ケータイはiPod超えたか?、専用プレーヤーとの音楽機能を徹底比較

特集

2005/03/23 23:39

 ケータイの進化は目覚しく、次々と「電話」以上の機能を搭載してきている。そのひとつが「音楽再生機能」だ。例えば、3月14日に発表されたauのWIN端末「W31S」では、「着うたフル」でHE-AACフォーマットのハイクオリティ楽曲をダウンロード購入できるだけでなく、ATRAC3形式でエンコードされた楽曲をメモリースティックに入れて聴くことまでできる。それでは、専用プレーヤーである「iPod」などと比べて、一体、どこが優れ、どこが劣っているのだろうか?

 ケータイの進化は目覚しく、次々と「電話」以上の機能を搭載してきている。そのひとつが「音楽再生機能」だ。例えば、3月14日に発表されたauのWIN端末「W31S」では、「着うたフル」でHE-AACフォーマットのハイクオリティ楽曲をダウンロード購入できるだけでなく、ATRAC3形式でエンコードされた楽曲をメモリースティックに入れて聴くことまでできる。それでは、専用プレーヤーである「iPod」などと比べて、一体、どこが優れ、どこが劣っているのだろうか?

 は、専用プレーヤーとケータイの代表機種をピックアップして、音楽再生機能の比較を表にまとめたものだ。まず、再生可能なフォーマットに関しては、音楽プレーヤーの方が対応している種類が圧倒的に豊富。例えば、「iPod」ならばAAC以外にも、MP3やWAVファイルの再生が可能となっている。
機能比較表

 一方、ケータイで再生できる音楽ファイルは、auの「着うたフル」であればHE-AACのみ(一部AACのファイルを再生できるものもあるが公式にはサポートしてない)、ドコモの901iシリーズでも基本的にAACフォーマットのみとなっている。

 次に、操作性に関してはどうだろうか。「iPod」では、「iTunes」などで簡単にPCからファイルを転送することができる。しかし、ケータイの場合は、まだそこまで操作性が洗練されていない。一部、ドコモの富士通製端末「F901iC」やauの「W31S」のように、専用ソフトを使って簡単に楽曲を転送できるものもあるが、全体的に見ればまだ煩雑な操作を要求するものが多い。また、機種によっては連続再生ができなかったりと、再生操作にも色々な制限があるのが現状だ。

 音質についても専用プレーヤーに一日の長がある。専用プレーヤーは、「iPod」のようにAACフォーマットで最大320Kbpsのビットレートに対応しているものが多いが、同じAACに対応したケータイでは、128Kbps以上を再生できなかったり、特定のビットレートに対応していないものが多く足並みが揃っていない。もっともあまりビットレートを上げても、外で音楽を聴く分にはそれほど違いはないので、ある意味これに関してはそれほど気にしなくてもいいのかもしれない。

 しかし、コストパフォーマンスに関しては、ケータイが圧倒的に有利だ。そもそも専用のプレーヤーだとメモリやHDDを内蔵してしまっているものが多いが、ケータイはSDメモリなど外部メディアに音楽を保存することが多い。すでに持っているケータイに64Mや256Mの外部メモリを追加で購入するだけで音楽が聴けるようになるのだから、プレーヤーを別途購入するよりも安上がりだ。また、「着うたフル」のように、ダウンロード購入ができ、そのまま音楽が聴けてしまうのも、ネットワークにつながっているケータイならでは。自分でCDの楽曲をエンコードするよりも簡単で、シングルCDを買うよりもリーズナブルだ。

 以上を総合すると、できるだけコストをかけずに手軽に音楽を楽しみたい、という人はケータイの方が向いている。また、シングルCDを何曲か聴きたい、という場合もケータイの方が便利。「音楽マニアではないが、ちょっとした移動時間などの暇つぶしをしたい」、そんな人にケータイの音楽機能は向いていると言える。

 さらに今後、韓国などですでに発売されているHDD搭載のケータイが日本に上陸し、「着うたフル」などと融合した時には、専用の音楽プレーヤー以上の利便性を発揮することになるだろう。そういう意味では、ケータイの音楽機能はまだ発展途上と言え、今後も大きく進化していく可能性を秘めているのだ。(フリージャーナリスト・石野純也<EYE's factory>)