年末「スゴ録」vs「DIGA」戦争決着、ソニー勝利の陰に「冬ソナ」効果?

特集

2005/01/11 21:01

 2004年、DVDレコーダー年末商戦で一騎打ちとなったソニー「スゴ録」と松下「DIGA」。対決は11月最終週まで目が離せない一進一退のデッドヒートを繰り広げ、最終的にソニーに軍配が上がった。まずは12月におけるDVDレコーダートップ20を見てみよう(図1)。

 2004年、DVDレコーダー年末商戦で一騎打ちとなったソニー「スゴ録」と松下「DIGA」。対決は11月最終週まで目が離せない一進一退のデッドヒートを繰り広げ、最終的にソニーに軍配が上がった。

 まずは12月におけるDVDレコーダートップ20を見てみよう(図1)。ソニーの主力はエントリー機となる「RDR-HX50」で、トップセールスを記録。「おまかせ・まる録」というキーワード録画機能を搭載しつつ、5万円を切る平均単価で一気に人気を集めた。注目のPSX「DESR-5500」は14位(台数シェア2.26%)。5万円台というこなれた価格、進化したエンターテイメント機能に加え、「ドラゴンクエストVIII」(11月27日発売)などの強力なゲームソフトも、販売を後押しした。


 一方の松下「DIGA」は、「DMR-E250V」が主力。1台3役をこなすHDD+VHS+DVDレコーダーで、ボタンひとつで簡単に相互のダビングが可能。5位の「DMR-E220H」は、録りたい番組の放送時間が重なっていても2番組同時にハードディスクに録画できる「どっちも録り」機能を搭載している。「スゴ録」のラインアップと比べると、高機能モデルが評価されている。

 次に、この2社の販売台数シェア推移(図2)を見てみよう。11月5週までは、松下がトップ。ソニー、松下とも、互いに一歩も譲らない接戦となった。しかし、12月1週には、ソニー28.6%、松下21.9%と、ソニーが大きく販売台数を伸ばした。「DIGA」新モデルが9月21日から順次販売を開始したのに対し、「スゴ録」は11月初旬から下旬にかけて主力ラインアップが揃い、一気に松下をとらえた。


 12月10日には「PSX」新モデルも参戦し、終わってみれば12月全週にわたって他社を圧倒。以降の両社の差は、年末にかけてさらに開く結果となった。

 この12月のソニーの強さはいったいどこからくるのだろう。同社マーケティング担当によれば、「今年は『スゴ録』と『PSX』の棲み分けがうまくいった」という。

 一昨年の「PSX」1号機は、“操作性が非常にいい、だれでも使える”といったメリットを打ち出したものの、編集機能がやや弱いなどの理由から「PSX」と「スゴ録」のダブルブランドが、必ずしもうまくかみ合ったとはいえなかった。

 しかし、昨年はこれまで「PSX」で指摘されていたスペックの弱点をすべて改善。さらに写真をビデオ風に編集できたりする「x-アプリ」を新たに搭載し、エンターテイメント性や編集機能を大幅に強化した。これによって、「PSX」はパソコンに強いマニア向け、「スゴ録」は一般家庭向けとして、商品の切り分けが非常に明確になった。このため、ソニーは「スゴ録」を一般ユーザーにわかりやすい自動録画機能「おまかせ・まる録」に集約して宣伝。「スゴ録」でファミリー向けの安心感を、「PSX」でマニア向けのエンターテイメント機能を打ち出すことで、ユーザーにわかりやすい商品訴求に成功した。

 一方の松下は、2番組を録画できる「どっちも録り」や他の製品とのネットワーク機能、わかりやすいEPGや簡単UIと、あまりに機能が豊富すぎて、「DIGA」としての訴求ポイントが分散したきらいがある。さらに、エントリーとなる普及価格帯モデルにおいて、「DIGA」は「DMR-E55」の1機種に対し、「スゴ録」は「RDR-HX50」と「RDR-HX70」、そして「PSX」の「DESR-5500」と、3機種を揃えて一般のエントリーユーザー向けに幅広いラインアップを提供した。こうした差が12月4週には、ソニー28.6%、松下19.2%となって表れることとなった。

 ところで、ソニーの勝因について、“隠れた理由がもう1つある”と語るのは大手量販店の担当者。「難しい説明よりも、ソニーの場合は自宅のBSアナログ放送でやっている“冬ソナ”をそのまま録画できます、と説明した方が奥さんのサイフも開きやすかった」という。

 他社製品の多くはBSアナログチューナーを見切り、デジタル機能を拡充していったが、「スゴ録」、「PSX」の一部モデルは同チューナーを搭載したアドバンテージが光ったようだ。ファミリー層が大挙して押し寄せた12月。冬ソナにはまった主婦のサイフをがっちりつかんだのは、ヨン様とともに「スゴ録」だった、ということらしいのだが...。