ウェザー・サービスなど、花粉の飛散経路を参加者PCの余力束ねて探索
ウェザー・サービス(横田匡彦社長)とNTTデータ(浜口友一社長)は、グリッドコンピューティング技術を使って花粉飛散のシミュレーションを行う「花粉飛散経路探索プロジェクト」を2月21日から3月31日まで実施すると発表した。
シミュレーションは仮想的なスーパーコンピュータを作り出す「cell computing βirth(セルコンピューティングバース)」で行う。一般の参加者が、インターネットに接続されたパソコンの余剰能力を提供。それらを束ねることで仮想のスーパーコンピュータを作り、科学やエンターテイメントなどさまざまなテーマで大規模な計算を行い問題解決を目指すもの。
「花粉飛散経路探索プロジェクト」では、スギ花粉が時間とともにどのような経路をたどって飛散してくるかを、地形や気象情報、花粉開花のメカニズムなどを用いてシミュレーション。解析結果は常時、Webサイトで公開し、今後の花粉飛散予測の精度向上などに活用する。
実施範囲は、関東全域と甲信越、南東北、中部の一部。対象地域にある約1万平方キロメートルのスギ林を仮想的に約2キロ平方メートルの6万7000か所に分割し、ウェザー・サービスの花粉飛散シミュレータを利用して、より詳細な花粉飛散シミュレーションを行う。
1台のPCは6万7000か所の中の1メッシュ分(2キロ平方メートル)処理を担当。花粉量のシミュレーションを、スギ林密度情報などの「植生データ」や風向風速や気温などの「気象データ」、花粉放出量などの「開花時の初期データ」をもとに行う。地表面に加え、15階層に分けた上空約1500mまでの状況を1時間ごとに6時間先まで計算する。
さらに、6?12時間までの状況を別のPCで計算。最大で1週間先までシミュレーションする。プロジェクト完了時には、発生地域別の立体花粉飛散マップの作成や任意の観測地点について、花粉量図作成用の基礎データを得る狙い。
2社は今後、同プロジェクトで得られたデータをもとに、一部の発生源ごとの飛散経路シミュレーションをWebサイト上で随時公開。また、シミュレーションプログラムの特徴を把握し、最適化することで、今後の花粉予報の精度向上に活用していく。