ゆとりあるくらしPCで 安さか機能か、二極分化する家計簿的お金管理ソフト
毎月送られてくるクレジット会社からの請求書。封を開けるとそこには、先月つい衝動買いしたあれやこれや。自己嫌悪に陥る瞬間だ。お金の管理をきちんとしていれば、そんなことも少なくなる? そうだ、パソコンがあるじゃないか。個人のお金にまつわるあれこれを管理する、いわゆる家計簿ソフトを使えばいい。ところで、売れているソフトといえば……。<br />
毎月送られてくるクレジット会社からの請求書。封を開けるとそこには、先月つい衝動買いしたあれやこれや。自己嫌悪に陥る瞬間だ。お金の管理をきちんとしていれば、そんなことも少なくなる? そうだ、パソコンがあるじゃないか。個人のお金にまつわるあれこれを管理する、いわゆる家計簿ソフトを使えばいい。ところで、売れているソフトといえば……。
表1は、「BCNランキング」データをもとにした家計簿ソフトの販売本数シェアベスト10。バージョンアップ版やDVDパッケージ版、スペシャルプライス版などは合算して集計した。価格的には2000円前後で買えるものから1万円以上するものまでさまざまだが、大きく分けてジャンルは2つ。現金や預貯金だけでなく、株式などの金融資産までをカバーする「資産管理型」と、紙の家計簿からデジタル版に発展した「家計簿型」だ。
●競合商品は見当たらない、資産管理といえば「Money」
今や、個人のお金を管理するソフトといえば「Microsoft Money 2005」。「資産管理型」の代表格だ。このジャンルでは最も高価ながらランキングは2位と売れている。複数口座の一元管理や投資状況、資産管理、ライフプラン作成まで幅広く対応。家計簿の発想ではなく、当初から資産管理を目的に作られているだけに高機能だ。唯一1万円を超える価格も、そうしたことを考えれば納得がいく。
製品担当の柏木淳マネージャは、「アンケートを取ったところ、約8割が購入時に比較検討したソフトはないと答えた。すべての口座を一元管理できる機能や口座取引明細のダウンロード機能がとくに評価されている。また、20代のユーザーが予想以上に多い。将来を見越して、早くからマネー管理を始める人が増えているようだ。米国では自分で確定申告するのがあたりまえ。そのため『Money』はかなり普及している。一方日本では、自己責任でマネー管理を、という意識が高まってきたのでは」と、さらなる普及に期待を込める。
新機能の「MSN マネー残高照会サービス」では、銀行の口座残高や明細を一括取得して一覧表示できる。金融機関がインターネット経由で提供する口座残高情報を利用する機能だが、わざわざ複数の銀行サイトにログインして、金額を書き写して、といった作業は必要ない。いったん登録すれば、1クリックで口座残高や取引明細を一括取得できる。
また、「MSNマネー」経由で為替レート、株価、投資信託の基準価額などが取得できるので、金融資産の「時価総額」を正確に把握できるのも特徴だ。「今後も『MSNマネー』との連携は進んでいくだろう」(柏木マネージャ)。
●家計簿型にも口座残高や買い物明細の自動取り込みの流れ
一方、従来からある家計簿型ソフトにも、データの自動取り込みの動きがある。例えば、口座残高情報などの自動取り込み。家計簿機能の強化を図りつつ、オンラインでの情報取得を充実させようという動きだ。「ミラクル家計簿3」「うっかりママの家計簿8」「マスターマネー」など製品が、こうした銀行口座やクレジットカードの取引明細の取り込み機能を搭載しはじめている。
また、ショッピングサイトの利用明細を取り込もうとする動きもある。「てきぱき家計簿マム4」では、net横丁、マム倶楽部横丁といったサイトの「買い物明細」を取り込むことができる。どれほど多くのサイトが対応するかという課題はあるが、オンラインで買い物をする頻度が増えてくれば、こうした機能はありがたい。
●「主婦の友」が生んだ老舗家計簿ソフト
ランキング1位は「主婦の友デジタル家計簿3」。1980円という価格設定に加え、雑誌「主婦の友」から生まれたソフトという安心感で人気を集めているようだ。
もともとは雑誌「主婦の友」の定番付録だった「家計簿」を、姉妹誌「パソコン主婦の友」でデジタル化。これをソフト会社のイーフロンティアが商品化したものだ。「主婦の友」との連携は密で、誌上で考案された費目ごとに予算を管理する「袋分け方式」機能を搭載。長年培った"アナログ家計簿"のノウハウが随所に生かされている。
最新版では、献立おかずレシピ検索がユニーク。おかずレシピは「『主婦の友』に掲載されたレシピを集計してデータベース化」(イーフロンティア・山下修治氏)したものが使われている。雑誌で起用されている須藤真澄さんのイラストもほのぼのとして楽しい。
こうした家計簿機能充実の一方で、イーフロンティアでは、銀行口座残高のオンライン取得などの機能は当面考えていない。「家計簿ソフトに特殊な機能は必要ない。複雑すぎて使いづらくなる」と割り切り、主婦をターゲットに、わかりやすさ、楽しさを追求していく考えだ。
●ファイナンシャルプランナーが家計に的確なアドバイス
「主婦の友」よりも若い主婦を対象にした雑誌「ESSE」生まれのソフト「ESSEパソコン家計簿」(ランキング3位)も個性的だ。ファイナンシャル・プランナー畠中雅子氏を監修に起用し、独自の「畠中式予算カルキュレーター」で、理想の家計バランスを簡単に算出できるのが特徴。また、ライフシュミレーション機能を搭載し、例えば2年後に新車に買い換えたいといった具体的な計画を立てて節約・貯蓄に励むこともできる。家計簿を専門家に見てもらえるという感覚がウケているようだ。
いわゆる家計簿ソフトもバリエーションはさまざま。パソコンならではのグラフによる視覚化、資産時価総額の自動反映、金額集計の自動化、インターネットとの連動と、紙の家計簿には真似できないメリットがたくさん。こうした機能をうまく使いこなして、もう一歩、ゆとりある暮らしを目指してみてはいかが?
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。
これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで125品目を対象としています。
毎月送られてくるクレジット会社からの請求書。封を開けるとそこには、先月つい衝動買いしたあれやこれや。自己嫌悪に陥る瞬間だ。お金の管理をきちんとしていれば、そんなことも少なくなる? そうだ、パソコンがあるじゃないか。個人のお金にまつわるあれこれを管理する、いわゆる家計簿ソフトを使えばいい。ところで、売れているソフトといえば……。
表1は、「BCNランキング」データをもとにした家計簿ソフトの販売本数シェアベスト10。バージョンアップ版やDVDパッケージ版、スペシャルプライス版などは合算して集計した。価格的には2000円前後で買えるものから1万円以上するものまでさまざまだが、大きく分けてジャンルは2つ。現金や預貯金だけでなく、株式などの金融資産までをカバーする「資産管理型」と、紙の家計簿からデジタル版に発展した「家計簿型」だ。
●競合商品は見当たらない、資産管理といえば「Money」
今や、個人のお金を管理するソフトといえば「Microsoft Money 2005」。「資産管理型」の代表格だ。このジャンルでは最も高価ながらランキングは2位と売れている。複数口座の一元管理や投資状況、資産管理、ライフプラン作成まで幅広く対応。家計簿の発想ではなく、当初から資産管理を目的に作られているだけに高機能だ。唯一1万円を超える価格も、そうしたことを考えれば納得がいく。
製品担当の柏木淳マネージャは、「アンケートを取ったところ、約8割が購入時に比較検討したソフトはないと答えた。すべての口座を一元管理できる機能や口座取引明細のダウンロード機能がとくに評価されている。また、20代のユーザーが予想以上に多い。将来を見越して、早くからマネー管理を始める人が増えているようだ。米国では自分で確定申告するのがあたりまえ。そのため『Money』はかなり普及している。一方日本では、自己責任でマネー管理を、という意識が高まってきたのでは」と、さらなる普及に期待を込める。
新機能の「MSN マネー残高照会サービス」では、銀行の口座残高や明細を一括取得して一覧表示できる。金融機関がインターネット経由で提供する口座残高情報を利用する機能だが、わざわざ複数の銀行サイトにログインして、金額を書き写して、といった作業は必要ない。いったん登録すれば、1クリックで口座残高や取引明細を一括取得できる。
また、「MSNマネー」経由で為替レート、株価、投資信託の基準価額などが取得できるので、金融資産の「時価総額」を正確に把握できるのも特徴だ。「今後も『MSNマネー』との連携は進んでいくだろう」(柏木マネージャ)。
●家計簿型にも口座残高や買い物明細の自動取り込みの流れ
一方、従来からある家計簿型ソフトにも、データの自動取り込みの動きがある。例えば、口座残高情報などの自動取り込み。家計簿機能の強化を図りつつ、オンラインでの情報取得を充実させようという動きだ。「ミラクル家計簿3」「うっかりママの家計簿8」「マスターマネー」など製品が、こうした銀行口座やクレジットカードの取引明細の取り込み機能を搭載しはじめている。
また、ショッピングサイトの利用明細を取り込もうとする動きもある。「てきぱき家計簿マム4」では、net横丁、マム倶楽部横丁といったサイトの「買い物明細」を取り込むことができる。どれほど多くのサイトが対応するかという課題はあるが、オンラインで買い物をする頻度が増えてくれば、こうした機能はありがたい。
●「主婦の友」が生んだ老舗家計簿ソフト
ランキング1位は「主婦の友デジタル家計簿3」。1980円という価格設定に加え、雑誌「主婦の友」から生まれたソフトという安心感で人気を集めているようだ。
もともとは雑誌「主婦の友」の定番付録だった「家計簿」を、姉妹誌「パソコン主婦の友」でデジタル化。これをソフト会社のイーフロンティアが商品化したものだ。「主婦の友」との連携は密で、誌上で考案された費目ごとに予算を管理する「袋分け方式」機能を搭載。長年培った"アナログ家計簿"のノウハウが随所に生かされている。
最新版では、献立おかずレシピ検索がユニーク。おかずレシピは「『主婦の友』に掲載されたレシピを集計してデータベース化」(イーフロンティア・山下修治氏)したものが使われている。雑誌で起用されている須藤真澄さんのイラストもほのぼのとして楽しい。
こうした家計簿機能充実の一方で、イーフロンティアでは、銀行口座残高のオンライン取得などの機能は当面考えていない。「家計簿ソフトに特殊な機能は必要ない。複雑すぎて使いづらくなる」と割り切り、主婦をターゲットに、わかりやすさ、楽しさを追求していく考えだ。
●ファイナンシャルプランナーが家計に的確なアドバイス
「主婦の友」よりも若い主婦を対象にした雑誌「ESSE」生まれのソフト「ESSEパソコン家計簿」(ランキング3位)も個性的だ。ファイナンシャル・プランナー畠中雅子氏を監修に起用し、独自の「畠中式予算カルキュレーター」で、理想の家計バランスを簡単に算出できるのが特徴。また、ライフシュミレーション機能を搭載し、例えば2年後に新車に買い換えたいといった具体的な計画を立てて節約・貯蓄に励むこともできる。家計簿を専門家に見てもらえるという感覚がウケているようだ。
いわゆる家計簿ソフトもバリエーションはさまざま。パソコンならではのグラフによる視覚化、資産時価総額の自動反映、金額集計の自動化、インターネットとの連動と、紙の家計簿には真似できないメリットがたくさん。こうした機能をうまく使いこなして、もう一歩、ゆとりある暮らしを目指してみてはいかが?
*「BCNランキング」は、全国のパソコン専門店や家電量販店など18社・2200を超える店舗からPOSデータを日次で収集・集計しているPOSデータベースです。
これは日本の店頭市場の約4割をカバーする規模で、パソコン本体からデジタル家電まで125品目を対象としています。