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任天堂「DS」は女性、ソニー「PSP」は10代に人気、購入分析で見えた携帯ゲーム最新トレンド

特集

2004/12/15 11:00



 12月2日発売の任天堂「ニンテンドーDS」、12月12日発売のソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)「プレイステーション・ポータブル(PSP)」。携帯ゲーム機の新時代が幕を開けた。任天堂、SCEともに、この携帯ゲーム機のテーマは、“新しいゲーム層の開拓”にある。BCNが大手量販店カード会員の購入者データ(1万4140人)を分析した結果、これまでのゲーム専用機にはない新たなユーザー像が浮かび上がってきた。


 図1は、「ニンテンドーDS」購入者の年代別構成比推移。発売前日の12月1日は20代が61.5%を占めたが、12月12日には12.4%に低下。逆に30代と40代を合わせた“大人層”が77.9%と大部分を占めるようになった。


 また、「DS」の男女別に見たグラフが図2。12月1日当初は女性の比率は7.7%だったが、12日には25.1%まで上昇。約4分の1を女性が占めて、これまでのゲーム専用機とは異なる傾向が鮮明になってきた。今まで任天堂のゲーム機といえば、ポケモンなど比較的低年齢のゲームファン層に支えられてきた印象が強いが、「ニンテンドーDS」は中年から女性も含めた幅広い客層もとらえてきているようだ。


 一方、携帯ゲーム機としては初参入となるSCEの「PSP」。発売日当日の購入者の年代別購入者の構成比を「DS」との対比で比べてみた。それが図3。

 「DS」、「PSP」それぞれ20代、30代の合計は69%と同率。「PSP」は、「DS」に比べて10代が多く、40代が少ない。SCE初の携帯ゲーム機に10代購入者の関心が高かったことがわかる。「PSP」の男女比率は、男性89.4%、女性10.6%だった。

 SCE広報は、「ターゲットはとくに決めず、幅広い年齢層に向けて発売した。ただ、新製品は今まであるような携帯ゲーム機ではなく、大人が外で使っても恥ずかしくないゲーム機にしたかった」との方向性を語っている。そのため、開発当初から完成形に近いゲーム機デザインと大画面、UMD採用、そして「プレイステーション」に近い操作感は決まっていた。

 任天堂が強い低年齢層や、ゲームから一度離れてしまったファン層へのアプローチも至ってシンプル。「ソフトメーカーとの関係を大事にしながら、継続的にソフトを出していく」(SCE広報)。幅広いソフトを提供することで、そのどれかをユーザーが気に入って楽しんでもらえればよいという。

 ソフトメーカーも「PSP」の高いスペックを利用した新機軸のソフトを製作したり、「プレーステーション」の人気ゲームを移植するなど、ユーザー層の拡大に積極的に取り組んでいる。また、SCEからは翻訳ソフトも現在開発中で、ヘッドホンとマイクを使い、茶目っ気のあるキャラクターを登場させるという。

 さらに、テレビ録画したプロ野球中継などのスポーツ番組をメモリースティック経由でムービー再生すれば、まさに動くスタジアム。通勤途中に映像を楽しめるハードが本格的に登場した感がある。

 ここ3年間、前年比マイナス市場になっていたゲーム機市場だが、今回発売した2機種は、「ゲームをもう一度幅広いユーザー層へ浸透させる」だけの可能性を秘めた商品といえるだろう。(BCN 小泉貴幸)