日立と日本気象協会など、洪水被害を高速・高精度に予測できるシミュレータ
日立製作所(古川一夫社長)と日立エンジニアリング・アンド・サービス(矢内勝也社長)、日本気象協会首都圏支社(日本気象協会、嶋健一支社長)は、洪水シミュレータ「DioVISTA/Flood Simulator」を6月30日に発売する。価格は480万円から。ハードウェア、地図データ、衛星写真などの費用やシステム整備費用は別途。
日立と日本気象協会が、地理情報システム(GIS:Geographic Information System)による3次元の地図上で洪水の様子を可視化する技術を05年8月に開発。さらに今回、新たに地理情報システム「DioVISTA」も開発し、衛星写真、標高データ、地形図、道路地図、住宅地図を組み合わせ、地形や建物を立体化した3次元表示を実現。日立エンジニアリング・アンド・サービスとともに製品化した。
一般的なWindows PCで動作し、台風や大雨により発生が予想される水害について、地域ごとの地理情報に対応した予測を可能にする洪水シミュレータで、洪水発生時の行動計画を立案する防災業務に役立てることができる。
高速で洪水シミュレーションを行うことで、従来のハザードマップ(被害予測地図)では表現できなかった浸水状況の経緯などについて、高精度な予測が可能になるのが特徴。国土地理院地形図データ、昭文社道路地図など各種地図に全国規模で対応しており、国内のどの河川でもシミュレーション対象として指定することができる。
破堤越水条件、降雨シナリオなどの計算条件を簡単に設定操作できることに加え、シミュレーション結果の浸水の深さによる建物の色分け表示、水位・地形の縦断面表示、時間ごとの最大浸水深の領域表示、アニメーション再生、印刷、動画出力などの機能も備えている。
今後、日立と日立エンジニアリング・アンド・サービスは、日本気象協会からMICOS(マイコス:Meteorological Information Comprehensive Online Service)で提供される気象予測情報との連携によって、河川流入予測、河川水位予測、河川越水箇所予測、高潮シミュレーションなどの機能を追加し、総合防災システムに拡張していく予定。