ソニー、高音質録音を追求した携帯型リニアPCMレコーダー「PCM-D1」

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2005/11/09 15:33



 ソニーは11月9日、4GBフラッシュメモリー内蔵の携帯型リニアPCMレコーダー「PCM-D1」を11月21日に発売すると発表した。実勢価格は20万円前後の見込み。

 鳥のさえずりや虫の音などの自然音や楽器演奏を高音質で収録できるのが特徴。新たに開発した高感度の内蔵マイクと非圧縮デジタル音声のリニアPCM方式を採用し徹底した低ノイズ設計を行った。サンプリング周波数96kHz/量子化ビット数24bitまで対応し、CDを超える高音質の録音が可能。また、記録した音声は、Hi-Speed USBによりパソコンに高速転送でき、付属のソフトウエアを使った音声編集やオリジナルCD制作などにも対応する。

 高感度・低ノイズの内蔵マイクについては、真鍮の削り出し加工による精度の高いきょう体を採用。各部品の取り付け位置や開口寸法を細かく調整した専用の内蔵コンデンサーマイクで、安定した録音性能を実現した。また、2基のマイクそれぞれが中央に傾いた形により、左右の音を広範囲にカバー。センターからの音は両マイクがほぼ同じ位相と感度でとらえるため、中抜けすることなくしっかりと音を拾う。その結果、自然なステレオイメージでの集音を可能にした。さらに、マイクは前面30度-背面45度まで動かすこともでき、卓上や手持ちでも状況に応じたセッティングができる。

 電気回路のアナログ部とデジタル部の基板を独立させ、デジタル回路で発生するノイズの影響を極力抑えた。音の入り口から記録し出力するまで、マイクアンプをはじめとする各部品も厳選。徹底的にノイズを低減する高音質設計を行った。新しく開発した録音ボリュームには、内部抵抗体に特殊カーボンインクを採用。ボリューム調整による摩擦ノイズの発生を抑えた。ボタン操作による物理的ノイズも極力抑えるためクリック感の少ない部品を採用。片手でもスムーズに使えるよう、操作ボタンを配置した。さらにREC、PLAY、PAUSEなど主要なボタンにはLEDを内蔵し、操作中の視認性を高めた。

 デザイン面ではデジタル録音機ながら、繊細な音を針の揺れで示すアナログレベルメーターを採用。針の揺れがノイズとならない設計も施した。また、液晶パネルの電流によるノイズを抑えるために、駆動電圧の低い白黒液晶を採用した。きょう体は厚さ1mmの純チタン素材。「絞り加工」により箱型に成型し、本体の剛性を高めた。加えて、大音響でも共振してノイズが発生しないよう、共振周波数が異なる複数の金属素材を採用。マイクガードにはステンレス、マイクには真鍮、ボディーはマグネシウムダイキャストとチタンとし、共振によるノイズ発生を極力抑える構造とした。

 付属する専用三脚は、足先に振動吸収素材を取り付け、机などの接地面からの振動を低減。また、録音時に閉じた状態の三脚を持つことにより、手とレコーダー本体の摩擦によって発生するノイズを防止することもできる。

 最大録音時間は約13時間10分(22.05kHz/16ビット時)、最高音質での最大録音時間は約2時間(96.00kHz/24ビット時)。単三電池4本で動作し、付属のニッケル水素充電池を使っての連続録音時間は約5時間(44.10kHz 16ビット時)メモリースティック PRO(Hi-Speed)のみ対応するスロットを内蔵している。