コンパクトデジカメ春の陣、序盤戦を制したのは松下の「LUMIX」
コンパクトデジカメの春モデル商戦序盤で好調なスタートを切ったのは、登場2週目で1位を獲得した松下電器産業の「LUMIX DMC-FX01」だった。春の行楽シーズンが本番を迎えるこれからの時期、ゴールデンウィークを頂点にコンパクトデジカメの春モデル商戦は本格化する。その前哨戦について「BCNランキング」3月第4週(3月20日-3月26日)のデータをもとに動向をまとめた。なお今回は、機種ごとの動きを見るため、カラーバリエーションのある機種は合算して集計した。
コンパクトデジカメの春モデル商戦序盤で好調なスタートを切ったのは、登場2週目で1位を獲得した松下電器産業の「LUMIX DMC-FX01」だった。春の行楽シーズンが本番を迎えるこれからの時期、ゴールデンウィークを頂点にコンパクトデジカメの春モデル商戦は本格化する。その前哨戦について「BCNランキング」3月第4週(3月20日-3月26日)のデータをもとに動向をまとめた。なお今回は、機種ごとの動きを見るため、カラーバリエーションのある機種は合算して集計した。
●今年の春は「ブレ防止」に加えて「広角」がキーワード
今年に入って発売された機種を「春モデル」と定義すると、序盤戦の状況を反映する今回のランキングで、トップ20に早くも8モデルがランクインしてきた。
このところコンパクトデジカメは「手ブレ」や「被写体ブレ」を防止する機能が標準となりつつあるが、今年の春モデルでは「広角」レンズを採用した機種が目立つ。ブレ防止もさることながら、「集合写真や風景などを簡単に撮影できる」ことが、新たなアピールポイントとなっているようだ。
販売台数シェア9.8%でランキング1位を獲得したのは松下の「LUMIX DMC-FX01」。FXシリーズの最新モデルとなり、35ミリフィルムカメラ換算で28-102mmと、広角側を広めにとった独ライカ製のズームレンズを採用した。CCDは有効600万画素。光学式手ブレ補正のジャイロセンサーと最大ISO1600までの高感度モードで「手ブレ」と「被写体ブレ」の双方を防止する。ボディーカラーのバリエーションは、シルキーシルバー、ミスティピンク、パールホワイト、エクストラブラックの4つ。都内の家電量販店では4万円台半ばで販売している。
都内にある大手家電量販店の店員は、「手ブレ防止、高感度、広角と3拍子そろった機能が人気で幅広い年齢層が買っている。CMキャラクターが歌手の浜崎あゆみさんということもあり、指名買いをする若い人も少なくない」と話す。
2位はカシオの「EXILIM ZOOM EX-Z600」で、シェアは8.5%。手ブレと被写体ブレを軽減する「アンチシェイクDSP」を搭載した。CCDは有効600万画素、ズームレンズは光学3倍。秒間3枚の高速フラッシュ撮影が可能な「フラッシュ連写」、色のあせた古い写真を鮮やかに撮れる「よみがえりショット」などの独自機能も特徴だ。色はシルバー、レッド、ゴールド、ブルー、ブラウンの5色。都内の量販店では実売4万円前半といったところ。「ブレ防止機能に加え、最薄部18.6mmという薄さが幅広い層で人気を集めている」(都内の大手量販店店員)ようだ。
さらに、まだトップ20にはランクインしていないものの、3月中旬から下旬にかけて新製品が続々と発売されており、これから本格化する春モデルバトルは、より熾烈なものとなりそうだ。
●松下が「垂直立ち上げ」でトップを獲得、キヤノンはシェアを落とす
次に、春モデルのうち、ランキング上位5機種の機種別シェア推移を見てみよう。なお、各機種ともに発売日以前の数字は予約分となっている。
松下の「DMC-FX01」はきわめて力強い立ち上がりを示した。3月10日の発売直後からほぼ「垂直」と呼べる動きで販売を伸ばし、一気にトップを獲得。広告の効果はもとより、大手量販店などでは個別コーナーを設けて力を入れていることも、大きく貢献しているようだ。一方、2位のカシオ「EX-Z600」は、1月27日発売後からほぼ横ばいで安定した売れ行きだが、ここにきてさらにシェアを伸ばしてきた。
一方、やや精彩を欠くのがソニーの「サイバーショット DSC-W30」。発売は「DMC-FX01」と同じ3月10日。発売直後は勢いがあったものの、その後は頭打ち状態。新モデルながら「レンズが35mm換算で38?114mmと広角側が物足りない。ブレ防止機能も高感度によるものだけで、その他のブレ補正機能も持つ他メーカーの新機種に比べやや見劣りする」(都内の大手家電量販店店員)という要因もありそうだ。
また、2月中旬に発売した6位のオリンパス「μ710」も発売当初は順調な伸びを示したが、松下の「DMC-FX01」に押されてシェアを下げた。しかし、「薄型コンパクトボディのデザインで若者から一定の人気がある」(同)ようで、少しずつ持ち直し始めている。
これからの注目は、キヤノンが3月16日に発売した「IXY DIGITAL 70」。同社の春モデル第1弾で、600万画素のCCD、焦点距離は35-105mmのレンズ、高感度方式の手ブレ・被写体ブレ防止機能を搭載する。「レンズの色合いがきれいで、ファミリー層や年配層に売れている」(同)こともあってか、発売から2週目でシェア3.6%を獲得して7位にランクインした。このまま勢いが続けば「DMC-FX01」と一騎打ちの場面も見られそうだ。
●メーカー別ではキヤノンに勢い
メーカー別のシェアはどうだろう。2月から3月にかけての週次の推移を見てみると、3月に入ってキヤノンが1位を獲得。第3週では19.9%のシェアを獲得して混戦から一歩抜け出した。一方、「DMC-FX01」で勢いに乗る松下はシェアを着実に伸ばし3月第3週ではソニーを抜き、シェア17.4%で2位に踊り出た。1位のキヤノンの背中を捕らえ、じわりじわりと接近している格好だ。
3位のソニーは3月に一時シェアを落としたが、「サイバーショット W30」をはじめとする新製品効果で少し持ち直している。4位のカシオは個別機種は好調だが全体ではシェアはやや下降気味。オリンパスはほぼ横ばいで5位をキープしているといった状況だ。
春モデル商戦で、今後ポイントとなるのはキヤノンの動きだろう。春モデルのコンパクトデジカメは「IXY DIGITAL 70」以降、「PowerShot」シリーズ3機種を3月中旬に発売。さらに「IXY DIGITAL」シリーズ3機種を4月中旬に発売する。ゴールデンウィークを天王山に、メーカーシェアでトップの座をこのまま維持できるのか? また機種別で、松下をはじめとする各社とどんな戦いを繰り広げるのかが、今後の焦点となりそうだ。
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・約2200の店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。
コンパクトデジカメの春モデル商戦序盤で好調なスタートを切ったのは、登場2週目で1位を獲得した松下電器産業の「LUMIX DMC-FX01」だった。春の行楽シーズンが本番を迎えるこれからの時期、ゴールデンウィークを頂点にコンパクトデジカメの春モデル商戦は本格化する。その前哨戦について「BCNランキング」3月第4週(3月20日-3月26日)のデータをもとに動向をまとめた。なお今回は、機種ごとの動きを見るため、カラーバリエーションのある機種は合算して集計した。
●今年の春は「ブレ防止」に加えて「広角」がキーワード
今年に入って発売された機種を「春モデル」と定義すると、序盤戦の状況を反映する今回のランキングで、トップ20に早くも8モデルがランクインしてきた。
このところコンパクトデジカメは「手ブレ」や「被写体ブレ」を防止する機能が標準となりつつあるが、今年の春モデルでは「広角」レンズを採用した機種が目立つ。ブレ防止もさることながら、「集合写真や風景などを簡単に撮影できる」ことが、新たなアピールポイントとなっているようだ。
販売台数シェア9.8%でランキング1位を獲得したのは松下の「LUMIX DMC-FX01」。FXシリーズの最新モデルとなり、35ミリフィルムカメラ換算で28-102mmと、広角側を広めにとった独ライカ製のズームレンズを採用した。CCDは有効600万画素。光学式手ブレ補正のジャイロセンサーと最大ISO1600までの高感度モードで「手ブレ」と「被写体ブレ」の双方を防止する。ボディーカラーのバリエーションは、シルキーシルバー、ミスティピンク、パールホワイト、エクストラブラックの4つ。都内の家電量販店では4万円台半ばで販売している。
都内にある大手家電量販店の店員は、「手ブレ防止、高感度、広角と3拍子そろった機能が人気で幅広い年齢層が買っている。CMキャラクターが歌手の浜崎あゆみさんということもあり、指名買いをする若い人も少なくない」と話す。
2位はカシオの「EXILIM ZOOM EX-Z600」で、シェアは8.5%。手ブレと被写体ブレを軽減する「アンチシェイクDSP」を搭載した。CCDは有効600万画素、ズームレンズは光学3倍。秒間3枚の高速フラッシュ撮影が可能な「フラッシュ連写」、色のあせた古い写真を鮮やかに撮れる「よみがえりショット」などの独自機能も特徴だ。色はシルバー、レッド、ゴールド、ブルー、ブラウンの5色。都内の量販店では実売4万円前半といったところ。「ブレ防止機能に加え、最薄部18.6mmという薄さが幅広い層で人気を集めている」(都内の大手量販店店員)ようだ。
さらに、まだトップ20にはランクインしていないものの、3月中旬から下旬にかけて新製品が続々と発売されており、これから本格化する春モデルバトルは、より熾烈なものとなりそうだ。
●松下が「垂直立ち上げ」でトップを獲得、キヤノンはシェアを落とす
次に、春モデルのうち、ランキング上位5機種の機種別シェア推移を見てみよう。なお、各機種ともに発売日以前の数字は予約分となっている。
松下の「DMC-FX01」はきわめて力強い立ち上がりを示した。3月10日の発売直後からほぼ「垂直」と呼べる動きで販売を伸ばし、一気にトップを獲得。広告の効果はもとより、大手量販店などでは個別コーナーを設けて力を入れていることも、大きく貢献しているようだ。一方、2位のカシオ「EX-Z600」は、1月27日発売後からほぼ横ばいで安定した売れ行きだが、ここにきてさらにシェアを伸ばしてきた。
一方、やや精彩を欠くのがソニーの「サイバーショット DSC-W30」。発売は「DMC-FX01」と同じ3月10日。発売直後は勢いがあったものの、その後は頭打ち状態。新モデルながら「レンズが35mm換算で38?114mmと広角側が物足りない。ブレ防止機能も高感度によるものだけで、その他のブレ補正機能も持つ他メーカーの新機種に比べやや見劣りする」(都内の大手家電量販店店員)という要因もありそうだ。
また、2月中旬に発売した6位のオリンパス「μ710」も発売当初は順調な伸びを示したが、松下の「DMC-FX01」に押されてシェアを下げた。しかし、「薄型コンパクトボディのデザインで若者から一定の人気がある」(同)ようで、少しずつ持ち直し始めている。
これからの注目は、キヤノンが3月16日に発売した「IXY DIGITAL 70」。同社の春モデル第1弾で、600万画素のCCD、焦点距離は35-105mmのレンズ、高感度方式の手ブレ・被写体ブレ防止機能を搭載する。「レンズの色合いがきれいで、ファミリー層や年配層に売れている」(同)こともあってか、発売から2週目でシェア3.6%を獲得して7位にランクインした。このまま勢いが続けば「DMC-FX01」と一騎打ちの場面も見られそうだ。
●メーカー別ではキヤノンに勢い
メーカー別のシェアはどうだろう。2月から3月にかけての週次の推移を見てみると、3月に入ってキヤノンが1位を獲得。第3週では19.9%のシェアを獲得して混戦から一歩抜け出した。一方、「DMC-FX01」で勢いに乗る松下はシェアを着実に伸ばし3月第3週ではソニーを抜き、シェア17.4%で2位に踊り出た。1位のキヤノンの背中を捕らえ、じわりじわりと接近している格好だ。
3位のソニーは3月に一時シェアを落としたが、「サイバーショット W30」をはじめとする新製品効果で少し持ち直している。4位のカシオは個別機種は好調だが全体ではシェアはやや下降気味。オリンパスはほぼ横ばいで5位をキープしているといった状況だ。
春モデル商戦で、今後ポイントとなるのはキヤノンの動きだろう。春モデルのコンパクトデジカメは「IXY DIGITAL 70」以降、「PowerShot」シリーズ3機種を3月中旬に発売。さらに「IXY DIGITAL」シリーズ3機種を4月中旬に発売する。ゴールデンウィークを天王山に、メーカーシェアでトップの座をこのまま維持できるのか? また機種別で、松下をはじめとする各社とどんな戦いを繰り広げるのかが、今後の焦点となりそうだ。
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・約2200の店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで115品目を対象としています。