BCN総研発表、04年のPC関連店頭市場はハード、ソフトとも前年割れ
BCN(奥田喜久男社長)の市場調査部門であるBCN総研は、「BCN AWARD 2005」(対象部門のうち、10キーボード以外の新設部門と携帯オーディオを除く69部門)をベースに、2004年の国内PC関連店頭市場の動向をまとめた。その結果、2004年のPC関連店頭市場は、数量ベースで前年比3.3%減、金額ベースで同11.5%減と、低調な水準であった。
ハードウェア製品とソフトウェア製品別では、ハードウェア製品が数量ベースで前年比2.3%減、金額ベースで同11.5%減、ソフトウェア製品は数量ベースで同7.8%減、金額ベースで同10.3%減となり、とくにソフトウェア製品の落ち込みが目立った。
市場全体が低調に推移したなかで、前年に比べ大きく伸びたハードウェア製品としては、2003年に引き続き「記録型DVD」、「複合プリンタ」、「メモリカード」、「デジタルカメラ」などが挙げられる。ただ、いずれの製品も前年の伸び率に比べ増加幅が縮小しており、市場全体をけん引する原動力にはならなかった。
こうしたなか、「複合プリンタ」は年間を通じて比較的高い伸び率で推移し、平均販売価格も前年比1.7%減の5万1400円と、小幅の下落にとどまった。その一方で、「インクジェットプリンタ」は数量ベースで前年比25.0%減となるなど、市場規模が大幅に縮小した。「インクジェトプリンタ」と「複合プリンタ」を合わせたプリンタ市場は、2004年1月にインクジェットと複合の比率が約7:3であったものが、同年12月には約6:4へと大きく市場構造が変化している。
「複合プリンタ」好調の背景についてBCN総研では、「インクジェットプリンタユーザーが複合プリンタへスイッチしていることなども大きな要因になった」とみている。
また、これまで高い伸び率で推移してきた「デジタルカメラ」については、2004年では増勢となったが、単月ベースでは10月以降前年割れが続くなど、普及率の上昇にともない市場の成熟化が進んでいる。
ソフトウェア製品の動きを見ると、集計対象となった32部門中、前年水準を上回ったのは、5部門のみで、市場の厳しい様子が浮き彫りになった。そのなかで、最もウエイトの高い「セキュリティソフト」は同20%を超える高い伸び率を示し、市場を下支えした。ユーザーの個人情報保護やウイルス対策への意識の高まりなどに加え、供給サイドでのPCへのバンドル形式による販売方法などが功を奏した。03年に前年比46.3%増と高い伸び率を示した「携帯電話ソフト」は、04年には前年比0.2%減と減少に転じている。
なお、「BCN AWARD 2005」では、デジタル家電関連の部門を新たに設置したが、2004年は「アテネ五輪」などもあり、デジタル家電の需要が一段と盛り上がった。しかし、旺盛な需要や競合の激化などを背景に液晶テレビ、HDD/DVDレコーダーなどの価格は下落。とくに液晶テレビの価格下落は加速度を増しており、32型液晶テレビの12月の平均販売価格は10月に比べ11.9%減の28万1200円まで下がった。
BCN総研では、デジタル家電市場の今後について、「HDD/DVDレコーダーについても、9月発売の機種が12月には約1割下落するなどの動きがみられ、これまで高価だったデジタル家電にも、価格の下落にともない値頃感が生じてきている。デジタルカメラなど一部に成熟感のみられるアイテムもある一方で、HDD/DVDレコーダーなどデジタル家電に対する需要は依然強く、今後も一層の需要増が期待できる」としている。