虎は豹を凌駕するか? アップルの新OS「Tiger」好調
携帯オーディオ「iPod」のヒットによって、一躍、多くの人が知るメーカーとなったアップルコンピュータ。その本業は、ハードウェアからOSまで一貫した設計で洗練されたインターフェイスと高い信頼性を誇るMacintoshコンピュータの製造・販売である。4月29日、そのMac向けの新OS「Mac OS X バージョン10.4 “Tiger”」が発売された。その出足が好調だ。
携帯オーディオ「iPod」のヒットによって、一躍、多くの人が知るメーカーとなったアップルコンピュータ。その本業は、ハードウェアからOSまで一貫した設計で洗練されたインターフェイスと高い信頼性を誇るMacintoshコンピュータの製造・販売である。4月29日、そのMac向けの新OS「Mac OS X バージョン10.4 “Tiger”」が発売された。その出足が好調だ。Macファン待望の新OSは、4月最終週から2週連続でビジネスソフト・OS部門の1位を獲得。パッケージ版に限れば、ライバル・マイクロソフトを打ち負かした格好だ。この発売直後の販売本数推移は、世界で1500万人以上が利用し「Apple史上、もっとも成功したOS」(同社)という前バージョン「Panther」と拮抗する勢い。
●「発売されたから買う」という「信者」以外にも裾野広がる
前バージョン「Panther」の発売は、約1年半前の03年10月25日。当時はまだ日本にアップルの直営店はなかったが、今回は直営店が3つになり、しかもそれぞれで「Tigerワールドプレミア」と称した発売記念イベントを開催した。発売日の4月29日、東京のアップルストア銀座では販売開始時刻の午後6時を前に長蛇の列。その数は1000人を越したという。
「PowerBook G4」などが当たる、空クジなしのスクラッチカードが全員に配られたこともあり、イベントは多くの来場者で賑わった。購入者に「なぜ買うのか?」とたずねたところ、「いつも買っているから」「Macユーザーならアップグレートして当然だと思っている」「理由も何も、発売されたから…」といった、信者的な意見が続出。なかには、「仕事で使うので必要」と答えた人もいたが、おおむね、新OSを楽しみに待っていた来場客が多かったようだ。
BCNランキングでは残念ながらこうした直営店の販売動向まではカバーしていないため、直営店で購入したコアでお祭り好きなMacユーザーの購買動向は反映されていない。それでも立ち上がりがこれだけ好調なのは、ひとつはユーザー層の裾野が広がった結果だと言えそうだ。
●心配なのはバグ。アップルの対応が普及の鍵握る?
購入後は手持ちのMacにインストールするわけだが、通常のソフトと違ってモノはOS。インストールしてアップグレードするにはデータのバックアップなど面倒な作業がともなう。パソコンを「単なる道具」と考えるユーザーならアップグレードに興味が沸かなくても不思議はないが、Macユーザーの多くは、どうもそうではないらしい。これはやはり「Macの魅力」によるものなのだろう。
ただ、今回の新「Tiger」に関して、やはり心配されるのはバグ。今年末リリース予定の次期Windows OS「Longhorn」に先がけて搭載されたデスクトップ検索機能「Spotlight」などに賞賛の声が上がる一方で、インターネット上では、主に上書きインストールしたユーザーからいくつかのバグが指摘されている。こうした不具合は毎度のことで、修正モジュールが出るまで様子見し、落ち着いてから購入するユーザーも少なくないが、バグに対する不満の声が大きくなると、販売店側でも勧めにくい。アップル側の対応が後手に回ると、立ち上がりの販売本数の勢いを維持できなくなるかもしれない。
今やOSは「パソコンを買うとついてくる」もの。パッケージで購入するものでもなくなってきた。だからパッケージ版の売り上げを見ただけではOS市場を語ることはできない。しかし、今後のアップルの成長を占うという意味では、新OS「Tiger」の推移には注目していきたい。
携帯オーディオ「iPod」のヒットによって、一躍、多くの人が知るメーカーとなったアップルコンピュータ。その本業は、ハードウェアからOSまで一貫した設計で洗練されたインターフェイスと高い信頼性を誇るMacintoshコンピュータの製造・販売である。4月29日、そのMac向けの新OS「Mac OS X バージョン10.4 “Tiger”」が発売された。その出足が好調だ。Macファン待望の新OSは、4月最終週から2週連続でビジネスソフト・OS部門の1位を獲得。パッケージ版に限れば、ライバル・マイクロソフトを打ち負かした格好だ。この発売直後の販売本数推移は、世界で1500万人以上が利用し「Apple史上、もっとも成功したOS」(同社)という前バージョン「Panther」と拮抗する勢い。
●「発売されたから買う」という「信者」以外にも裾野広がる
前バージョン「Panther」の発売は、約1年半前の03年10月25日。当時はまだ日本にアップルの直営店はなかったが、今回は直営店が3つになり、しかもそれぞれで「Tigerワールドプレミア」と称した発売記念イベントを開催した。発売日の4月29日、東京のアップルストア銀座では販売開始時刻の午後6時を前に長蛇の列。その数は1000人を越したという。
「PowerBook G4」などが当たる、空クジなしのスクラッチカードが全員に配られたこともあり、イベントは多くの来場者で賑わった。購入者に「なぜ買うのか?」とたずねたところ、「いつも買っているから」「Macユーザーならアップグレートして当然だと思っている」「理由も何も、発売されたから…」といった、信者的な意見が続出。なかには、「仕事で使うので必要」と答えた人もいたが、おおむね、新OSを楽しみに待っていた来場客が多かったようだ。
BCNランキングでは残念ながらこうした直営店の販売動向まではカバーしていないため、直営店で購入したコアでお祭り好きなMacユーザーの購買動向は反映されていない。それでも立ち上がりがこれだけ好調なのは、ひとつはユーザー層の裾野が広がった結果だと言えそうだ。
●心配なのはバグ。アップルの対応が普及の鍵握る?
購入後は手持ちのMacにインストールするわけだが、通常のソフトと違ってモノはOS。インストールしてアップグレードするにはデータのバックアップなど面倒な作業がともなう。パソコンを「単なる道具」と考えるユーザーならアップグレードに興味が沸かなくても不思議はないが、Macユーザーの多くは、どうもそうではないらしい。これはやはり「Macの魅力」によるものなのだろう。
ただ、今回の新「Tiger」に関して、やはり心配されるのはバグ。今年末リリース予定の次期Windows OS「Longhorn」に先がけて搭載されたデスクトップ検索機能「Spotlight」などに賞賛の声が上がる一方で、インターネット上では、主に上書きインストールしたユーザーからいくつかのバグが指摘されている。こうした不具合は毎度のことで、修正モジュールが出るまで様子見し、落ち着いてから購入するユーザーも少なくないが、バグに対する不満の声が大きくなると、販売店側でも勧めにくい。アップル側の対応が後手に回ると、立ち上がりの販売本数の勢いを維持できなくなるかもしれない。
今やOSは「パソコンを買うとついてくる」もの。パッケージで購入するものでもなくなってきた。だからパッケージ版の売り上げを見ただけではOS市場を語ることはできない。しかし、今後のアップルの成長を占うという意味では、新OS「Tiger」の推移には注目していきたい。