旬!グラフィックカード倍速化、PCI Express版のシェアが急進
PCI Expressバス対応のグラフィックカードが急速に普及し始めた。市場に出回り始めてわずか1年足らずだが、直近の「BCNランキング」によると、現在主流のAGPバスのカードを脅かすシェアにまで成長しているのだ(図1)。そこで、PCI Expressバス対応のグラフィックカード市場の現状や売れ筋についてまとめた。
PCI Expressバス対応のグラフィックカードが急速に普及し始めた。市場に出回り始めてわずか1年足らずだが、直近の「BCNランキング」によると、現在主流のAGPバスのカードを脅かすシェアにまで成長しているのだ(図1)。そこで、PCI Expressバス対応のグラフィックカード市場の現状や売れ筋についてまとめた。
●すでにシェアは3割超、急速に進む世代交代
今年3月の「BCNランキング」で、グラフィックカードのバスタイプ別販売シェアを見ると、PCI Expressバス対応グラフィックカードのシェアが31.5%と急激に伸びている。PCI Express対応カードが市場に登場して1年にも満たない段階でこの数字は正直驚きだ。これほどの短期間に普及が進んだ理由はズバリ「価格」。例えば同じグラフィックチップを搭載したグラフィックカードで、AGP版とPCI Express版を比べても価格差は小さく、モノによっては2000円程度の差に収まっている。この程度の価格差ならすんなり導入を決められるだろう。
また、最近ではPCI Expressをサポートするマザーボードが増えてきた。この流れでPCI Express版のグラフィックカードの売れ行きも伸びているようだ。比較的最近になってマシンを自作した人なら、グラフィックカードにPCI Express版を選択した人も多いのではないだろうか。
●転送速度は約2倍、さらに期待の爆速化
PCI Expressの特徴は、なんと言っても転送速度の速さだ。現在、PCI Expressで主流の転送モード「PCI Express x16」なら4GB/秒。AGP最高速と言われる「AGP 8x」の2.128GB/秒に比べ、倍近い速度をたたき出す。
転送方式そのものにも大きな違いがある。AGPはパラレル転送のため、隣り合う信号線同士の干渉(クロストーク)が生じるため高速化に問題が多い。一方PCI Expressはシリアル転送でクロストークが発生しないため、各チップの性能向上がストレートに高速化に結びつく。チップの性能をフルに生かすことができるのだ。
PCI Express版のグラフィックカードを使うには、マザーボードが対応している必要がある。Intelプラットフォームなら915P、915G、925Xなどのチップセットを搭載したSocket775マザー。AMDプラットフォームなら、nVIDIA nForce4 UltraやATI Radeon XPRESS 200Pといったチップセット搭載のSocket939マザーが対応している。これ以外のCPUソケット形状に関しても、今後続々対応が進むだろう。
●ほぼ上位独占状態のGeForce搭載カード
一番の売れ筋は、GeForce 6600シリーズの搭載カードだ。3月度の「BCNランキング」販売台数トップ10のうち、実に9機種がGeForce 6600シリーズ搭載カードという強さ(表)。
なぜこれほどまでに強いのか? 秘密はその絶妙な「バランス」にある。まず最新の3Dゲームをストレスなく動かすことができて価格は1万円前半?2万円台中盤と適度にリーズナブル。3Dゲームをストレス無くプレイしたいといった人向けに6600GT、それ以外はバランスのよい無印6600といったように幅広いユーザーに対応する。また、安価ながら2枚のグラフィックカードを同時に差して描画性能向上を図ったり画面作業領域を広げるSLI(Scalable Link Interface)にも対応し、将来的なパフォーマンスアップにも耐えうるなど、パフォーマンス・拡張性の高さがほどよくバランスしているのだ。
その他、GeForceならバリューラインアップであるGeForce 6200シリーズ、ハイエンド向けならGeForce 6800シリーズ、また、ATI RADEONのX700・X800・X850の各シリーズ、といった新しいチップを搭載するカードが伸びてきており、好調な人気の一旦を担っている。
●開発競争の激化が普及を後押し
多くのマザーボードでPCI Express化が進み、AGPバス搭載のものは少なくなっていく傾向にある。しかし、ATXよりもサイズの小さいMicro ATXなど、ある程度“枯れた”ソケット形式でグラフィック性能に重点を置かないバリュー向けのマザーボードなら、今後もAGPバスが搭載され続けるだろう。AGPで発揮できる描画パワーで十分だし、チップセット自体がPCI Expressをサポートしていないからだ。
AGPカードが無くなるということは当面ないだろう。また、カードメーカーもAGP版のグラフィックカードのラインナップを急激に削る、ということも考えにくい。しかし、nVIDIAやATI、Matroxといったグラフィックチップメーカーは開発のウェイトを完全にAGPからPCI Expressにシフトさせ、次世代グラフィックチップの開発競争はさらに激化するとみられる。技術競争の成り行きによっては、PCI Epressの普及スピードにもさらに拍車がかかることになりそうだ。(フリージャーナリスト・市川昭彦<Aqui-Z>)
PCI Expressバス対応のグラフィックカードが急速に普及し始めた。市場に出回り始めてわずか1年足らずだが、直近の「BCNランキング」によると、現在主流のAGPバスのカードを脅かすシェアにまで成長しているのだ(図1)。そこで、PCI Expressバス対応のグラフィックカード市場の現状や売れ筋についてまとめた。
●すでにシェアは3割超、急速に進む世代交代
今年3月の「BCNランキング」で、グラフィックカードのバスタイプ別販売シェアを見ると、PCI Expressバス対応グラフィックカードのシェアが31.5%と急激に伸びている。PCI Express対応カードが市場に登場して1年にも満たない段階でこの数字は正直驚きだ。これほどの短期間に普及が進んだ理由はズバリ「価格」。例えば同じグラフィックチップを搭載したグラフィックカードで、AGP版とPCI Express版を比べても価格差は小さく、モノによっては2000円程度の差に収まっている。この程度の価格差ならすんなり導入を決められるだろう。
また、最近ではPCI Expressをサポートするマザーボードが増えてきた。この流れでPCI Express版のグラフィックカードの売れ行きも伸びているようだ。比較的最近になってマシンを自作した人なら、グラフィックカードにPCI Express版を選択した人も多いのではないだろうか。
●転送速度は約2倍、さらに期待の爆速化
PCI Expressの特徴は、なんと言っても転送速度の速さだ。現在、PCI Expressで主流の転送モード「PCI Express x16」なら4GB/秒。AGP最高速と言われる「AGP 8x」の2.128GB/秒に比べ、倍近い速度をたたき出す。
転送方式そのものにも大きな違いがある。AGPはパラレル転送のため、隣り合う信号線同士の干渉(クロストーク)が生じるため高速化に問題が多い。一方PCI Expressはシリアル転送でクロストークが発生しないため、各チップの性能向上がストレートに高速化に結びつく。チップの性能をフルに生かすことができるのだ。
PCI Express版のグラフィックカードを使うには、マザーボードが対応している必要がある。Intelプラットフォームなら915P、915G、925Xなどのチップセットを搭載したSocket775マザー。AMDプラットフォームなら、nVIDIA nForce4 UltraやATI Radeon XPRESS 200Pといったチップセット搭載のSocket939マザーが対応している。これ以外のCPUソケット形状に関しても、今後続々対応が進むだろう。
●ほぼ上位独占状態のGeForce搭載カード
一番の売れ筋は、GeForce 6600シリーズの搭載カードだ。3月度の「BCNランキング」販売台数トップ10のうち、実に9機種がGeForce 6600シリーズ搭載カードという強さ(表)。
なぜこれほどまでに強いのか? 秘密はその絶妙な「バランス」にある。まず最新の3Dゲームをストレスなく動かすことができて価格は1万円前半?2万円台中盤と適度にリーズナブル。3Dゲームをストレス無くプレイしたいといった人向けに6600GT、それ以外はバランスのよい無印6600といったように幅広いユーザーに対応する。また、安価ながら2枚のグラフィックカードを同時に差して描画性能向上を図ったり画面作業領域を広げるSLI(Scalable Link Interface)にも対応し、将来的なパフォーマンスアップにも耐えうるなど、パフォーマンス・拡張性の高さがほどよくバランスしているのだ。
その他、GeForceならバリューラインアップであるGeForce 6200シリーズ、ハイエンド向けならGeForce 6800シリーズ、また、ATI RADEONのX700・X800・X850の各シリーズ、といった新しいチップを搭載するカードが伸びてきており、好調な人気の一旦を担っている。
●開発競争の激化が普及を後押し
多くのマザーボードでPCI Express化が進み、AGPバス搭載のものは少なくなっていく傾向にある。しかし、ATXよりもサイズの小さいMicro ATXなど、ある程度“枯れた”ソケット形式でグラフィック性能に重点を置かないバリュー向けのマザーボードなら、今後もAGPバスが搭載され続けるだろう。AGPで発揮できる描画パワーで十分だし、チップセット自体がPCI Expressをサポートしていないからだ。
AGPカードが無くなるということは当面ないだろう。また、カードメーカーもAGP版のグラフィックカードのラインナップを急激に削る、ということも考えにくい。しかし、nVIDIAやATI、Matroxといったグラフィックチップメーカーは開発のウェイトを完全にAGPからPCI Expressにシフトさせ、次世代グラフィックチップの開発競争はさらに激化するとみられる。技術競争の成り行きによっては、PCI Epressの普及スピードにもさらに拍車がかかることになりそうだ。(フリージャーナリスト・市川昭彦<Aqui-Z>)