ウォークマン大逆転、ついにiPod Shuffleを抜き一躍トップに
4月21日に発売を開始したソニーの新しいネットウォークマンが迫力あるスタートダッシュを見せている。シリコンオーディオではソニーがアップルを抑え大逆転。HDDでもアップルに肉薄する勢いだ。遅れてやってきた大本命ともいえるソニーの本格参入で、携帯オーディオ市場の地図はがらりと塗り替えられてしまうかもしれない。立ち上がり4日間の販売台数シェアから見る、発売直後の動向を追った。
今回ソニーが発売した新しいネットウォークマンは、シリコンでは、FMチューナーがついた「NW-E505」(512MB)と「NW-E507」(1GB)、FMチューナー無しの「NW-E405」(512MB)と「NW-E407」(1GB)の4機種。一方HDDでは20GBの「NW-HD5」とWeb直販のみの30GBモデル「NW-HD5H」の2機種。それぞれカラーバリエーションも豊富だ。
3月、携帯オーディオ市場全体でのソニーの販売台数シェアは、わずか6.1%。しかしこれら新しいネットウォークマンが発売されてから最初の日曜日までの4日間の集計では、ソニーのシェアはなんと26%まで急激に躍進した。さらにカテゴリーごとの動きを見ると、その力強さが垣間見える。
現在、携帯オーディオ市場を分類すると大きく4つのカテゴリーに分けられる。HDDでは10GB以上の大容量タイプとそれ未満の小容量タイプの2つ、シリコンでは1GB以上の大容量タイプとそれ未満の小容量タイプの2つ、計4つだ。このうち今回ソニーが新製品を投入してきたのは、HDDの小容量タイプを除く3つのカテゴリーだった。
これらのカテゴリーごとに算出したメーカーシェアを見ると、まずシリコンではソニーの圧勝。特に1GB以上の大容量シリコンでは、59%とダントツのシェアを獲得した。一方アップルはわずか23%。ダブルスコア以上の差をつけての勝利だ。群雄割拠で競争が激しい1GB未満の小容量タイプでも、首位はソニーの22%、19.1%のアップルは、わずかの差ではあるが、ここでも2位に甘んじている。予約販売分は若干割り引いて考える必要があるとはいえ、ソニーの立ち上がりは絶好調といえそうだ(表1、表2)。
一方HDDカテゴリでもソニーの追い上げは急だ。10GB以上の大容量群では、アップルはシェア51%と依然王者の貫禄を見せつけている。しかしその背後にはソニーが39%と肉薄してきており、今にもアップルを追い落とす勢いだ。唯一アップルが安泰なのは、iPod miniで開拓した小容量HDDタイプのカテゴリー。シェア77.3%とまさに一人舞台だ。しかしソニーは、今回のこのカテゴリーには製品を投入してこなかった。成長著しいこのカテゴリーを外してきたソニーの意図を推し量るのは難しいが、引き続き彼らが静観を続けるとは考えにくく、何か不気味な雰囲気すら感じる。嵐の前の静けさなのかもしれない(表3、表4)。
今回のソニーの新商品投入はこれまで以上に緻密なマーケティング戦略を立てて臨んだフシがある。例えば、HDD携帯オーディオで軒並み20時間前後の連続再生時間を一挙に40時間まで引き上げてきた点やハードディスクの耐衝撃性を向上させるなど、ユーザーが気にしている点をストレートに突いてきた。
さらに売れ筋のシリコンでは、1GBと512MBの容量のバリエーションだけでなく、FMチューナーの有無、多彩なカラーバリエーションに至るまで多品種戦略をとってきた。さらにライターに近く親しみのある形状でありながら有機ELディスプレイを搭載するなど豪華設計。バッテリー周りも強化した。シンプルを突っ走るiPod Shuffleと好対照だ。
店頭では「確かにシャッフルの人気は高いが、ディスプレイがないことで購入を躊躇する客も多い。その層がネットウォークマンに流れているのでは」との声も聞かれる。普通にディスプレイがあり、バッテリーがそこそこ長持ちするという基本機能に忠実でストレートな部分が、立ち上がりの人気を支えているようだ。とはいえ、ソニーがこの勢いを維持できるかどうかはまだわからない。さらに国内他メーカーはどんな手を打ってくるのか、受けて立つアップルの戦略は……。しばらくは携帯オーディオ市場から目が離せそうもない。
メーカーシェアが急進
今回ソニーが発売した新しいネットウォークマンは、シリコンでは、FMチューナーがついた「NW-E505」(512MB)と「NW-E507」(1GB)、FMチューナー無しの「NW-E405」(512MB)と「NW-E407」(1GB)の4機種。一方HDDでは20GBの「NW-HD5」とWeb直販のみの30GBモデル「NW-HD5H」の2機種。それぞれカラーバリエーションも豊富だ。
3月、携帯オーディオ市場全体でのソニーの販売台数シェアは、わずか6.1%。しかしこれら新しいネットウォークマンが発売されてから最初の日曜日までの4日間の集計では、ソニーのシェアはなんと26%まで急激に躍進した。さらにカテゴリーごとの動きを見ると、その力強さが垣間見える。
2つのカテゴリーでソニーが勝利
現在、携帯オーディオ市場を分類すると大きく4つのカテゴリーに分けられる。HDDでは10GB以上の大容量タイプとそれ未満の小容量タイプの2つ、シリコンでは1GB以上の大容量タイプとそれ未満の小容量タイプの2つ、計4つだ。このうち今回ソニーが新製品を投入してきたのは、HDDの小容量タイプを除く3つのカテゴリーだった。
これらのカテゴリーごとに算出したメーカーシェアを見ると、まずシリコンではソニーの圧勝。特に1GB以上の大容量シリコンでは、59%とダントツのシェアを獲得した。一方アップルはわずか23%。ダブルスコア以上の差をつけての勝利だ。群雄割拠で競争が激しい1GB未満の小容量タイプでも、首位はソニーの22%、19.1%のアップルは、わずかの差ではあるが、ここでも2位に甘んじている。予約販売分は若干割り引いて考える必要があるとはいえ、ソニーの立ち上がりは絶好調といえそうだ(表1、表2)。
一方HDDカテゴリでもソニーの追い上げは急だ。10GB以上の大容量群では、アップルはシェア51%と依然王者の貫禄を見せつけている。しかしその背後にはソニーが39%と肉薄してきており、今にもアップルを追い落とす勢いだ。唯一アップルが安泰なのは、iPod miniで開拓した小容量HDDタイプのカテゴリー。シェア77.3%とまさに一人舞台だ。しかしソニーは、今回のこのカテゴリーには製品を投入してこなかった。成長著しいこのカテゴリーを外してきたソニーの意図を推し量るのは難しいが、引き続き彼らが静観を続けるとは考えにくく、何か不気味な雰囲気すら感じる。嵐の前の静けさなのかもしれない(表3、表4)。
緻密なマーケティングが功奏か
今回のソニーの新商品投入はこれまで以上に緻密なマーケティング戦略を立てて臨んだフシがある。例えば、HDD携帯オーディオで軒並み20時間前後の連続再生時間を一挙に40時間まで引き上げてきた点やハードディスクの耐衝撃性を向上させるなど、ユーザーが気にしている点をストレートに突いてきた。
さらに売れ筋のシリコンでは、1GBと512MBの容量のバリエーションだけでなく、FMチューナーの有無、多彩なカラーバリエーションに至るまで多品種戦略をとってきた。さらにライターに近く親しみのある形状でありながら有機ELディスプレイを搭載するなど豪華設計。バッテリー周りも強化した。シンプルを突っ走るiPod Shuffleと好対照だ。
店頭では「確かにシャッフルの人気は高いが、ディスプレイがないことで購入を躊躇する客も多い。その層がネットウォークマンに流れているのでは」との声も聞かれる。普通にディスプレイがあり、バッテリーがそこそこ長持ちするという基本機能に忠実でストレートな部分が、立ち上がりの人気を支えているようだ。とはいえ、ソニーがこの勢いを維持できるかどうかはまだわからない。さらに国内他メーカーはどんな手を打ってくるのか、受けて立つアップルの戦略は……。しばらくは携帯オーディオ市場から目が離せそうもない。