費電力を実現した。毎秒3万回の超音波振動でセンサーに付着したほこりやゴミを除去する「スーパーソニックウェーブフィルター」も備えた。
●家電メーカー製一眼レフが、カメラメーカー製とどう戦うのか?
「BCNランキング」では、コンパクトデジタルカメラ市場の販売金額が前年を割り込みはじめているのを尻目に、デジタル一眼レフ市場は20%前後の伸びを示しており堅調。しかし、デジタル一眼レフ市場は、キヤノン、ニコンの2強による寡占状態。06年5月の「BCNランキング」で、デジタル一眼レフのメーカー別販売金額シェアは、1位のキヤノンが58.7%、2位のニコンは32.9%。合計では90%を超えている。こうした状況のなか、今後、家電メーカーの松下がどこまで食い込めるかが注目される。
最大のライバルともいえるソニーも、6月6日にコニカミノルタの「αマウントシステム」を受け継いだデジタル一眼レフ「α100」で市場参入を表明したばかり。松下はカメラメーカーだけでなく、ソニーとの戦いも強いられることとなり、競争が激化しそう。
「初年度で国内5万台の販売を目指すが、すでにデジカメでは十分儲かっているから、いたずらにシェアを追うことはしない」――発表会で、松下の牛丸俊三専務役員はこう述べた。その裏にはコンパクトデジタルカメラ市場での「LUMIX」の成功がある。
実際、「BCNランキング」06年5月月次のコンパクトデジタルカメラのメーカー別販売金額シェアで見ると、松下は17.4%と2位。20.8%で1位のキヤノンとは差が開いており、0.1%の僅差ながらソニーを3位に退けている状況。とはいえ、複数メーカーによる競争が激しいコンパクトデジタルカメラ市場で、高いシェアを獲得していることが自信につながっているのは間違いなさそうだ。
●αで参入したソニーとは大きく異なるターゲット
デジタル一眼レフ市場に新規参入したソニー、松下だが、その戦略は大きく異なる。ソニーは「α100」を入門機と位置付け、初心者ユーザーをターゲットにキヤノンのEOS Kiss Digital N、ニコンのD50、D70、D70sなどの競合機種からシェアを奪う戦略を打ち出した。一方松下が「LUMIX DMC-L1」で対象とするのはハイアマチュア層。ライバルと想定される機種はキヤノンのEOS 30DやニコンのD200だが、狙っているのは入門機からの買い替え需要の取り込みだ。
牛丸専務役員は「現在のデジタル一眼レフカメラを使っている人で不便と感じている人は相当いる。(LUMIX DMC-L1)のライブビュー機能はそういった人たちに必ず浸透する」と強調した。
果たして松下の思惑通り、入門機を持つユーザーやハイアマチュアが「LUMIX DMC-L1」に触手を伸ばすのか、製品が店頭に並ぶ夏のボーナス商戦が松下のデジタル一眼の今後を占う1つの試金石となりそうだ。
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・約2200の店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。
松下電器産業は6月21日、同社初のレンズ交換式デジタル一眼レフカメラ「LUMIX DMC-L1」を7月22日に発売すると発表した。独ライカと共同開発した専用ズームレンズとのセットで販売する。価格はオープン。実勢価格は25万円前後の見込み。ハイアマチュアをターゲットに月産3000台を計画。海外でも8月に出荷を開始する。
●レンズマウントに「フォーサーズ」を採用、「ライブビュー」機能も
撮像素子に有効794万画素のLive MOSセンサーを採用し、本体の2.5型液晶ディスプレイで撮影する構図を決めることができる「ライブビュー」機能を搭載した。液晶の視野率は100%。
付属レンズは、ライカでは世界初となるデジタル一眼専用ズームレンズ「ライカ D VARIO-ELMARIT(バリオ・エルマリート)」。焦点距離は35ミリフィルム換算で28-100mm、F値は2.8-3.5。最短撮影距離はズーム全域で29cm。レンズ本体には毎秒4000回の高速処理で手ブレを防ぐ「光学式手ブレ補正ジャイロセンサー」と画像処理回路「ヴィーナスエンジンプラス」を内蔵する。
レンズマウントにはデジタル一眼レフのオープン規格「フォーサーズシステム」を採用。同規格に参画するオリンパスが販売している交換レンズ14本とシグマが発売予定の交換レンズ8本も利用できる。また松下でも交換レンズの発売を予定している。発売は07年以降の予定で、35mmフィルムカメラ換算28-300mm(F3.5-5.6)と100-300mm(F2.8-4.0)のズームレンズ2本と、同25mm(F1.4)と同45mm(F2.0)の単焦点レンズ2本の計4本。
カメラ本体の素材にはマグネシウム合金を採用。絞りリングとシャッターダイアルはユーザーが操作して設定できるようにしたほか、レンジファインダーの35mmフィルムカメラを意識したデザインを施した。
ピント合わせはオートフォーカスのほかマニュアルでも可能。マニュアルフォーカス時にはピントを合わせたい場所を任意に選択して最大10倍まで拡大して確認することができる。さらに、新開発のデジタル一眼専用「ヴィーナスエンジンIII」を画像処理回路に搭載し、色ノイズを抑えると同時に低消費電力を実現した。毎秒3万回の超音波振動でセンサーに付着したほこりやゴミを除去する「スーパーソニックウェーブフィルター」も備えた。
●家電メーカー製一眼レフが、カメラメーカー製とどう戦うのか?
「BCNランキング」では、コンパクトデジタルカメラ市場の販売金額が前年を割り込みはじめているのを尻目に、デジタル一眼レフ市場は20%前後の伸びを示しており堅調。しかし、デジタル一眼レフ市場は、キヤノン、ニコンの2強による寡占状態。06年5月の「BCNランキング」で、デジタル一眼レフのメーカー別販売金額シェアは、1位のキヤノンが58.7%、2位のニコンは32.9%。合計では90%を超えている。こうした状況のなか、今後、家電メーカーの松下がどこまで食い込めるかが注目される。
最大のライバルともいえるソニーも、6月6日にコニカミノルタの「αマウントシステム」を受け継いだデジタル一眼レフ「α100」で市場参入を表明したばかり。松下はカメラメーカーだけでなく、ソニーとの戦いも強いられることとなり、競争が激化しそう。
「初年度で国内5万台の販売を目指すが、すでにデジカメでは十分儲かっているから、いたずらにシェアを追うことはしない」――発表会で、松下の牛丸俊三専務役員はこう述べた。その裏にはコンパクトデジタルカメラ市場での「LUMIX」の成功がある。
実際、「BCNランキング」06年5月月次のコンパクトデジタルカメラのメーカー別販売金額シェアで見ると、松下は17.4%と2位。20.8%で1位のキヤノンとは差が開いており、0.1%の僅差ながらソニーを3位に退けている状況。とはいえ、複数メーカーによる競争が激しいコンパクトデジタルカメラ市場で、高いシェアを獲得していることが自信につながっているのは間違いなさそうだ。
●αで参入したソニーとは大きく異なるターゲット
デジタル一眼レフ市場に新規参入したソニー、松下だが、その戦略は大きく異なる。ソニーは「α100」を入門機と位置付け、初心者ユーザーをターゲットにキヤノンのEOS Kiss Digital N、ニコンのD50、D70、D70sなどの競合機種からシェアを奪う戦略を打ち出した。一方松下が「LUMIX DMC-L1」で対象とするのはハイアマチュア層。ライバルと想定される機種はキヤノンのEOS 30DやニコンのD200だが、狙っているのは入門機からの買い替え需要の取り込みだ。
牛丸専務役員は「現在のデジタル一眼レフカメラを使っている人で不便と感じている人は相当いる。(LUMIX DMC-L1)のライブビュー機能はそういった人たちに必ず浸透する」と強調した。
果たして松下の思惑通り、入門機を持つユーザーやハイアマチュアが「LUMIX DMC-L1」に触手を伸ばすのか、製品が店頭に並ぶ夏のボーナス商戦が松下のデジタル一眼の今後を占う1つの試金石となりそうだ。
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・約2200の店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。