DVDレコーダーの主流は180GB以上にシフト、価格は下げ止まりか?
夏のボーナス商戦もそろそろ一段落。DVDレコーダーは相変わらず良く売れている。「数はさばけても価格の下落率が大きく、思ったほど儲からない」のがデジタル家電販売の特徴の一つともいわれている。果たして今夏は? その傾向を探った。
夏のボーナス商戦もそろそろ一段落。DVDレコーダーは相変わらず良く売れている。「数はさばけても価格の下落率が大きく、思ったほど儲からない」のがデジタル家電販売の特徴の一つともいわれている。果たして今夏は? その傾向を探った。
●180GB以上の大容量モデルに需要がシフト
まず、05年1月から5月までの間DVDレコーダーの平均販売価格を見てみよう。
市場全体の平均販売価格は5月で5万7300円。1月に比べ2.7%下落している(図1)。推移を見ると、1月から3月にかけては大きく下落しているが、3月以降はほぼ横ばい。販売価格の下落は一段落したように見える。
一方、HDD搭載機種の容量別販売台数シェアを見ると、1月では7割強を占めていたのは180GB未満の機種。しかしその後180GB以上の機種が売り上げを伸ばし、5月には半数を超えている(図2)。また、HDDの容量別に平均販売価格の推移をみると、いずれも下落基調。とくに容量の小さい80GB、120GBなどでその傾向が強い(図3)。
つまり、3月以降、平均販売価格が下落から横ばいに転じたのは、低価格化の動きが弱まったためではなく、需要がHDD大容量モデルへ移行していることが要因であると考えられる。
●ボーナス商戦では売れ行き好調、価格も安定して推移
次に、ボーナス商戦期中の販売台数を、6月第1週を100とした指数でみると、7月第2週から第3週にかけてやや減速感がみられたものの、一貫して増加傾向で推移している。7月第2週のピーク時には6月第1週の実に1.5倍強の高水準となっている(図4)。
この間、平均販売価格はおおむね横ばい。年初のような目立った価格下落の動きは見受けられない。また容量別販売台数のシェアでは、180GBを境とした両者のシェアに大きな変動はみられず、比較的安定した動きだ(図5)。一方、容量別の平均販売価格の推移では、120GBの機種では単価の下落傾向が顕著になっているが、他の機種ではほぼ横ばいで推移している(図6)。
大容量化が一段落している一方で価格が安定してきた、ということは「価格下落の圧力そのものがが緩和されてきた」ものと推察される。
●メーカー間の競争は一段と激化、変動激しいランキング
価格が安定してきたとはいえ、メーカー間のシェア争いは熾烈の度合いを強めている。05年第2四半期は松下がトップだったが、7月(第1?3週)の直近データではソニーが24.5%を占めトップに返り咲くなど、ランキングの変動も激しい(図7)。
売れ筋ナンバー1の機種は、ソニー「スゴ録 RDR-HX50」(HDD 160GB、平均販売価格 4万円台)で、これを松下「DIGA DMR-EH70V-S」(HDD容量 200GB、平均販売価格 7万円台)が追う格好となっている(表1)。「スゴ録 RDR-HX50」は04年11月発売のHDD内蔵DVDレコーダー、「DIGA DMR-EH70V-S」は05年5月発売のVHS一体型HDD内蔵DVDレコーダー。単純に比較はできないが価格面で前者の方が求めやすいのにも関わらず、「DMR-EH70V-S」は、スペックや機能面で高く評価されているようだ。
●中長期的視点でDVDレコーダーならでの利点、PCとの連携機能の強化を
これまで堅調な需要に支えられたDVDレコーダー市場だが、先行きは楽観視できない。例えば、テレビチューナーと録画機能を備えたパソコンや、録画機能つき大型テレビなどの登場で、DVDレコーダーの競合相手が広がってきたからだ。
家庭のテレビがすべてパソコンに変わってしまうことは当分ないだろうが、パソコンでテレビを視聴するユーザーは着実に増えてきている。このため、中長期的にはパソコンとどのように連携していくのか、あるいはDVDレコーダー単体でどのような機能を特徴として持たせていくのかが、今後の市場を形成していく上での重要な課題になってくると思われる(BCN総研 西尾治親)。
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで113品目を対象としています。
夏のボーナス商戦もそろそろ一段落。DVDレコーダーは相変わらず良く売れている。「数はさばけても価格の下落率が大きく、思ったほど儲からない」のがデジタル家電販売の特徴の一つともいわれている。果たして今夏は? その傾向を探った。
●180GB以上の大容量モデルに需要がシフト
まず、05年1月から5月までの間DVDレコーダーの平均販売価格を見てみよう。
市場全体の平均販売価格は5月で5万7300円。1月に比べ2.7%下落している(図1)。推移を見ると、1月から3月にかけては大きく下落しているが、3月以降はほぼ横ばい。販売価格の下落は一段落したように見える。
一方、HDD搭載機種の容量別販売台数シェアを見ると、1月では7割強を占めていたのは180GB未満の機種。しかしその後180GB以上の機種が売り上げを伸ばし、5月には半数を超えている(図2)。また、HDDの容量別に平均販売価格の推移をみると、いずれも下落基調。とくに容量の小さい80GB、120GBなどでその傾向が強い(図3)。
つまり、3月以降、平均販売価格が下落から横ばいに転じたのは、低価格化の動きが弱まったためではなく、需要がHDD大容量モデルへ移行していることが要因であると考えられる。
●ボーナス商戦では売れ行き好調、価格も安定して推移
次に、ボーナス商戦期中の販売台数を、6月第1週を100とした指数でみると、7月第2週から第3週にかけてやや減速感がみられたものの、一貫して増加傾向で推移している。7月第2週のピーク時には6月第1週の実に1.5倍強の高水準となっている(図4)。
この間、平均販売価格はおおむね横ばい。年初のような目立った価格下落の動きは見受けられない。また容量別販売台数のシェアでは、180GBを境とした両者のシェアに大きな変動はみられず、比較的安定した動きだ(図5)。一方、容量別の平均販売価格の推移では、120GBの機種では単価の下落傾向が顕著になっているが、他の機種ではほぼ横ばいで推移している(図6)。
大容量化が一段落している一方で価格が安定してきた、ということは「価格下落の圧力そのものがが緩和されてきた」ものと推察される。
●メーカー間の競争は一段と激化、変動激しいランキング
価格が安定してきたとはいえ、メーカー間のシェア争いは熾烈の度合いを強めている。05年第2四半期は松下がトップだったが、7月(第1?3週)の直近データではソニーが24.5%を占めトップに返り咲くなど、ランキングの変動も激しい(図7)。
売れ筋ナンバー1の機種は、ソニー「スゴ録 RDR-HX50」(HDD 160GB、平均販売価格 4万円台)で、これを松下「DIGA DMR-EH70V-S」(HDD容量 200GB、平均販売価格 7万円台)が追う格好となっている(表1)。「スゴ録 RDR-HX50」は04年11月発売のHDD内蔵DVDレコーダー、「DIGA DMR-EH70V-S」は05年5月発売のVHS一体型HDD内蔵DVDレコーダー。単純に比較はできないが価格面で前者の方が求めやすいのにも関わらず、「DMR-EH70V-S」は、スペックや機能面で高く評価されているようだ。
●中長期的視点でDVDレコーダーならでの利点、PCとの連携機能の強化を
これまで堅調な需要に支えられたDVDレコーダー市場だが、先行きは楽観視できない。例えば、テレビチューナーと録画機能を備えたパソコンや、録画機能つき大型テレビなどの登場で、DVDレコーダーの競合相手が広がってきたからだ。
家庭のテレビがすべてパソコンに変わってしまうことは当分ないだろうが、パソコンでテレビを視聴するユーザーは着実に増えてきている。このため、中長期的にはパソコンとどのように連携していくのか、あるいはDVDレコーダー単体でどのような機能を特徴として持たせていくのかが、今後の市場を形成していく上での重要な課題になってくると思われる(BCN総研 西尾治親)。
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで113品目を対象としています。