富士通研究所、大容量化実現に一役買うHDD用潤滑剤を開発
富士通研究所(村野和雄社長)は4月7日、HDDのディスク媒体の潤滑剤に含まれる分子の高さを制御し、従来よりも70%以下に低減する技術を開発したと発表した。同技術を使えばHDD内のディスク媒体と磁気ヘッドとの隙間を現行の10nm(ナノメートル)より小さくすることが可能となり、データの読み書きの精度を上げ信頼性を上げることができる。
富士通研究所では、分子量の小さい潤滑剤分子を複数個連結し、連結部に保護膜と連結しやすい吸着基を導入する技術を開発。吸着基が分子を垂直方向に伸びることを抑制し高さを低くすると同時に、複数の分子が連結することで、トータルの分子量が大きくなり潤滑剤の蒸発を抑える。
そのため、現行の潤滑剤に比べて70%以下の分子の高さで、かつ蒸発しにくい潤滑剤を作ることができた。また、分子量を大きくしても高さがほとんど変化しない上、従来の潤滑膜の製造プロセスで生産できる。
富士通研究所では、HDD大容量化での高信頼性にも技術が応用できると見込んでおり、2010年以降の実用化を目指している1テラビット/平方インチの記録密度HDDで実用化を進める。