フリーカメラマンが選ぶ「趣味人のためのデジカメ」
夏休みに向けデジカメを手に入れようと思いつつ、店頭に並ぶさまざまなデジカメを前に正直どれを選べばいいのか皆目見当もつかない……。そんな人も多いことだろう。そこで、趣味人が使うデジカメという独断的視点から、フリーカメラマンから見たおすすめデジカメをピックアップした。
夏休みに向けデジカメを手に入れようと思いつつ、店頭に並ぶさまざまなデジカメを前に正直どれを選べばいいのか皆目見当もつかない……。そんな人も多いことだろう。そこで、趣味人が使うデジカメという独断的視点から、フリーカメラマンから見たおすすめデジカメをピックアップした。今売れ筋のコンパクトデジカメ(コンデジ)として、04年6月以降に国内メーカーが発売した500万画素以上の機種に絞り、BCNランキングとともにいくつかご紹介してみたい。
●デジタルだからこそ、手ぶれ補正は必須になる
あたりまえだが、デジカメはフィルムを必要としない。そして製品サイクルが短い。コンデジにいたっては、ほぼ1年で新モデルが発売される。つまりデジカメは後生大事に保管しておくものではなく、1年で使いつぶすくらいに撮りまくるのが最もコストパフォーマンスの高い使い方である、ということだ。毎日持ち歩いて、気が向いたらとにかくシャッターを切る。500万画素クラスのコンパクトデジカメなら、そういう使い方がおすすめだ。
毎日持ち歩くのなら、カバンの中やポケットで邪魔にならない、薄くて軽くて小さい機種がいい。当サイト編集長も購入したパナソニック「LUMIX FX8」(もうFX9が発表になったが)、キヤノン「IXY DIGITAL 55」や、富士フイルム「FinePix Z1」など、最近の売れ筋はみなこのタイプだ。
この3機種から選ぶなら、破綻の少ない絵づくりで定評のあるキヤノンもいいが、「LUMIX FX8」の手ぶれ補正が捨てがたい。何しろコンデジは、小さく軽いがゆえに手ぶれしやすい。わずか1pixel分ブレただけでも目立ってしまうというのは、ある意味デジタル写真の宿命。別に編集長のご機嫌をうかがうつもりはないが、コンパクトデジカメにおけるパナソニックの手ぶれ補正技術は他メーカーを確実に先行していると思う。個人的には、これからのデジカメに手ぶれ補正機能は必須である、とまで考えている。
●写真は「寄り」だけじゃない! 「引き」が魅力の広角28mm
しかし、毎日持ち歩き用として敢えて私が選ぶのは、リコー「Caplio R2」だ。理由は3つ。望遠側は135mmまでカバーしながら広角28mmが撮れること。被写体に1cmまで寄ったマクロが撮れること。起動約0.8秒で、AF合焦状態から最速約0.003秒でシャッターが切れること、である。
日常、部屋の中など限られたスペースで、目の前の光景をできるだけ広い範囲で撮影したいことは、けっこう多い。いわゆる「引き」が欲しい状況だ。そんな時は最低でも広角側に28mmは欲しい。料理や飲み物、花などを印象的に撮ったり、メモ代わりに記録したり、といった時にはできるだけ被写体に近づいたマクロ撮影ができるほうがいい。そして、持ち歩いていて「ここぞ!」というシャッターチャンスを逃さないためには、起動時間の速さやレリーズタイムラグの短さが重要になってくる。だから私は「Caplio R2」なのである。
もう1つ。機能や画質などの条件を無視して、まったくの趣味カメラとして選ぶなら、オリンパスの「μ-mini DIGITAL S」もアリだろう。光学2倍ズーム、1.8型液晶モニタというのがなんとも残念なのだが、このカメラのデザインとカラーは、持っていて楽しくなる。生活防水だから突然の雨や水濡れにも安心だ。フィルムを必要としない分、デジカメのデザインはもっと自由であっていいはず。「μ-mini DIGITAL S」はその点で他のデジカメにはない魅力を持っていると思う。
●夏だからこそ、海や川にデジカメを連れ出そう
「μ-mini DIGITAL S」は生活防水だが、本格防水・防塵タイプのコンパクトデジカメもある。それが、ペンタックス「Optio WP」だ。カメラ本体が、水深約1.5m、連続約30分までの水中撮影に対応している。本格的な水中写真は無理だが、海面にぷかぷか浮いてシュノーケリングしながら撮る程度の写真であれば、このカメラで十分だろう。キヤノンや富士フイルム、オリンパスなどは水中撮影用のケースを別売しているが、いずれも2万円前後と高価だ。簡単な水中写真なら本体だけで水中撮影の気分が味わえる「Optio WP」を購入するほうが経済的だ。もちろん、通常の撮影でも十分なクオリティを持った500万画素・光学3倍ズームのデジカメである。
また「Optio WP」は、水中撮影時には撮影モードの「マーメイド」を選ぶことで、水中での青い色かぶりなどをカメラ側が最適に補正してくれる。誰でも手軽にきれいな水中写真が撮れる。この“誰もが”というのがミソで、撮影モードや再生モードのメニューは、実にわかりやすいイラスト表示になっている。つまり、子どもでも簡単に操作可能なのだ。夏休み、家族で海や川、湖などに出かけて水遊びやウオータースポーツを楽しむ計画があるなら、「Optio WP」はイチオシである。実は私も、夏休み用デジカメとして1台欲しい、と密かに思っている。
●700万画素以上ならデジタル一眼レフを選ぶべき?
500万画素を超え700万-800万画素以上のデジカメとなってくると、デジタル一眼レフも視野に入ってくる。何しろ、レンズキット付きのデジタル一眼レフでも、最近は800万画素コンパクトデジカメとさほど変わらない金額になってきているからだ。しかも、800万画素のコンパクトデジカメよりも、たとえ600万画素の普及タイプであってもデジタル一眼レフのほうが、画質や表現力に関しては、はるかにクオリティが高い。どちらかを選べと言われたら、私なら迷わずデジタル一眼レフを選ぶ。
それでも、あえてコンパクトデジカメにこだわるのであれば、選択のポイントは、まさにその「コンパクト」さにつきる。「趣味人的撮影スタイル」としては、800万画素クラスのデジカメであっても、ひょいと取り出して、飄々とシャッターを切りたい。コンパクトデジカメならそんな撮影スタイルが可能だ。
そんな心持ちで、あえてコンデジを選ぶとなれば、私は迷わずリコー「Caplio GX8」である。携行できるサイズで、広角28mmをカバーしていることが何よりの魅力だ。ズームや収納機構などでレンズに無理をしていない分、写りもいい。デジタル一眼レフで28mm相当のレンズを付けるとかなりかさばることになるから、「Caplio GX8」はその点で非常に存在価値のあるカメラなのである。
趣味人がコンデジを選ぶなら、一味違うカメラにしたい。そのためにはまず撮影の目的を明確に掲げ、それに合う特徴を備えたカメラを選ぶのがポイントだ。一言で特徴を言い表せるようなはっきりした性格をもつカメラ。そんな1台を狙ってみてはいかがだろう。(フリーカメラマン、榎木秋彦)
<文章中のレンズ焦点距離は、すべて35mmフィルムカメラ換算時の値です>
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで113品目を対象としています。
夏休みに向けデジカメを手に入れようと思いつつ、店頭に並ぶさまざまなデジカメを前に正直どれを選べばいいのか皆目見当もつかない……。そんな人も多いことだろう。そこで、趣味人が使うデジカメという独断的視点から、フリーカメラマンから見たおすすめデジカメをピックアップした。今売れ筋のコンパクトデジカメ(コンデジ)として、04年6月以降に国内メーカーが発売した500万画素以上の機種に絞り、BCNランキングとともにいくつかご紹介してみたい。
●デジタルだからこそ、手ぶれ補正は必須になる
あたりまえだが、デジカメはフィルムを必要としない。そして製品サイクルが短い。コンデジにいたっては、ほぼ1年で新モデルが発売される。つまりデジカメは後生大事に保管しておくものではなく、1年で使いつぶすくらいに撮りまくるのが最もコストパフォーマンスの高い使い方である、ということだ。毎日持ち歩いて、気が向いたらとにかくシャッターを切る。500万画素クラスのコンパクトデジカメなら、そういう使い方がおすすめだ。
毎日持ち歩くのなら、カバンの中やポケットで邪魔にならない、薄くて軽くて小さい機種がいい。当サイト編集長も購入したパナソニック「LUMIX FX8」(もうFX9が発表になったが)、キヤノン「IXY DIGITAL 55」や、富士フイルム「FinePix Z1」など、最近の売れ筋はみなこのタイプだ。
この3機種から選ぶなら、破綻の少ない絵づくりで定評のあるキヤノンもいいが、「LUMIX FX8」の手ぶれ補正が捨てがたい。何しろコンデジは、小さく軽いがゆえに手ぶれしやすい。わずか1pixel分ブレただけでも目立ってしまうというのは、ある意味デジタル写真の宿命。別に編集長のご機嫌をうかがうつもりはないが、コンパクトデジカメにおけるパナソニックの手ぶれ補正技術は他メーカーを確実に先行していると思う。個人的には、これからのデジカメに手ぶれ補正機能は必須である、とまで考えている。
●写真は「寄り」だけじゃない! 「引き」が魅力の広角28mm
しかし、毎日持ち歩き用として敢えて私が選ぶのは、リコー「Caplio R2」だ。理由は3つ。望遠側は135mmまでカバーしながら広角28mmが撮れること。被写体に1cmまで寄ったマクロが撮れること。起動約0.8秒で、AF合焦状態から最速約0.003秒でシャッターが切れること、である。
日常、部屋の中など限られたスペースで、目の前の光景をできるだけ広い範囲で撮影したいことは、けっこう多い。いわゆる「引き」が欲しい状況だ。そんな時は最低でも広角側に28mmは欲しい。料理や飲み物、花などを印象的に撮ったり、メモ代わりに記録したり、といった時にはできるだけ被写体に近づいたマクロ撮影ができるほうがいい。そして、持ち歩いていて「ここぞ!」というシャッターチャンスを逃さないためには、起動時間の速さやレリーズタイムラグの短さが重要になってくる。だから私は「Caplio R2」なのである。
もう1つ。機能や画質などの条件を無視して、まったくの趣味カメラとして選ぶなら、オリンパスの「μ-mini DIGITAL S」もアリだろう。光学2倍ズーム、1.8型液晶モニタというのがなんとも残念なのだが、このカメラのデザインとカラーは、持っていて楽しくなる。生活防水だから突然の雨や水濡れにも安心だ。フィルムを必要としない分、デジカメのデザインはもっと自由であっていいはず。「μ-mini DIGITAL S」はその点で他のデジカメにはない魅力を持っていると思う。
●夏だからこそ、海や川にデジカメを連れ出そう
「μ-mini DIGITAL S」は生活防水だが、本格防水・防塵タイプのコンパクトデジカメもある。それが、ペンタックス「Optio WP」だ。カメラ本体が、水深約1.5m、連続約30分までの水中撮影に対応している。本格的な水中写真は無理だが、海面にぷかぷか浮いてシュノーケリングしながら撮る程度の写真であれば、このカメラで十分だろう。キヤノンや富士フイルム、オリンパスなどは水中撮影用のケースを別売しているが、いずれも2万円前後と高価だ。簡単な水中写真なら本体だけで水中撮影の気分が味わえる「Optio WP」を購入するほうが経済的だ。もちろん、通常の撮影でも十分なクオリティを持った500万画素・光学3倍ズームのデジカメである。
また「Optio WP」は、水中撮影時には撮影モードの「マーメイド」を選ぶことで、水中での青い色かぶりなどをカメラ側が最適に補正してくれる。誰でも手軽にきれいな水中写真が撮れる。この“誰もが”というのがミソで、撮影モードや再生モードのメニューは、実にわかりやすいイラスト表示になっている。つまり、子どもでも簡単に操作可能なのだ。夏休み、家族で海や川、湖などに出かけて水遊びやウオータースポーツを楽しむ計画があるなら、「Optio WP」はイチオシである。実は私も、夏休み用デジカメとして1台欲しい、と密かに思っている。
●700万画素以上ならデジタル一眼レフを選ぶべき?
500万画素を超え700万-800万画素以上のデジカメとなってくると、デジタル一眼レフも視野に入ってくる。何しろ、レンズキット付きのデジタル一眼レフでも、最近は800万画素コンパクトデジカメとさほど変わらない金額になってきているからだ。しかも、800万画素のコンパクトデジカメよりも、たとえ600万画素の普及タイプであってもデジタル一眼レフのほうが、画質や表現力に関しては、はるかにクオリティが高い。どちらかを選べと言われたら、私なら迷わずデジタル一眼レフを選ぶ。
それでも、あえてコンパクトデジカメにこだわるのであれば、選択のポイントは、まさにその「コンパクト」さにつきる。「趣味人的撮影スタイル」としては、800万画素クラスのデジカメであっても、ひょいと取り出して、飄々とシャッターを切りたい。コンパクトデジカメならそんな撮影スタイルが可能だ。
そんな心持ちで、あえてコンデジを選ぶとなれば、私は迷わずリコー「Caplio GX8」である。携行できるサイズで、広角28mmをカバーしていることが何よりの魅力だ。ズームや収納機構などでレンズに無理をしていない分、写りもいい。デジタル一眼レフで28mm相当のレンズを付けるとかなりかさばることになるから、「Caplio GX8」はその点で非常に存在価値のあるカメラなのである。
趣味人がコンデジを選ぶなら、一味違うカメラにしたい。そのためにはまず撮影の目的を明確に掲げ、それに合う特徴を備えたカメラを選ぶのがポイントだ。一言で特徴を言い表せるようなはっきりした性格をもつカメラ。そんな1台を狙ってみてはいかがだろう。(フリーカメラマン、榎木秋彦)
<文章中のレンズ焦点距離は、すべて35mmフィルムカメラ換算時の値です>
私の写真遍歴:フリーカメラマンとして銀塩35mm一眼レフカメラを愛用し「Nikon F3」から一貫してニコン派。その流れで、デジタル一眼レフもニコン製品を使用しているが、レンズラインナップなどの開発力ではキャノンにいまいち後れをとっているとも感じている。風景から物撮りまで幅広くこなすが、本人が得意と主張するのはポートレート。しかしその割には、撮影時の「話術」はそれほど巧みとは言い難いので、立ち会う編集者にはいつも苦労をかけている。
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで113品目を対象としています。