年31%も価格下落のLCD、主戦場は3万円台17型だが、19型へシフトの兆しも
このところ液晶ディスプレイの値下がりが激しい。1年間の価格下落率を「BCNランキング」で集計すると実に31%。5万円を超えていた平均価格も、今や3万円台の中盤にさしかかろうとしている。ランキング首位の攻防戦も激しい。主戦場は3万円台の17インチ。直近では、ソニー「SDM-S75FS」とロジテック「LCM-T175A/S」が僅差で抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げている。そこで、ますます競争が激化するLCD市場の現状をまとめた。
このところ液晶ディスプレイの値下がりが激しい。1年間の価格下落率を「BCNランキング」で集計すると実に31%。5万円を超えていた平均価格も、今や3万円台の中盤にさしかかろうとしている。ランキング首位の攻防戦も激しい。主戦場は3万円台の17インチ。直近では、ソニー「SDM-S75FS」とロジテック「LCM-T175A/S」が僅差で抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げている。そこで、ますます競争が激化するLCD市場の現状をまとめた。
●17インチSXGAのスタンダードな“PCモニタ”が主流
「BCNランキング」で液晶ディスプレイの販売台数の対前年伸び率をみると、デスクトップパソコンを上回る勢いがある。本体との同時購入に加え、買い替えや買い増しといった動きに後押しされているのが要因だろう。こうした旺盛な需要を反映し、販売台数は右肩上がり。逆に価格は右肩下がりで推移している。
「BCNランキング」8月第1週(05年8月1日-7日)集計の販売台数シェアトップ10を見ると、中心価格帯は3万円台から2万円台。画面サイズは、ほとんどすべてが17インチで1280×1024のSXGA。機能面では、一般的な「PCモニタ」がほとんどだ。1台でPCモニタとアナログ液晶テレビの両方を兼ねるテレビチューナー搭載モデルは、トップ10圏外だが、I・Oデータ機器「LCD-TV174CBR」が11位につけている。昨年11月発売と若干日が経っていることもあり、通常の液晶ディスプレイのみの機種とさほど変わらない価格帯まで降りてきたことが人気を呼んでいるようだ。
●デジ・アナ兼用で実売3万円台の低価格が魅力の「SDM-S75FS」
ランキング1位のソニー「SDM-S75FS」は、最大画面輝度300cd/m2、視野角水平・垂直160度、コントラスト比450:1の液晶パネルを採用し、ECOボタン、高さ調整などのポジション調整もできる17インチディスプレイで、発売は05年5月と比較的新しい。液晶パネルのスペックは他と同レベルだが、入力端子にデジタル・アナログ2系統を装備し、デジタル接続対応が特徴だ。
PCとデジタル接続すれば、通常、アナログ接続よりきれいに表示することができる。DVD再生や、テレビ試聴を考えるとこちらのほうが有利だ。そのため最近の上位モデルでは、デジタル・アナログ両対応が標準になりつつある。しかし、グラフィックボードとの相性という問題もあり、まだ万能とはいえない。
アナログ接続モデルに比べて価格はやや高め。それでも「SDM-S75FS」は、7月第3週に初の首位を獲得したあと、第4週1位、最終週2位、8月第1週1位と人気を保っている。発売当初から兼用モデルとしてはリーズナブルな価格設定だったうえ、ここにきて20%ほど価格が下がり、値ごろ感が高まったことも好調の要因とみられる。
●アナログ接続モデルが人気のロジテック、6月発売の19型も急上昇
わずか0.3%の差で1位に肉薄するロジテック「LCM-T175A/S」も同じく17インチ。スペックも、最大画面輝度260cd/m2、視野角水平・垂直160度、コントラスト比500:1と、1位の「SDM-S75FS」とほぼ同じ。接続端子はアナログのみだが、スピーカー内蔵で価格は4000?5000円ほど安い。
実はこの「LCM-T175A/S」、7月第1週までは首位を独走してきたロングセラーモデル。しかし「SDM-S75FS」と価格が接近してきた7月第2週、独走にストップがかかった。デジタル接続が可能なモデルのほうがお買い得に見えるのは無理もない話だ。
ちなみに上位11位中、唯一の19インチモデルである「LCM-T191A/S」は、この「LCM-T175A/S」の上位モデル。画面サイズのほか、輝度、コントラスト比、応答速度などが強化されている。17インチは04年10月発売だが、19インチはこの6月に発売されたばかり。1位には及ばないものの、急激にシェアを上げてきている。19インチで実売3万円台、となれば人気の理由もうなづける。
●広々としたディスプレで快適PCライフはいかが?
ディスプレイは広い方が使いやすい。CRTの時代にも、14・15インチから17インチに主流がシフトした経緯がある。その上、昨今のAVをPCで楽しむという流れにあっては、大画面化は時間の問題。最初の波は19インチモデルからやってきそうだ。また画質という点では、接続のデジタル化も進みそうだ。
ディスプレイは常に人に接しているため、最も利用時間が長いディバイスといえる。にもかかわらず、パソコン本体やプリンタなどに比べて地味なイメージがあるからか、こだわりの少ない人も多い。しかし広々とした画面で作業すれば効率は格段に上がるというもの。ノートPCに外部モニタを接続し、マルチモニタで作業すれば、効率が良くなるということも、経験者ならば知っているだろう。
ランキング上位に並ぶエントリーモデルのほかにも、応答速度が速く動画に特化した高画質モデル、プロフェッショナル向けの高機能モデルなど、さまざまな製品が発売されている。ランキング1位といえども販売台数シェアはわずか3.9%。いかに激戦の商品カテゴリーであるかがわかる。それだけに価格もアップルの「Cinema Display」など別格の製品を除けば、お手頃ラインに乗ってきた。PCライフをより快適にするために、「ディスプレイを変える」「ディスプレイを増やす」ことを検討してみてはどうだろう? (BCNランキング編集部 F.S.)
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで113品目を対象としています。
このところ液晶ディスプレイの値下がりが激しい。1年間の価格下落率を「BCNランキング」で集計すると実に31%。5万円を超えていた平均価格も、今や3万円台の中盤にさしかかろうとしている。ランキング首位の攻防戦も激しい。主戦場は3万円台の17インチ。直近では、ソニー「SDM-S75FS」とロジテック「LCM-T175A/S」が僅差で抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げている。そこで、ますます競争が激化するLCD市場の現状をまとめた。
●17インチSXGAのスタンダードな“PCモニタ”が主流
「BCNランキング」で液晶ディスプレイの販売台数の対前年伸び率をみると、デスクトップパソコンを上回る勢いがある。本体との同時購入に加え、買い替えや買い増しといった動きに後押しされているのが要因だろう。こうした旺盛な需要を反映し、販売台数は右肩上がり。逆に価格は右肩下がりで推移している。
「BCNランキング」8月第1週(05年8月1日-7日)集計の販売台数シェアトップ10を見ると、中心価格帯は3万円台から2万円台。画面サイズは、ほとんどすべてが17インチで1280×1024のSXGA。機能面では、一般的な「PCモニタ」がほとんどだ。1台でPCモニタとアナログ液晶テレビの両方を兼ねるテレビチューナー搭載モデルは、トップ10圏外だが、I・Oデータ機器「LCD-TV174CBR」が11位につけている。昨年11月発売と若干日が経っていることもあり、通常の液晶ディスプレイのみの機種とさほど変わらない価格帯まで降りてきたことが人気を呼んでいるようだ。
●デジ・アナ兼用で実売3万円台の低価格が魅力の「SDM-S75FS」
ランキング1位のソニー「SDM-S75FS」は、最大画面輝度300cd/m2、視野角水平・垂直160度、コントラスト比450:1の液晶パネルを採用し、ECOボタン、高さ調整などのポジション調整もできる17インチディスプレイで、発売は05年5月と比較的新しい。液晶パネルのスペックは他と同レベルだが、入力端子にデジタル・アナログ2系統を装備し、デジタル接続対応が特徴だ。
PCとデジタル接続すれば、通常、アナログ接続よりきれいに表示することができる。DVD再生や、テレビ試聴を考えるとこちらのほうが有利だ。そのため最近の上位モデルでは、デジタル・アナログ両対応が標準になりつつある。しかし、グラフィックボードとの相性という問題もあり、まだ万能とはいえない。
アナログ接続モデルに比べて価格はやや高め。それでも「SDM-S75FS」は、7月第3週に初の首位を獲得したあと、第4週1位、最終週2位、8月第1週1位と人気を保っている。発売当初から兼用モデルとしてはリーズナブルな価格設定だったうえ、ここにきて20%ほど価格が下がり、値ごろ感が高まったことも好調の要因とみられる。
●アナログ接続モデルが人気のロジテック、6月発売の19型も急上昇
わずか0.3%の差で1位に肉薄するロジテック「LCM-T175A/S」も同じく17インチ。スペックも、最大画面輝度260cd/m2、視野角水平・垂直160度、コントラスト比500:1と、1位の「SDM-S75FS」とほぼ同じ。接続端子はアナログのみだが、スピーカー内蔵で価格は4000?5000円ほど安い。
実はこの「LCM-T175A/S」、7月第1週までは首位を独走してきたロングセラーモデル。しかし「SDM-S75FS」と価格が接近してきた7月第2週、独走にストップがかかった。デジタル接続が可能なモデルのほうがお買い得に見えるのは無理もない話だ。
ちなみに上位11位中、唯一の19インチモデルである「LCM-T191A/S」は、この「LCM-T175A/S」の上位モデル。画面サイズのほか、輝度、コントラスト比、応答速度などが強化されている。17インチは04年10月発売だが、19インチはこの6月に発売されたばかり。1位には及ばないものの、急激にシェアを上げてきている。19インチで実売3万円台、となれば人気の理由もうなづける。
●広々としたディスプレで快適PCライフはいかが?
ディスプレイは広い方が使いやすい。CRTの時代にも、14・15インチから17インチに主流がシフトした経緯がある。その上、昨今のAVをPCで楽しむという流れにあっては、大画面化は時間の問題。最初の波は19インチモデルからやってきそうだ。また画質という点では、接続のデジタル化も進みそうだ。
ディスプレイは常に人に接しているため、最も利用時間が長いディバイスといえる。にもかかわらず、パソコン本体やプリンタなどに比べて地味なイメージがあるからか、こだわりの少ない人も多い。しかし広々とした画面で作業すれば効率は格段に上がるというもの。ノートPCに外部モニタを接続し、マルチモニタで作業すれば、効率が良くなるということも、経験者ならば知っているだろう。
ランキング上位に並ぶエントリーモデルのほかにも、応答速度が速く動画に特化した高画質モデル、プロフェッショナル向けの高機能モデルなど、さまざまな製品が発売されている。ランキング1位といえども販売台数シェアはわずか3.9%。いかに激戦の商品カテゴリーであるかがわかる。それだけに価格もアップルの「Cinema Display」など別格の製品を除けば、お手頃ラインに乗ってきた。PCライフをより快適にするために、「ディスプレイを変える」「ディスプレイを増やす」ことを検討してみてはどうだろう? (BCNランキング編集部 F.S.)
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで113品目を対象としています。