複合プリンタでエプソンがトップ3を独占、年末商戦は1台3役に人気

特集

2004/12/21 00:42



 年末商戦も終盤をむかえ、複合型プリンタが活発な動きを見せている。複合プリンタとは、通常のインクジェットプリンタに、コピー、スキャナ機能を加えた複合機。1台で何役もこなす多機能が受けて、今秋以降、プリンタの単体機を上回る売り上げを記録している伸び盛りの商品だ。

 この複合プリンタでは、昨年から1年以上にわたってエプソンがトップシェアを続けてきたが、年末商戦用モデルでは、さらにハイエンドから入門用の普及モデルまでをラインアップし、60%を超えるシェアを獲得している。

 は、BCNが大手量販店17社1500店舗のPOSデータを集計する「BCNランキング」で、売れ筋上位5機種のシェア推移を示したグラフ。このうち3機種が激しくトップ争いを演じているが、実はいずれもエプソンの新製品。とくに実勢価格5万円弱というハイエンドモデルの「Colorio PM-A900」(黄色の折れ線)や、3万4000円前後の「Colorio PM-A870」(青色の折れ線)という、上位モデルに人気が集中している。


 プリンタはこの3年近く、価格低下が急速に進み、低価格モデルが売れ筋の中心になってきたが、今回の年末商戦では本格的なプリンタ機能に多彩な複合機能をミックスさせた高級機が見直される傾向が強まっている。とくに「PM-A900」や、「PM-A870」などの上位機種ではインクの数が6色と単体機に迫る写真画質機能を備えたうえで、スキャナ機能も3200×6400dpi(「PM-A900」)と専用機並みの機能を実現したことがユーザーの支持につながっているようだ。

 「PM-A900」では、デジカメ・携帯電話・フィルム・紙焼きなどさまざまな写真プリントにも対応し、写真の楽しみを訴求する。また、高精細液晶「Photo Fine」を搭載し、オーダーシートを採用することによって誰でも簡単に印刷/操作ができる。CDレーベルのコピー機能など、実用的な機能を備えることによって、付加価値が高い機種としての訴求力も強めた。


 一方、インクジェット単体機では、エプソンのトップシェアを逆転し、目下絶好調のキヤノンだが、複合プリンタではやや勢いがない。昨年10月に発売されたロングセラー、「PIXUS MP370」(紫の折れ線)に代わって、新製品の「PIXUS MP770」(水色の折れ線)が急上昇をみせいるが、エプソンの上位3機種にどこまで迫れるかが今後の注目点。「PIXUS MP770」は、5色のインクを搭載し、「超写真画質」を訴求した複合型プリンタ。さらに、デジカメやメモリカード、携帯電話、フィルムなどからのダイレクトプリントの他、自動両面印刷や2Way給紙など実用的な機能を備え、ユーザビリティを高めているのが特徴だ。


 販売店では、これらの製品を高付加価値をつけたプリンタとして訴求し、年賀状以外の活用シーンも提案している。複合型プリンタは、年末商戦の主力アイテムとして、年明けにかけてさらに人気に拍車がかかりそうだ。