昔テクノで今真空管、25週トップを走るオーディオキャプチャーの隠し味は?

特集

2006/06/16 00:05

 巷では中高年にバンドブームが訪れているという。昔とった杵柄で演奏すれば、年齢だけでなく音も「枯れて」ちょうどいい感じになるのだとか。「BCNランキング」では、楽器類を除いた「MIDI端子を搭載するDTM(デスクトップミュージック)関連機器」を「MIDI」カテゴリとして分類。音楽製作系の周辺機器ランキングを集計しているが、25週連続トップの製品は、なつかしの音を再現する機能が自慢だ。

 巷では中高年にバンドブームが訪れているという。昔とった杵柄で演奏すれば、年齢だけでなく音も「枯れて」ちょうどいい感じになるのだとか。「BCNランキング」では、楽器類を除いた「MIDI端子を搭載するDTM(デスクトップミュージック)関連機器」を「MIDI」カテゴリとして分類。音楽製作系の周辺機器ランキングを集計しているが、25週連続トップの製品は、なつかしの音を再現する機能が自慢だ。


 「BCNランキング」の6月第1週(5月29日-6月4日)、販売台数シェア15.5%で1位となったのはローランドの「UA-4FX」。レコードやカセットテープなどのアナログ音源をデジタル化しUSB経由でPCに送り込む、いわゆるオーディオキャプチャーボックスだ。発売直後の05年12月から25週連続でランキングトップをひた走っている。


 デジタル・アナログ変換回路に最新のAD/DAコンバーターを搭載し、最大で24ビット/96kHzとスタジオ級の高音質で録音と再生ができるのが特徴。デジタル出力時はドルビー・デジタル、DTS 5.1チャンネル再生にも対応する。12種類のエフェクター、声色を変化できるボイスチェンジャーなども搭載。「真空管アンプ・シミュレーター」も内蔵するなど機能が盛りだくさん。それでいて大手量販店での実売価格は1万9000円前後と手ごろな価格なのが人気の理由のようだ。

 また、4位となったローランドの「UA-25」も同じくオーディオキャプチャーボックス。こちらも24ビット/96kHzの入出力に対応する。アナログ信号が歪まず、最大レベルでデジタル信号に変換する「アナログ・リミッター回路」などを搭載するハイスペックタイプ。ボーカルやアコースティック楽器といった音量が一定しないアナログ音源でも高音質なデジタル録音ができることが特徴だ。大手量販店での実売価格は2万5000円前後と「UA-4FX」よりも若干高め。


 ランキング2位のローランド「UM-1EX」、3位のヤマハ「UX16」、5位のローランド「UM-2EX」は、いずれもMIDI楽器とPCをUSBで接続するケーブル一体型のMIDIインターフェイス。いずれも店頭での実売価格は4000円程度。「UM-1EX」は1IN/1OUT、「UX16」が16IN/16OUT、「UM-2EX」は1IN/2OUTのMIDIの入出力が可能。ともに電源にはUSBバス電源方式を採用している。


 携帯オーディオの普及が進むにつれ、音楽のデジタル化は急速に進展している。「お宝のレコードや昔録ったバンド演奏のカセットをデジタル化したい」といったニーズが旺盛なことをランキングが物語っている。そして、「音楽をつくりたい」というニーズも連綿と続いているようだ。その昔、いかにも「コンピュータでつくりました」という機械的なサウンドが珍しがられもてはやされた。しかし今やコンピュータで「レコードのスクラッチノイズ」や「真空管アンプの音」を再現してしまうという逆転現象。パソコンの能力が格段に向上したのだ。単に音楽ライブラリーを管理するためにパソコンを使うのはもったいない。一度「音楽をつくる楽しみ」を、パソコンを使って味わうことも考えてみてはどうだろう。


*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・約2200の店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。