ソニー復活は本物? 発売1ヶ月でシリコンオーディオ販売シェア、依然トップ

特集

2005/05/29 20:53

 ソニー新ネットウォークマンの好調な出足が続いている。4月21日の発売以来1ヶ月が経過したが、「BCNランキング」でのカテゴリー別詳細ランキング分析によると、シリコン携帯オーディオでのメーカー別販売台数シェアで、ソニーが依然トップをキープ。アップル一人勝ちの構図はここにきて崩れつつある(図)。

 ソニー新ネットウォークマンの好調な出足が続いている。4月21日の発売以来1ヶ月が経過したが、「BCNランキング」でのカテゴリー別詳細ランキングを分析によると、シリコンでのメーカー別販売台数シェアで、ソニーが依然トップをキープ。アップル一人勝ちの構図はここにきて崩れつつある(図)。発売直後の「瞬間最大風速」からすれば勢いは若干落ちついてきたものの、この1ヶ月間吹き続けている「突風」が携帯オーディオ市場を大きく変えることになりそうだ。

●トップシェアでも伸びが鈍いのは、「モノがない」から?

 新ネットウォークマン発売後、4月25日から5月22日までの4週間で「BCNランキング」の販売台数シェアを見ると、依然としてソニーが強い。シリコンオーディオ小容量タイプ(512MB以下)でソニーのシェアが21%(直近週 5/16?22で22%)とトップ。2位は同率でRio Japanの19%(同19%)とアップルが19%(同20%)で並んだ。さらに、シリコンオーディオ大容量タイプ(512MB超)では、ソニーのシェアはダントツの44%(同52%)。アップルは26%(同21%)と「ソニー前」は50%台だったシェアが半分以下にまでなっている。当初ソニーが狙っていた海外勢からのシェア奪取は、今のところ成功しているといえそうだ。



 発売直後、最初の週末に記録したほぼ垂直ともいえる立ち上がりに比べれば、さすがにシェアの伸びは落ち着いてきた。しかしその理由は「出荷が追いつかない」から。店頭で聞いてみると「ソニーの新ネットウォークマンは、特にシリコンが人気。しかしとにかくモノがない。ほとんどが予約販売で、入るそばから売れていく状態。最近やっと少しずつ入るようになってきたが、ほとんどが予約待ち、1週間前後は待ってもらっている。この売れ方はソニーも予測してなかったのではないか」とのことだった。

 HDD-10G以下の小容量タイプでは、ソニーが製品を投入していないこともあって依然アップルの独壇場。シェア77%(同78%)と安定的だ。一方10GB超の大容量タイプではアップルが54%(同52%)のトップシェアながら、ソニーが急激に追い上げておりシェアは32%(同33%)。これらの傾向は発売直後4日間のデータとほとんど変わりはない。



●すでに店頭では「シリコンならソニー」という声も

 店頭では「HDDタイプではiPod人気は根強いものの、問い合わせの数はソニーとアップルで半々という感触。HDDに関してはソニーでもアップルでも好みで選べばいいと思う。ただ、シリコンに関しては、ディスプレイがあるということが大きく、電池も持つのでソニーを薦めている」と言い切る店員も。「長年ウォークマンで培った技術力がバッテリーの持ちなど基本機能の充実に貢献しているのでは」と語る店員もいた。

 また「iPod Shuffleは、すでにiPodを持っている人向けという印象。説明書なども分かりにくい部分がある。あれだけ解説本が売れているということは、それだけ説明書が分かりにくいというこではないのか」という声も聞かれた。携帯オーディオの最初の一台としては、大胆にディスプレイを省いた iPod Shuffle よりも、普通にディスプレイを搭載しているネットウォークマンの方が敷居が低いのではないだろうか。

●想定の範囲「外」の売れ行きにうれしい悲鳴

 この好調な売れ行きに対しソニーマーケティングでは「シリコンでは完全に Shuffle を抜き去った。HDDでも20GB製品に限って見ればすでに iPod を抜いている。目標をはるかに上回る売れ行きで、うれしい悲鳴だ。特にシリコンは、フル体制で生産しているものの、需要に追い付いていない状態。大容量メモリ市場が活況で品薄なのも影響している」(モバイルネットワークプロダクツマーケティング部)と、確かな手ごたえを感じつつも、予想以上の売れ行きで対応に追われているといった様子だった。

 一方アップルでは、他社の製品についてはコメントできないとした上で、「今やiPodは社会現象にまでなり、広く認知される携帯オーディオの代名詞になった。『マインドのシェア』ではiPodの地位はゆるぎない」(広報)と、まだまだ余裕だ。次期モデルに関してはまだ何の情報もなく、いつ発売なのかもわからないが、バッテリーの持続時間や表示パネルなど、ソニー対策としてどの部分を強化してくるのかが注目される。