スピード違反!? の無線LAN 独自に高速化する無線LANルーター
ネットワークのスピード競争にちょっとした”異変”が起きている。それは、規格で定められた速度をメーカーの独自技術でアップさせる「速度向上技術」を搭載した製品が増えつつある、という現象だ。製品ジャンルは無線LANルーター。規格以上のスピードで接続できるその概要と実力をみてみよう。
ネットワークのスピード競争にちょっとした”異変”が起きている。それは、規格で定められた速度をメーカーの独自技術でアップさせる「速度向上技術」を搭載した製品が増えつつある、という現象だ。製品ジャンルは無線LANルーター。規格以上のスピードで接続できるその概要と実力をみてみよう。
●対応機器はどのくらいある?
無線LANがノートPCの標準的な機能になったことにより、街中のホットスポットだけではなく、家庭やオフィスにおいても無線LANによるインターネット通信は標準的な接続方法になりつつある。そこで活躍するのが無線LANルーターだ。
現状の無線LANのスピードは、11Mbpsと54Mbps。このうち70%以上の高い普及を見せているのが54MbpsのIEEE802.11gという規格。この通信速度規格をソフトウェア的に向上させ、他社との差別化を図ろうという動きが広まってきているのだ。こうした速度向上技術の種類は通信用のチップやルーター製造ベンダにより種々存在し、それらを全て合わせると現状で販売されている無線LANルーターおよびアクセスポイント機器の30%以上がこうした速度向上技術を搭載したものとなっている。
●ハイスピードを楽しむための3ヶ条
こうした速度向上技術は非常に便利で無線LANの可能性を大きく広げてくれるものだが、ユーザーとして留意しておかなければならない点もいくつかある。
まず一つ目が「同じ規格の無線LANカードと無線LANルーターを使う必要がある」ということだ。当然のことだが、11MbpsのIEEE802.11bの無線LANカードと、54MbpsIEEE802.11gの無線LANルーターといった組み合わせはまずい。通信自体は可能なものの、スピードは11Mbpsで接続されてしまう。これは速度向上技術のため、というより無線LAN機器の大原則となるルールなだけに十分注意したい。
2つ目が「同じ速度向上技術をサポートした機器を組み合わせる」ということ。例えばSuperAGをサポートした無線LANカードと、MIMOをサポートした無線LANルーターを組み合わせても期待した速度向上は望めない(資料参照)。無線LANカード、無線ルーターとも、きちんと同一種類の速度向上技術を搭載した製品を購入すること。
3つ目が「速度向上の効果は100%ではない」ということ。多くの場合、速度向上技術は送受信データの圧縮によって実現している。そのためデータによっては十分な圧縮が行えず期待通りのスピードが得られない場合がある。速度向上の効率は送受信するデータによって大きく変わる。速度向上といっても、常に速くなるわけではないことに留意しておこう。
●機器購入のポイントにしてみては?
無線LAN製品は多くのメーカーから発売されており、いざ買おうとすると何を基準に選んでいいか困ってしまうもの。そこで、選択のポイントとして、速度向上技術の有無にこだわってみるのも面白いかもしれない。大抵の製品の場合は製品パッケージに「独自技術により最大XX%の速度Up!」といった文句が記載されているので、すぐ見分けが付くはずだ。また、メーカーのWebサイトにある製品情報には、こうした技術に関して詳しい説明が掲載されている。気になった方はぜひ、チェックしてみてほしい。(フリージャーナリスト・市川昭彦<Aqui-Z>)
<資料>主な速度向上技術の種類と特徴
◆SuperAG
米Atheros社のIEEE802.11a/g対応通信チップを搭載した無線LAN機器。最大で1.5?2倍の速度向上があるとされている
[代表的な製品]NEC PA-WR6600H/TC、I・Oデータ機器 WN-APG/R-Sなど
◆SuperG
米Atheros社のIEEE802.11g対応通信チップを搭載した無線LAN機器の速度を大幅に向上させる。実測スピードで約40Mbpsのスループットがあるとされている
[代表的な製品]コレガ CG-WLAPGMN、NET GEAR WGT624JPなど
◆FrameburstEX
種々のPC周辺機器製造ベンダであるバッファローの速度向上技術。実測スピードで35Mbpsのスループット能力を発揮するとされている
[代表的な製品]バッファロー WZR-HP-G54/Pなど
◆MIMO
複数のアンテナで無線通信を行い速度を向上させる技術。理論上108Mbpsのスループットに達するとされている。この技術は例外的にハードウェアをメインとした速度向上方法となる。
[代表的な製品]バッファロー WZR-G108/P、プラネックス BRC-W108G-PKなど
◆ジェットモード
ネットワーク機器製造ベンダであるコレガの速度向上技術。米IntersilのIEEE802.11gチップを搭載した機器において最大で10%の速度向上が見込まれるとされている。
[代表的な製品]コレガ CG-WLBARGTSCSなど
◆SpeedBooster
米Broadcom社のIEEE802.11g対応通信チップを搭載した無線LAN機器の速度を大幅に向上させる。理論上、最大で35%の速度向上があるとされている。
[代表的な製品]リンクシス WRT54GS-JPなど
ネットワークのスピード競争にちょっとした”異変”が起きている。それは、規格で定められた速度をメーカーの独自技術でアップさせる「速度向上技術」を搭載した製品が増えつつある、という現象だ。製品ジャンルは無線LANルーター。規格以上のスピードで接続できるその概要と実力をみてみよう。
●対応機器はどのくらいある?
無線LANがノートPCの標準的な機能になったことにより、街中のホットスポットだけではなく、家庭やオフィスにおいても無線LANによるインターネット通信は標準的な接続方法になりつつある。そこで活躍するのが無線LANルーターだ。
現状の無線LANのスピードは、11Mbpsと54Mbps。このうち70%以上の高い普及を見せているのが54MbpsのIEEE802.11gという規格。この通信速度規格をソフトウェア的に向上させ、他社との差別化を図ろうという動きが広まってきているのだ。こうした速度向上技術の種類は通信用のチップやルーター製造ベンダにより種々存在し、それらを全て合わせると現状で販売されている無線LANルーターおよびアクセスポイント機器の30%以上がこうした速度向上技術を搭載したものとなっている。
●ハイスピードを楽しむための3ヶ条
こうした速度向上技術は非常に便利で無線LANの可能性を大きく広げてくれるものだが、ユーザーとして留意しておかなければならない点もいくつかある。
まず一つ目が「同じ規格の無線LANカードと無線LANルーターを使う必要がある」ということだ。当然のことだが、11MbpsのIEEE802.11bの無線LANカードと、54MbpsIEEE802.11gの無線LANルーターといった組み合わせはまずい。通信自体は可能なものの、スピードは11Mbpsで接続されてしまう。これは速度向上技術のため、というより無線LAN機器の大原則となるルールなだけに十分注意したい。
2つ目が「同じ速度向上技術をサポートした機器を組み合わせる」ということ。例えばSuperAGをサポートした無線LANカードと、MIMOをサポートした無線LANルーターを組み合わせても期待した速度向上は望めない(資料参照)。無線LANカード、無線ルーターとも、きちんと同一種類の速度向上技術を搭載した製品を購入すること。
3つ目が「速度向上の効果は100%ではない」ということ。多くの場合、速度向上技術は送受信データの圧縮によって実現している。そのためデータによっては十分な圧縮が行えず期待通りのスピードが得られない場合がある。速度向上の効率は送受信するデータによって大きく変わる。速度向上といっても、常に速くなるわけではないことに留意しておこう。
●機器購入のポイントにしてみては?
無線LAN製品は多くのメーカーから発売されており、いざ買おうとすると何を基準に選んでいいか困ってしまうもの。そこで、選択のポイントとして、速度向上技術の有無にこだわってみるのも面白いかもしれない。大抵の製品の場合は製品パッケージに「独自技術により最大XX%の速度Up!」といった文句が記載されているので、すぐ見分けが付くはずだ。また、メーカーのWebサイトにある製品情報には、こうした技術に関して詳しい説明が掲載されている。気になった方はぜひ、チェックしてみてほしい。(フリージャーナリスト・市川昭彦<Aqui-Z>)
<資料>主な速度向上技術の種類と特徴
◆SuperAG
米Atheros社のIEEE802.11a/g対応通信チップを搭載した無線LAN機器。最大で1.5?2倍の速度向上があるとされている
[代表的な製品]NEC PA-WR6600H/TC、I・Oデータ機器 WN-APG/R-Sなど
◆SuperG
米Atheros社のIEEE802.11g対応通信チップを搭載した無線LAN機器の速度を大幅に向上させる。実測スピードで約40Mbpsのスループットがあるとされている
[代表的な製品]コレガ CG-WLAPGMN、NET GEAR WGT624JPなど
◆FrameburstEX
種々のPC周辺機器製造ベンダであるバッファローの速度向上技術。実測スピードで35Mbpsのスループット能力を発揮するとされている
[代表的な製品]バッファロー WZR-HP-G54/Pなど
◆MIMO
複数のアンテナで無線通信を行い速度を向上させる技術。理論上108Mbpsのスループットに達するとされている。この技術は例外的にハードウェアをメインとした速度向上方法となる。
[代表的な製品]バッファロー WZR-G108/P、プラネックス BRC-W108G-PKなど
◆ジェットモード
ネットワーク機器製造ベンダであるコレガの速度向上技術。米IntersilのIEEE802.11gチップを搭載した機器において最大で10%の速度向上が見込まれるとされている。
[代表的な製品]コレガ CG-WLBARGTSCSなど
◆SpeedBooster
米Broadcom社のIEEE802.11g対応通信チップを搭載した無線LAN機器の速度を大幅に向上させる。理論上、最大で35%の速度向上があるとされている。
[代表的な製品]リンクシス WRT54GS-JPなど