楽天証券と「楽天キャッシュ」の組み合わせは、これから新NISAを始めたい人にとって有力候補のひとつになるだろう。新NISAを利用すると、投資の利益に対して税金がかからないが、金融機関は自己判断で選ばなければならない。また、一部の証券会社が提供している「クレカ積立(クレジットカード決済による投資信託の積立購入)」には特定のクレジットカードが必要など、ややハードルは高い。
その点、楽天キャッシュは、Suicaなどと同じ「電子マネー」だ。気軽に登録できるサービスながら、基本的にはクレジットカード決済と同じポイント還元を受けられるのが嬉しいポイントだ。楽天ペイ、楽天キャッシュの利用に審査は必要ないため、新NISAと共に投資を始める第一歩となれば幸いだ。
新NISAがお得な理由として、本来、投資の利益に対してかかる20.315%の税金が非課税になることが挙げられる。例えば、投資で20万円の利益が出た場合、本来発生する「20万円×20.315%=40,630円」が丸々手元に残せる計算になる。
また、新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類の投資枠がある。両者を合算した「総枠(非課税保有限度額)」は1人あたり1800万円(うち成長投資枠は1200万円)だ。
期限は決められておらず(非課税保有期間は無期限)、自分のペースで自由に積立ができる。新NISAの枠をしっかり使いきれば、老後2000万円問題も大半は解決してしまうというワケだ。
楽天ペイでは、楽天銀行からの引き落としや楽天カード、楽天ポイントでの支払いも可能だが、楽天キャッシュに一度チャージしたほうがポイント還元率は高くなる。例えば、楽天キャッシュ払いで1万円分の飲食代を支払うと、150円相当のポイント還元を受けられる計算だ。
ネット証券各社では、特定のクレジットカード決済で投資信託を購入することでポイント還元を受けられる。同じ要領で、楽天証券では楽天キャッシュを使った投資が可能だ。
楽天キャッシュは、毎月最大5万円まで投資に使える。例えば、新NISAのつみたて投資枠に毎月5万円投資を続ければ、年間60万円の枠を使い切れる。楽天証券では楽天カード・楽天キャッシュの両方で投資が可能なので、併用すれば毎月最大15万円まで積立できるのも他社にない特徴だ。
まずは、楽天キャッシュ決済と楽天カード クレジット決済、それぞれの違いをまとめてみた。
ファンドの代行手数料が0.4%未満の場合、ポイント還元率は楽天カード・楽天キャッシュともに0.5%だ。優良ファンドの代行手数料はほとんど0.4%未満なので、多くのケースではポイント還元率0.5%が適用されると考えてよいだろう。
また、ゴールドカード・プレミアムカードなどの上位カードではポイント還元率がアップするため、基本的には楽天キャッシュ決済よりもお得になる。
筆者の場合は一般カードであり、投資しているファンドも代行手数料が0.4%未満のeMAXIS Slimシリーズだ。この場合、楽天カードと楽天キャッシュではポイント還元率が変わらないので、手続きがややこしくない楽天カードを利用している。
・楽天市場のポイント還元率が上がる
・楽天カードがなくても投資を始められる
・楽天カードと併用で最大15万円まで積立投資ができる
SPUが適用されるポイント投資の条件は次の通りだ。
・楽天ポイントコースに設定する
・楽天銀行×楽天証券のマネーブリッジに登録する
・1ポイント以上を使って投資をする
・投資信託・米国株式をそれぞれ毎月3万円以上購入する(各+0.5倍)
消費する楽天ポイントはできるだけ少額にして、楽天カード・楽天キャッシュでの購入分を増やすのがセオリーだ。
毎月10万円積立している筆者の場合、10ポイントだけ投資に使うようにしている。この投資方法なら積立額から10ポイントを差し引いた9万9990円分で0.5%のポイント還元を受けられる。
一方、楽天キャッシュは銀行振込やセブン銀行・ローソン銀行ATMなどからチャージ可能なので、楽天カードがなくても積立投資によってポイント還元を受けられる。収入や社会的信用がなくクレジットカードの審査に通らない方にも向いている。
楽天証券なら、楽天カードで10万円、楽天キャッシュで5万円の合計最大15万円まで積立投資ができる。例えば、積立のポイント還元率が0.5%の場合、上限額が毎月10万円だと年間で最大6,000ポイントしか獲得できない。一方、上限額が毎月15万円だと年間9,000ポイント獲得できるので、投資額が大きい人にとっては年間3,000ポイントも増えることになる。
・スポット購入には使えない
・ボーナス設定ができない
上記のデメリットは、いずれも楽天カードによる積立にも当てはまる問題点だ。それぞれ詳しく解説する。
スポット購入ができれば、下落のタイミングでまとめて投資できるというメリットがある。まとまった資金がある人は、積立よりもできる限り早いタイミングで一括投資したほうがお得という考え方もできる。
ただ、スポット購入はあまり初心者向けとはいえない方法だ。積立には購入価額が平均化されて高値掴みになりにくいという利点があり一長一短なので、積立しかできないことをそこまでデメリットに感じる必要はない。
ただ、こちらもスポット購入と同じく投資に慣れている人向けの手法なので、初心者にとって影響は少ないだろう。
つみたて投資枠・成長投資枠の好きなほうから「商品を探す」をタップして、ファンド一覧、またはファンド名から投資信託を検索しよう。
ファンド一覧から積み立てたいファンドの名前をタップして「積立設定」のボタンを選択する。
引落方法で「楽天キャッシュ(電子マネー)」を選択したら、積立特定日を1~28日の好きなタイミングに設定しよう。次に、分配金コースを選択する。分配金コースには「再投資型」と「受取型」の2種類がある。インデックスファンドなどの場合、元々再投資型なのでどちらを選んでも変わらない。
最後に、目論見書を確認する。目論見書とは投資信託における「説明書」のようなもので、投資先や投資によって生じるリスクについてチェックしておくことが大切だ。
・楽天カード
・楽天Edy
・銀行口座
・セブン銀行・ローソン銀行ATM(現金チャージ)
・ラクマの売上金
・楽天ギフトカード
・楽天ウォレット
どのチャージ方法を選んでもポイント還元率は変わらない。
したがって、投資信託の積立であれば楽天キャッシュや楽天カードで積立したほうがお得になる。クレカ積立が使えないスポット購入や投資信託以外の商品の買い付けにはマネーブリッジを活用するとよいだろう。
前述の通り、楽天証券では、楽天キャッシュ・楽天カードによる積立で投資信託・米国株・を毎月3万円以上買い付け、指定の条件を満たすとSPUの対象になり、楽天市場でのポイント還元率が0.5%アップする。
なお、買い付け手数料無料の海外ETFの買い付けはSPUの対象にならない。「VTI」や「SPYD」など人気の高いファンドも対象外になっているため要チェックだ。
他のオンライン証券のクレカ積立では、特定のクレジットカードの発行が必須とされ、投資のライト層にとって絶妙にハードルが高かった。一方、楽天キャッシュを使った積立はクレジットカードが不要なうえに、ほとんどのケースでは楽天カードを使った積立と変わらないポイント還元率を実現できる。
新NISAは運用益にかかる税金が非課税になるため、資産形成したいなら利用しない手はない。クレカの新規発行が不要な楽天キャッシュを使って、楽天証券で新NISAをはじめてみてはいかがだろうか。
■Profile
北川 和哉
専業ライター。ファイナンシャル・プランニング2級資格を保有。2021年から投資を始め、NISAやiDeCo、小規模企業共済、個別株などに幅広く投資。企業の財務分析が得意で、継続的に配当金を受け取る「自分年金」を作っている。
その点、楽天キャッシュは、Suicaなどと同じ「電子マネー」だ。気軽に登録できるサービスながら、基本的にはクレジットカード決済と同じポイント還元を受けられるのが嬉しいポイントだ。楽天ペイ、楽天キャッシュの利用に審査は必要ないため、新NISAと共に投資を始める第一歩となれば幸いだ。
新NISAは楽天証券×楽天キャッシュがお得?
新NISAを始めたいと考えているものの「仕組みがよくわかっていない」「どの金融機関にするか迷う」などの理由から、保留にしている方も多いだろう。そんな方にとって最適解となりうるのが「楽天証券」と「楽天キャッシュ」の組み合わせだ。新NISAってどういう制度?
新NISAは、税金を抑えてよりお得に、より安全に投資できる税制優遇制度だ。勘違いされがちだが、新NISAは「投資商品」ではなく「口座の種別」のことを指す。新NISAがお得な理由として、本来、投資の利益に対してかかる20.315%の税金が非課税になることが挙げられる。例えば、投資で20万円の利益が出た場合、本来発生する「20万円×20.315%=40,630円」が丸々手元に残せる計算になる。
また、新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類の投資枠がある。両者を合算した「総枠(非課税保有限度額)」は1人あたり1800万円(うち成長投資枠は1200万円)だ。
期限は決められておらず(非課税保有期間は無期限)、自分のペースで自由に積立ができる。新NISAの枠をしっかり使いきれば、老後2000万円問題も大半は解決してしまうというワケだ。
楽天キャッシュとは?
楽天キャッシュは、「楽天ペイ」アプリなどで使える楽天グループのオンライン電子マネーだ。プリペイドカードのように事前にチャージすることで支払いなどに使用できる。楽天ペイでは、楽天銀行からの引き落としや楽天カード、楽天ポイントでの支払いも可能だが、楽天キャッシュに一度チャージしたほうがポイント還元率は高くなる。例えば、楽天キャッシュ払いで1万円分の飲食代を支払うと、150円相当のポイント還元を受けられる計算だ。
楽天証券の楽天キャッシュ積立のサービス内容は?
楽天証券では、楽天キャッシュを使った積立投資に対応している。楽天キャッシュによる積立投資の具体的なサービス内容を紹介する。ネット証券各社では、特定のクレジットカード決済で投資信託を購入することでポイント還元を受けられる。同じ要領で、楽天証券では楽天キャッシュを使った投資が可能だ。
楽天キャッシュは、毎月最大5万円まで投資に使える。例えば、新NISAのつみたて投資枠に毎月5万円投資を続ければ、年間60万円の枠を使い切れる。楽天証券では楽天カード・楽天キャッシュの両方で投資が可能なので、併用すれば毎月最大15万円まで積立できるのも他社にない特徴だ。
新NISAなら楽天キャッシュ決済と楽天カード決済、どちらがいい?
楽天証券では、楽天キャッシュだけでなく楽天カードを使った積立投資も可能なのだが、少額投資ならどちらも基本的には変わらない。まずは、楽天キャッシュ決済と楽天カード クレジット決済、それぞれの違いをまとめてみた。
ファンドの代行手数料が0.4%未満の場合、ポイント還元率は楽天カード・楽天キャッシュともに0.5%だ。優良ファンドの代行手数料はほとんど0.4%未満なので、多くのケースではポイント還元率0.5%が適用されると考えてよいだろう。
また、ゴールドカード・プレミアムカードなどの上位カードではポイント還元率がアップするため、基本的には楽天キャッシュ決済よりもお得になる。
筆者の場合は一般カードであり、投資しているファンドも代行手数料が0.4%未満のeMAXIS Slimシリーズだ。この場合、楽天カードと楽天キャッシュではポイント還元率が変わらないので、手続きがややこしくない楽天カードを利用している。
楽天証券で楽天キャッシュ積立する3つのメリット
投資信託の積み立て購入にあたり、楽天カードと楽天キャッシュ、どちらを選ぶかはケースバイケースだ。ここでは、楽天キャッシュで積立投資するメリットを紹介する。・楽天市場のポイント還元率が上がる
・楽天カードがなくても投資を始められる
・楽天カードと併用で最大15万円まで積立投資ができる
楽天市場のポイント還元率が上がる
楽天キャッシュで積立をすれば、楽天市場での買い物がお得になる。楽天カードまたは楽天キャッシュで積立をすることで「SPU(スーパーポイントアッププログラム)」の対象になり、SPUのポイント還元率が投資信託・米国株のポイント投資でそれぞれで0.5%アップするからだ。SPUが適用されるポイント投資の条件は次の通りだ。
・楽天ポイントコースに設定する
・楽天銀行×楽天証券のマネーブリッジに登録する
・1ポイント以上を使って投資をする
・投資信託・米国株式をそれぞれ毎月3万円以上購入する(各+0.5倍)
消費する楽天ポイントはできるだけ少額にして、楽天カード・楽天キャッシュでの購入分を増やすのがセオリーだ。
毎月10万円積立している筆者の場合、10ポイントだけ投資に使うようにしている。この投資方法なら積立額から10ポイントを差し引いた9万9990円分で0.5%のポイント還元を受けられる。
楽天カードがなくても投資を始められる
楽天キャッシュを利用すると、楽天カードがなくても積立投資ができる。証券会社は関連会社のクレジットカードを作ってもらう目的で、特定のカードのみポイント付与の対象になっているケースがほとんどだ。一方、楽天キャッシュは銀行振込やセブン銀行・ローソン銀行ATMなどからチャージ可能なので、楽天カードがなくても積立投資によってポイント還元を受けられる。収入や社会的信用がなくクレジットカードの審査に通らない方にも向いている。
楽天カードと併用で最大15万円まで投資できる
楽天キャッシュがあれば、積立投資の金額を毎月15万円まで増やせる。本来、クレカ積立は毎月10万円までしかできず、10万円を超える分については銀行口座や証券口座からの投資となるため、ポイント還元を受けられない。楽天証券なら、楽天カードで10万円、楽天キャッシュで5万円の合計最大15万円まで積立投資ができる。例えば、積立のポイント還元率が0.5%の場合、上限額が毎月10万円だと年間で最大6,000ポイントしか獲得できない。一方、上限額が毎月15万円だと年間9,000ポイント獲得できるので、投資額が大きい人にとっては年間3,000ポイントも増えることになる。
楽天証券で楽天キャッシュ積立する2つのデメリット
楽天証券の楽天キャッシュ積立は便利だが、次のようなデメリットもある。・スポット購入には使えない
・ボーナス設定ができない
上記のデメリットは、いずれも楽天カードによる積立にも当てはまる問題点だ。それぞれ詳しく解説する。
スポット購入には使えない
楽天キャッシュが使えるのは「投資信託の積立」のみで、スポット購入には使えない。スポット購入とは、積立ではなく一括で投資信託を購入することを指す。スポット購入ができれば、下落のタイミングでまとめて投資できるというメリットがある。まとまった資金がある人は、積立よりもできる限り早いタイミングで一括投資したほうがお得という考え方もできる。
ただ、スポット購入はあまり初心者向けとはいえない方法だ。積立には購入価額が平均化されて高値掴みになりにくいという利点があり一長一短なので、積立しかできないことをそこまでデメリットに感じる必要はない。
ボーナス設定ができない
楽天キャッシュではボーナス設定ができないため、特定の月だけ投資額を増やすことはできない。ボーナス設定すれば、狙ったタイミングだけ投資額を増やせるのが利点だ。投資には9月に下落しやすいなどのアノマリー(経験則)があり、ボーナス投資を利用して価格の安いときに多く購入するといったテクニックもある。ただ、こちらもスポット購入と同じく投資に慣れている人向けの手法なので、初心者にとって影響は少ないだろう。
楽天証券で楽天キャッシュで積立する手順
楽天証券でNISA口座を開設したうえで、楽天証券にログインして、まず「NISAで探す」を選択する。つみたて投資枠・成長投資枠の好きなほうから「商品を探す」をタップして、ファンド一覧、またはファンド名から投資信託を検索しよう。
ファンド一覧から積み立てたいファンドの名前をタップして「積立設定」のボタンを選択する。
引落方法で「楽天キャッシュ(電子マネー)」を選択したら、積立特定日を1~28日の好きなタイミングに設定しよう。次に、分配金コースを選択する。分配金コースには「再投資型」と「受取型」の2種類がある。インデックスファンドなどの場合、元々再投資型なのでどちらを選んでも変わらない。
最後に、目論見書を確認する。目論見書とは投資信託における「説明書」のようなもので、投資先や投資によって生じるリスクについてチェックしておくことが大切だ。
よくある質問
楽天キャッシュのチャージ方法は?
楽天キャッシュのチャージ方法には次の7種類がある。・楽天カード
・楽天Edy
・銀行口座
・セブン銀行・ローソン銀行ATM(現金チャージ)
・ラクマの売上金
・楽天ギフトカード
・楽天ウォレット
どのチャージ方法を選んでもポイント還元率は変わらない。
楽天キャッシュ積立はマネーブリッジよりお得?
楽天キャッシュ積立はマネーブリッジよりもお得だ。楽天証券では、金融商品の買い付けをする際に「マネーブリッジ」と呼ばれる機能によって楽天銀行から買い付け資金の引き落としができる。便利な機能だが、ポイントは還元を受けられない。したがって、投資信託の積立であれば楽天キャッシュや楽天カードで積立したほうがお得になる。クレカ積立が使えないスポット購入や投資信託以外の商品の買い付けにはマネーブリッジを活用するとよいだろう。
楽天キャッシュ積立でもSPUの対象になる?
楽天キャッシュ積立でもSPUの対象になる。前述の通り、楽天証券では、楽天キャッシュ・楽天カードによる積立で投資信託・米国株・を毎月3万円以上買い付け、指定の条件を満たすとSPUの対象になり、楽天市場でのポイント還元率が0.5%アップする。
なお、買い付け手数料無料の海外ETFの買い付けはSPUの対象にならない。「VTI」や「SPYD」など人気の高いファンドも対象外になっているため要チェックだ。
新NISAは楽天証券×楽天キャッシュがお得
楽天証券と楽天キャッシュによる積立投資は、人によっては新NISAの最適解となりうる。他のオンライン証券のクレカ積立では、特定のクレジットカードの発行が必須とされ、投資のライト層にとって絶妙にハードルが高かった。一方、楽天キャッシュを使った積立はクレジットカードが不要なうえに、ほとんどのケースでは楽天カードを使った積立と変わらないポイント還元率を実現できる。
新NISAは運用益にかかる税金が非課税になるため、資産形成したいなら利用しない手はない。クレカの新規発行が不要な楽天キャッシュを使って、楽天証券で新NISAをはじめてみてはいかがだろうか。
■Profile
北川 和哉
専業ライター。ファイナンシャル・プランニング2級資格を保有。2021年から投資を始め、NISAやiDeCo、小規模企業共済、個別株などに幅広く投資。企業の財務分析が得意で、継続的に配当金を受け取る「自分年金」を作っている。