色鮮かさが人気、プラズマテレビ1・2・3位独占の「VIERA」効果で活気再び
プラズマテレビ市場のパワーバランスが大きく変わってきた。これまで松下、日立、パイオニア、ソニーと4社でデットヒートを繰り広げていたが、そこから抜け出したのが松下。上位陣では唯一4月に投入された新モデル「VIERA」プラズマシリーズが1・2・3位を独占している(「BCNランキング」5月第4週週次集計)。シェア奪還に向けての他社の動きも活発で、プラズマプラズマテレビ市場に活気が戻ってきた(図)。
プラズマテレビ市場のパワーバランスが大きく変わってきた。これまで松下、日立、パイオニア、ソニーと4社でデットヒートを繰り広げていたが、そこから抜け出したのが松下。上位陣では唯一4月に投入された新モデル「VIERA」プラズマシリーズが1・2・3位を独占している(「BCNランキング」5月第4週週次集計)。シェア奪還に向けての他社の動きも活発で、プラズマプラズマテレビ市場に活気が戻ってきた(図)。
●松下、新シリーズ投入で一気にシェア6割超
こうした松下の勢いに牽引される形で、他の参入メーカーもシェア奪還に向けた動きを見せている。『Wooo』シリーズでお馴染みの日立はプラズマディスプレイパネルの世界トップクラスに引き上げるべく最新鋭の設備を導入して新生産ラインを構築。パイオニアは昨年初旬にNECのプラズマディスプレイ生産会社を買収、生産数では世界1となった。また一時のプラズマ市場撤退騒動で世間を騒がせたソニーも、液晶とリアプロジェクションテレビに重きをおいていく方針を表明したものの、プラズマテレビの継続を表明している。
今年の2月には、松下と日立が世界市場での優位性を確保すべくプラズマディスプレイ事業で協業体制を敷くという発表があり、大きな話題を呼んだ。これはひとえに世界市場におけるLG ElectronicsとSamsung SDIという韓国企業の独占状態に対抗しようとする動きだと言える。今後は先の日立・松下を皮切りに、多くの国内メーカーの協業体制が生まれてゆくものと予想される。
●売れ筋は37・42といったお手ごろサイズ
「BCNランキング」5月第4週の集計によると、機種別シェアで1?3位までを松下の『VIERA』プラズマシリーズである『PX500』シリーズが独占。これらシリーズは今年の4月に発表されたばかりのほっとなモデルで、登場直後にして、37V型の『TH-37PX500』が1位、42V型の『TH-42PX500』が2位、50V型の『TH-50PX500』が3位という好調ぶりだ。店頭で見比べると他社の製品より明らかに色がはっきりしており、そうした分かりやすさも人気の要因だろう。
現時点でのメーカーシェア2位の日立も、昨年中旬発表の『Wooo7000』シリーズが、同調べのランキングで4位(42V型:W42-P7000)、6位(37V型:W37-P7000)、7位(32V型:W32-P7000)と、昨年発売のモデルながら松下とがっぷり四つの状態。
メーカーシェア3位のパイオニアは同社のプラズマ主軸ラインナップ『PURE vision』が好調だ。43V型の『PDP-435HDL』が5位、50V型の『PDP-505HDL』が9位、43V型の『PDP-435SX』が10位とトップ10に3台を送り込む強さを見せる。日立の『Wooo7000』シリーズと同様、次期モデル登場待ちということを踏まえると、やはりよく奮闘している。
こうした売れ筋モデルで共通している点は、「37型や42型といった、比較的小さなサイズのモデルが売れている」ということ。ここらへんは、現代の住宅事情とマッチした結果だと捉えられる。
●「一体型・全デジタル対応」がチューナーまわりの主流
現在のプラズマテレビには、チューナー形状により三つのタイプに大別できる。1つ目がテレビにチューナーを搭載した「チューナー内蔵型」、2つ目がテレビとチューナーが分かれた「分離型」、そして3つ目がテレビ機能のみでチューナーは搭載しない「独立型」だ。
この中で現在の主流となりつつあるのが「チューナー内蔵型」。多くの場合、チューナー一体型はデジタルとアナログ両方のチューナーユニットを内蔵し、アナログ放送とデジタル放送両方に対応する。また製品によってはこれらのチューナーを複数搭載するものもある。チューナーをテレビ内に内蔵しているため「買ってすぐ観られる」という、初心者にも嬉しいお手軽感と共に、配線等の煩わしさから解放され、TV視聴に際して、他のユニット等を必要としないシンプルさも魅力。
これに対し、テレビ内にチューナーを内蔵しない「分離型」ないし「独立型」は、自分の好みにより自由にチューナーを選べるという利点がある。特に最初の段階からチューナーが同梱されていない「独立型」は、テレビ本体とチューナーの組み合わせを自分で考えて視聴システムの構築を行う楽しさが残されており、よりマニアックな特性を持ったカテゴリだと言える。録画機器や音響機器などと併せて総合的にプラズマテレビを中核としたAVシステムを組んでいるような人は、こういった機種を選んでいるようだ。
現状でのテレビ放送は地上派アナログ放送、地上波デジタル放送、110度CS、BS、BSデジタル等、多様性を増しており、特に今は地上アナログから地デジタル放送への転換期の最中にある。初心者ユーザーにとってはとくに混乱を招きやすい状況だ。そのため、将来的にも見る可能性のある方式のチューナー、特にデジタルチューナーはとりあえず全て入っているという「全デジタル対応」チューナが人気だ。本体を買うだけで買い足すものがないということで、初心者ユーザーだけでなくとも歓迎の仕様だろう。そういった意味で、今後はこうしたチューナー内蔵型の機種も増えていくものと予想される。
一時は液晶テレビの勢いに押され市場規模縮小などが懸念されたプラズマ市場。しかし、40型クラスで1インチ1万円を割り込み始めるなど、価格がこなれてきたこともあって以前の活気を取り戻しつつあるようだ。来るべきデジタル放送時代に向けて、次なるテレビを選定中の方は、もう一度プラズマテレビも視野に入れてみてはいかがだろうか。(市川昭彦<Aqui-Z>)
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。
これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで125品目を対象としています。
プラズマテレビ市場のパワーバランスが大きく変わってきた。これまで松下、日立、パイオニア、ソニーと4社でデットヒートを繰り広げていたが、そこから抜け出したのが松下。上位陣では唯一4月に投入された新モデル「VIERA」プラズマシリーズが1・2・3位を独占している(「BCNランキング」5月第4週週次集計)。シェア奪還に向けての他社の動きも活発で、プラズマプラズマテレビ市場に活気が戻ってきた(図)。
●松下、新シリーズ投入で一気にシェア6割超
こうした松下の勢いに牽引される形で、他の参入メーカーもシェア奪還に向けた動きを見せている。『Wooo』シリーズでお馴染みの日立はプラズマディスプレイパネルの世界トップクラスに引き上げるべく最新鋭の設備を導入して新生産ラインを構築。パイオニアは昨年初旬にNECのプラズマディスプレイ生産会社を買収、生産数では世界1となった。また一時のプラズマ市場撤退騒動で世間を騒がせたソニーも、液晶とリアプロジェクションテレビに重きをおいていく方針を表明したものの、プラズマテレビの継続を表明している。
今年の2月には、松下と日立が世界市場での優位性を確保すべくプラズマディスプレイ事業で協業体制を敷くという発表があり、大きな話題を呼んだ。これはひとえに世界市場におけるLG ElectronicsとSamsung SDIという韓国企業の独占状態に対抗しようとする動きだと言える。今後は先の日立・松下を皮切りに、多くの国内メーカーの協業体制が生まれてゆくものと予想される。
●売れ筋は37・42といったお手ごろサイズ
「BCNランキング」5月第4週の集計によると、機種別シェアで1?3位までを松下の『VIERA』プラズマシリーズである『PX500』シリーズが独占。これらシリーズは今年の4月に発表されたばかりのほっとなモデルで、登場直後にして、37V型の『TH-37PX500』が1位、42V型の『TH-42PX500』が2位、50V型の『TH-50PX500』が3位という好調ぶりだ。店頭で見比べると他社の製品より明らかに色がはっきりしており、そうした分かりやすさも人気の要因だろう。
現時点でのメーカーシェア2位の日立も、昨年中旬発表の『Wooo7000』シリーズが、同調べのランキングで4位(42V型:W42-P7000)、6位(37V型:W37-P7000)、7位(32V型:W32-P7000)と、昨年発売のモデルながら松下とがっぷり四つの状態。
メーカーシェア3位のパイオニアは同社のプラズマ主軸ラインナップ『PURE vision』が好調だ。43V型の『PDP-435HDL』が5位、50V型の『PDP-505HDL』が9位、43V型の『PDP-435SX』が10位とトップ10に3台を送り込む強さを見せる。日立の『Wooo7000』シリーズと同様、次期モデル登場待ちということを踏まえると、やはりよく奮闘している。
こうした売れ筋モデルで共通している点は、「37型や42型といった、比較的小さなサイズのモデルが売れている」ということ。ここらへんは、現代の住宅事情とマッチした結果だと捉えられる。
●「一体型・全デジタル対応」がチューナーまわりの主流
現在のプラズマテレビには、チューナー形状により三つのタイプに大別できる。1つ目がテレビにチューナーを搭載した「チューナー内蔵型」、2つ目がテレビとチューナーが分かれた「分離型」、そして3つ目がテレビ機能のみでチューナーは搭載しない「独立型」だ。
この中で現在の主流となりつつあるのが「チューナー内蔵型」。多くの場合、チューナー一体型はデジタルとアナログ両方のチューナーユニットを内蔵し、アナログ放送とデジタル放送両方に対応する。また製品によってはこれらのチューナーを複数搭載するものもある。チューナーをテレビ内に内蔵しているため「買ってすぐ観られる」という、初心者にも嬉しいお手軽感と共に、配線等の煩わしさから解放され、TV視聴に際して、他のユニット等を必要としないシンプルさも魅力。
これに対し、テレビ内にチューナーを内蔵しない「分離型」ないし「独立型」は、自分の好みにより自由にチューナーを選べるという利点がある。特に最初の段階からチューナーが同梱されていない「独立型」は、テレビ本体とチューナーの組み合わせを自分で考えて視聴システムの構築を行う楽しさが残されており、よりマニアックな特性を持ったカテゴリだと言える。録画機器や音響機器などと併せて総合的にプラズマテレビを中核としたAVシステムを組んでいるような人は、こういった機種を選んでいるようだ。
現状でのテレビ放送は地上派アナログ放送、地上波デジタル放送、110度CS、BS、BSデジタル等、多様性を増しており、特に今は地上アナログから地デジタル放送への転換期の最中にある。初心者ユーザーにとってはとくに混乱を招きやすい状況だ。そのため、将来的にも見る可能性のある方式のチューナー、特にデジタルチューナーはとりあえず全て入っているという「全デジタル対応」チューナが人気だ。本体を買うだけで買い足すものがないということで、初心者ユーザーだけでなくとも歓迎の仕様だろう。そういった意味で、今後はこうしたチューナー内蔵型の機種も増えていくものと予想される。
一時は液晶テレビの勢いに押され市場規模縮小などが懸念されたプラズマ市場。しかし、40型クラスで1インチ1万円を割り込み始めるなど、価格がこなれてきたこともあって以前の活気を取り戻しつつあるようだ。来るべきデジタル放送時代に向けて、次なるテレビを選定中の方は、もう一度プラズマテレビも視野に入れてみてはいかがだろうか。(市川昭彦<Aqui-Z>)
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。
これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで125品目を対象としています。