実は売れてるPC用高級スピーカー、台数か金額かでがらりと変わるランキング
PC用のスピーカーなんて音さえ出りゃそれでいい……というのは昔の話。MP3で楽しむ音楽が普及するにつれ、PCと音楽は切っても切れない関係になってきた。PC用スピーカーが、サプライ品から音響機器へとシフトしていくのも自然な流れだ。BOSEやオーディオテクニカ、オンキヨーといった音響専業メーカーのPC用スピーカーも店頭で良く見かけるようになってきた。そこで音響専業メーカー製を中心に、PC・携帯オーディオ用のスピーカーについて、売れ筋動向などをまとめてみた。
PC用のスピーカーなんて音さえ出りゃそれでいい……というのは昔の話。MP3で楽しむ音楽が普及するにつれ、PCと音楽は切っても切れない関係になってきた。PC用スピーカーが、サプライ品から音響機器へとシフトしていくのも自然な流れだ。BOSEやオーディオテクニカ、オンキヨーといった音響専業メーカーのPC用スピーカーも店頭で良く見かけるようになってきた。そこで音響専業メーカー製を中心に、PC・携帯オーディオ用のスピーカーについて、売れ筋動向などをまとめてみた。
●数が出ているのはやはり安価なサプライ系
AV機器とは異なり、PCのAVはあくまでも付加価値的な機能として捉えられがち。いまだにサウンドに関しては「鳴ればいい」という昔ながらの認識しか持ち合わせてないユーザーが存在することも事実だ。さらにサプライメーカーのスピーカーとはいえ、そこそこの音が出る上にとにかく安価。そんな事情もあって、ピュアなオーディオ市場とは異なり、PCスピーカー市場では高性能ながら価格が高い音響専業メーカーの製品は、一見苦戦を強いられているように見える。
ここでもう少し具体的に「音響専業メーカーとはどういったメーカーなのか」という部分について説明しておこう。音響専業メーカーとは、いわゆるオーディオ製品をメインにしているメーカーのこと。たとえばスピーカーのBOSE、種々の楽器やミキサー機器のRolandやYAMAHA、総合的なオーディオ機器を扱うオンキヨーやDENONなどが代表だ。またPC向けのスピーカーやサウンドカード等で知られるクリエイティブメディア等も、かなりPC寄りではあるが音響専業メーカーと位置付けてもいいだろう。
こういったメーカーは原則としてオーディオに関連した機器だけを専門に作っている、いわば老舗。あくまでも音響機器としてのアプローチで製品作りを行っている。これに対しサプライ品メーカーは、PC関連パーツの1つとしてをスピーカーをラインアップに入れている。当然、オーディオ製品はその中のごく一部の割合でしかない。音響専業メーカーは、さすがに専業だけあって、独自に蓄積した音響ノウハウが豊富。したがって製品の信頼性や品質がともに高い。しかしそういった製品の完成度の高さに反比例して価格はサプライ品メーカーに比べて若干高めになっている。
●販売金額シェアランキングでは顔ぶれが一変
先ほど「音響専業メーカー製品はサプライメーカーに対して若干割高傾向にある」と書いた。確かに音響専業メーカーの中には、BOSEを始めとする高級機路線メーカーも多く、この市場の平均単価からすればかなり高価だ。しかし、こういった製品は意外に売れている。販売金額のランキングを見るとよくわかる。
例えば「PC用スピーカー販売台数シェアランキング」ではBOSEのiPod専用スピーカー「SOUNDDOCK」は、平均単価が3万円台とかなり高価で売り上げランキングは16位。しかし、販売金額ランキングではなんと1位。その他、アンプ内蔵スピーカー「COMPANION3」も、台数では31位だが、金額では2位。BOSE製品はかなり強気の価格設定だが人気は高い。Harman Multimedia の JBL On Stage J はiPodとiPod mini用のサウンドステーションで、台数ランキングでは52位であるにもか変わらず、金額ランキングでは4位と好調だ。それほど数は出なくても、しっかり売り上げる製品ということになる。
また、数も金額もそこそこのバランスの取れた製品もある。例えば7位のアクティブスピーカー「AT-SP100 WH」(オーディオテクニカ)などは、台数ランキングにも上位に顔を出している。
●台数では3割に満たないが、販売金額のほぼ半分を占める音響専業メーカー
それでは、音響専業メーカーとサプライメーカーで、販売台数と金額でそのシェアを比較してみよう。販売台数ベースで見ると、音響専業メーカー製スピーカーのシェアは約25%程度。割合は思ったほどに低くはないものの、数としてはやはり少数派だ。
しかし金額シェア見ると、実に49%。総売り上げの約半分は音響専業メーカー製スピーカーで占めている。売り上げ規模から考えると、予想以上に音響専業メーカーの製品がユーザーの間に浸透しているのがわかる。高級スピーカーにもかなりのニーズがある、ということだ。
一方、サプライ品メーカーのスピーカーに目を向けてみると、価格面はもちろんのこと、そのコンセプトも実に幅広くユニークな製品が多い。たとえばPCケースの3.5インチベイに収まってしまう超小型のサブウーハー付きスピーカーや、空気を注入して使うスピーカー(空気を注入することで音域が広がるというのだが……)など、少々怪し気で笑える製品も多い。音響専業メーカーのスピーカーが性能第一の堅実さが魅力であるのに対し、サプライ品メーカーのスピーカーは安さと遊び心が魅力。
そういった意味で言えばサプライ品メーカーと音響専業メーカーのスピーカーとでは、明確なコンセプトの違いがあり、自分のニーズやオーディオに対するスタンスを考えれば、どちらを選ぶのかは自ずから決まってくる。PCからのスピーカー出力は、時としてノイズが乗っていることも多い。そんなPCに高価なスピーカーをつけても宝の持ち腐れになってしまう。しかし、きちんとクリアな音が出力できるPCを持っているのなら、ちょっとスピーカーを奮発してみてはどうだろう? そこには価格以上に快適でリッチな音楽ライフが待っているかも知れない。(市川昭彦<Aqui-Z>)
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで113品目を対象としています。
PC用のスピーカーなんて音さえ出りゃそれでいい……というのは昔の話。MP3で楽しむ音楽が普及するにつれ、PCと音楽は切っても切れない関係になってきた。PC用スピーカーが、サプライ品から音響機器へとシフトしていくのも自然な流れだ。BOSEやオーディオテクニカ、オンキヨーといった音響専業メーカーのPC用スピーカーも店頭で良く見かけるようになってきた。そこで音響専業メーカー製を中心に、PC・携帯オーディオ用のスピーカーについて、売れ筋動向などをまとめてみた。
●数が出ているのはやはり安価なサプライ系
AV機器とは異なり、PCのAVはあくまでも付加価値的な機能として捉えられがち。いまだにサウンドに関しては「鳴ればいい」という昔ながらの認識しか持ち合わせてないユーザーが存在することも事実だ。さらにサプライメーカーのスピーカーとはいえ、そこそこの音が出る上にとにかく安価。そんな事情もあって、ピュアなオーディオ市場とは異なり、PCスピーカー市場では高性能ながら価格が高い音響専業メーカーの製品は、一見苦戦を強いられているように見える。
ここでもう少し具体的に「音響専業メーカーとはどういったメーカーなのか」という部分について説明しておこう。音響専業メーカーとは、いわゆるオーディオ製品をメインにしているメーカーのこと。たとえばスピーカーのBOSE、種々の楽器やミキサー機器のRolandやYAMAHA、総合的なオーディオ機器を扱うオンキヨーやDENONなどが代表だ。またPC向けのスピーカーやサウンドカード等で知られるクリエイティブメディア等も、かなりPC寄りではあるが音響専業メーカーと位置付けてもいいだろう。
こういったメーカーは原則としてオーディオに関連した機器だけを専門に作っている、いわば老舗。あくまでも音響機器としてのアプローチで製品作りを行っている。これに対しサプライ品メーカーは、PC関連パーツの1つとしてをスピーカーをラインアップに入れている。当然、オーディオ製品はその中のごく一部の割合でしかない。音響専業メーカーは、さすがに専業だけあって、独自に蓄積した音響ノウハウが豊富。したがって製品の信頼性や品質がともに高い。しかしそういった製品の完成度の高さに反比例して価格はサプライ品メーカーに比べて若干高めになっている。
●販売金額シェアランキングでは顔ぶれが一変
先ほど「音響専業メーカー製品はサプライメーカーに対して若干割高傾向にある」と書いた。確かに音響専業メーカーの中には、BOSEを始めとする高級機路線メーカーも多く、この市場の平均単価からすればかなり高価だ。しかし、こういった製品は意外に売れている。販売金額のランキングを見るとよくわかる。
例えば「PC用スピーカー販売台数シェアランキング」ではBOSEのiPod専用スピーカー「SOUNDDOCK」は、平均単価が3万円台とかなり高価で売り上げランキングは16位。しかし、販売金額ランキングではなんと1位。その他、アンプ内蔵スピーカー「COMPANION3」も、台数では31位だが、金額では2位。BOSE製品はかなり強気の価格設定だが人気は高い。Harman Multimedia の JBL On Stage J はiPodとiPod mini用のサウンドステーションで、台数ランキングでは52位であるにもか変わらず、金額ランキングでは4位と好調だ。それほど数は出なくても、しっかり売り上げる製品ということになる。
また、数も金額もそこそこのバランスの取れた製品もある。例えば7位のアクティブスピーカー「AT-SP100 WH」(オーディオテクニカ)などは、台数ランキングにも上位に顔を出している。
●台数では3割に満たないが、販売金額のほぼ半分を占める音響専業メーカー
それでは、音響専業メーカーとサプライメーカーで、販売台数と金額でそのシェアを比較してみよう。販売台数ベースで見ると、音響専業メーカー製スピーカーのシェアは約25%程度。割合は思ったほどに低くはないものの、数としてはやはり少数派だ。
しかし金額シェア見ると、実に49%。総売り上げの約半分は音響専業メーカー製スピーカーで占めている。売り上げ規模から考えると、予想以上に音響専業メーカーの製品がユーザーの間に浸透しているのがわかる。高級スピーカーにもかなりのニーズがある、ということだ。
一方、サプライ品メーカーのスピーカーに目を向けてみると、価格面はもちろんのこと、そのコンセプトも実に幅広くユニークな製品が多い。たとえばPCケースの3.5インチベイに収まってしまう超小型のサブウーハー付きスピーカーや、空気を注入して使うスピーカー(空気を注入することで音域が広がるというのだが……)など、少々怪し気で笑える製品も多い。音響専業メーカーのスピーカーが性能第一の堅実さが魅力であるのに対し、サプライ品メーカーのスピーカーは安さと遊び心が魅力。
そういった意味で言えばサプライ品メーカーと音響専業メーカーのスピーカーとでは、明確なコンセプトの違いがあり、自分のニーズやオーディオに対するスタンスを考えれば、どちらを選ぶのかは自ずから決まってくる。PCからのスピーカー出力は、時としてノイズが乗っていることも多い。そんなPCに高価なスピーカーをつけても宝の持ち腐れになってしまう。しかし、きちんとクリアな音が出力できるPCを持っているのなら、ちょっとスピーカーを奮発してみてはどうだろう? そこには価格以上に快適でリッチな音楽ライフが待っているかも知れない。(市川昭彦<Aqui-Z>)
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで113品目を対象としています。