大成建設、絶滅危惧種の水草、復活に光、湖や沼の底に眠る種子の発芽成功で
大成建設(葉山莞児社長)は、千葉大学園芸学部の百原新助教授と共同で、温度条件を制御することにより水草の発芽と生長を促進する技術を開発した。この水草発芽技術を、千葉県の印旛沼の湖底下から採取した種子(埋土種子)に適用した結果、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧種とされる水草の発芽にも成功した。
湖沼の水中に生育する水草は、水質浄化効果など湖沼の環境改善に重要な役割を担っている。今回開発した土に埋まった水草の種子を発芽させる技術は、温度条件などを制御することで、種子の発芽効率や生長度を向上させるもの。実証実験では、印旛沼干拓地の約3メートル下の土壌から採取した埋土種子を使い、試験水槽において種子の発芽ならびに生育状況をモニタリング。実験の結果、現在の印旛沼では観察されておらず、環境省のレッドデータブックでも絶滅危惧種(I類が最も稀少)に指定されている、ケナガシャジクモ(絶滅危惧I類)、ムサシモ(絶滅危惧IA類)の発芽に成功したことから、本技術により埋土種子から稀少な水草が復活できることを実証した。
大成建設は今後、水草の発芽や生育に関するデータをさらに収集し、水草発芽技術の適用範囲を拡大するとともに、同社が保有する水域環境再生技術を活用して、草の生育に適した湖沼の環境改善を目指す。さらに、埋土種子の効率的な採取方法の開発や、浚渫土の有効活用による生育地の造成、湖岸生態系の健全な再生に関する研究開発も展開する予定。