家電量販店で「けん玉」って売っていたっけ? おもちゃ売り場の隅っこの方ならあるか――。そんな気持ちで訪問したら、想像とはまったく違う「けん玉全面推し」のコーナーに面食らった。日本中の家電量販店を探しても、けん玉の品揃えがこれほど充実したコーナーはないだろう。ビックカメラ柏店の「けん玉コーナー」は、同社の社内表彰制度における優れた売り場を評価する部門で大賞を受賞。しかも、入社2年目の社員が企画・展開したというから驚きだ。
ビックカメラ柏店 販売員の樋山来充さん
ビックカメラ柏店
その中でもひときわ目立つけん玉コーナーは、「技を磨く玩具」を意味する「スキルトイ」コーナーと名付けられている。周辺には同じスキルトイのコマやヨーヨーなども展開している。
けん玉で4スパンもとった「スキルトイ」コーナー
担当するのは、この春で入社4年目になる樋山来充さん。現在はビューティー家電コーナーの担当だが、2年前の23年10月に玩具コーナーの担当になり、スキルトイコーナーを自ら企画してつくった。
なかなか思い切った企画だ。というのも、それまでもけん玉を扱ってはいたものの、7アイテムほどの展示しかなかった。年末年始に向けて新商品が入荷され、そのまま年間を通じて販売している程度で、とても力を入れているとはいえない地味なコーナーだったという。
ベースとなる競技用けん玉
なぜけん玉に目を付けたのだろうか。「柏店は親子連れやご高齢の方など幅広い年齢のお客様が利用します。皆様が楽しめる売り場をつくりたいという思いから、けん玉の品揃えを拡充することを提案しました」と樋山さんは当時を振り返る。
また、「私自身、小学生の頃にけん玉を日本文化的な遊びとして楽しんでいたのと、最近の小学生のお子さまもけん玉に慣れ親しんでいることを知っていたので、『これは受けるんじゃないか』と思いました」と語る。
樋山さんが調べたところでは、日本けん玉協会による大会のほか、けん玉やヨーヨーを専門にしたYouTuberもいて、小学生などはそれを見たりして慣れ親しんでいることを知った。潜在的なニーズがあると踏んで、上司を説得したという。
けん玉を手に取って遊べる
「Play Area」とフロアに記されたスペースは、土、日になると小さな子どもから高校生、大人が来て賑わうという。「技ができたらお菓子を配るといった、ちょっとしたイベントもその場で開催できるほどの賑わいです」と樋山さんは話す。
一言でけん玉といっても、種類は実にさまざま。基本は日本けん玉協会が認定し、技に応じて10~1級までの段を取得できる商品が並ぶ。一方で海外製は検定がないこともあり、技が決まりやすいように玉の塗装が樹脂製で滑りにくくなっていたりする。
海外製けん玉も展示
福祉けん玉は、皿が大きく、文字通り子どもからお年寄りまで楽しめる。全身のバランスを取りながら遊ぶけん玉は、年配の人のリハビリなどにも使われるという。
POPも秀逸だ。初心者にもわかりやすいように、けん玉の持ち方や簡単な技などを紹介。POPを見ながら、その場で試せるように工夫している。商品ごとに、メーカーや協会認定、重さ、素材なども記載していて選びやすい。
初心者にもわかりやすくPOPで説明
樋山さんは「最近のけん玉はとてもカラフルなので、ご自身の好きなデザインから選ばれる方が多いです」と語る。確かに、けん玉にこれほどのバリエーションがあることを記者も初めて知った。
その中の一つに、品揃えや展開面で地域No.1の売り場を体現できているかを評価する「ハンドレッド計画部門」がある。「ハンドレッド計画」とは、売り場を細分化して、販売員一人ひとりが自分の担当エリアを“欲しい”が生まれるような商品提案や、トレンドを捉えた品揃えなど、自ら考えて売り場をつくる、ビックカメラ独自の活動の名称である。
発泡スチロールと段ボールでつくったけん玉の装飾がワクワク感を演出
春・夏・冬の各商戦に各店舗から候補を募って受賞者を決定する。その受賞者の中から、年間を通じた大賞が決まる。
ビックカメラは8月が決算期のため、年間表彰は23年冬商戦(樋山さんはここで受賞)、24年春商戦、24年夏商戦の受賞者の中から、24年11月に樋山さんが年間の大賞に選ばれた。
この春に4年目になる樋山さんは「スキルトイコーナーでの経験を、現在担当するビューティー家電コーナーにも生かしていきたいです」と目を輝かせながら語った。(BCN・細田 立圭志)

地味だったけん玉を、老若男女が楽めるコーナーに
話題の「けん玉コーナー」は、千葉県のJRと東武の柏駅東口を出てすぐ目の前に立地するビックカメラ柏店の7階にある。おもちゃやゲーム、自転車を販売するフロアだ。
その中でもひときわ目立つけん玉コーナーは、「技を磨く玩具」を意味する「スキルトイ」コーナーと名付けられている。周辺には同じスキルトイのコマやヨーヨーなども展開している。

担当するのは、この春で入社4年目になる樋山来充さん。現在はビューティー家電コーナーの担当だが、2年前の23年10月に玩具コーナーの担当になり、スキルトイコーナーを自ら企画してつくった。
なかなか思い切った企画だ。というのも、それまでもけん玉を扱ってはいたものの、7アイテムほどの展示しかなかった。年末年始に向けて新商品が入荷され、そのまま年間を通じて販売している程度で、とても力を入れているとはいえない地味なコーナーだったという。

なぜけん玉に目を付けたのだろうか。「柏店は親子連れやご高齢の方など幅広い年齢のお客様が利用します。皆様が楽しめる売り場をつくりたいという思いから、けん玉の品揃えを拡充することを提案しました」と樋山さんは当時を振り返る。
また、「私自身、小学生の頃にけん玉を日本文化的な遊びとして楽しんでいたのと、最近の小学生のお子さまもけん玉に慣れ親しんでいることを知っていたので、『これは受けるんじゃないか』と思いました」と語る。
樋山さんが調べたところでは、日本けん玉協会による大会のほか、けん玉やヨーヨーを専門にしたYouTuberもいて、小学生などはそれを見たりして慣れ親しんでいることを知った。潜在的なニーズがあると踏んで、上司を説得したという。
初心者にもわかりやすいPOP
スキルトイコーナーのポイントは、とにかく体験できること。展示しているすべての商品を実際に手に取って遊べる。
「Play Area」とフロアに記されたスペースは、土、日になると小さな子どもから高校生、大人が来て賑わうという。「技ができたらお菓子を配るといった、ちょっとしたイベントもその場で開催できるほどの賑わいです」と樋山さんは話す。
一言でけん玉といっても、種類は実にさまざま。基本は日本けん玉協会が認定し、技に応じて10~1級までの段を取得できる商品が並ぶ。一方で海外製は検定がないこともあり、技が決まりやすいように玉の塗装が樹脂製で滑りにくくなっていたりする。

福祉けん玉は、皿が大きく、文字通り子どもからお年寄りまで楽しめる。全身のバランスを取りながら遊ぶけん玉は、年配の人のリハビリなどにも使われるという。
POPも秀逸だ。初心者にもわかりやすいように、けん玉の持ち方や簡単な技などを紹介。POPを見ながら、その場で試せるように工夫している。商品ごとに、メーカーや協会認定、重さ、素材なども記載していて選びやすい。

樋山さんは「最近のけん玉はとてもカラフルなので、ご自身の好きなデザインから選ばれる方が多いです」と語る。確かに、けん玉にこれほどのバリエーションがあることを記者も初めて知った。
「お客様喜ばせ業」を体現した従業員を評価
ビックカメラでは、「お客様喜ばせ大賞」という社内表彰制度を設けている。「“お客様喜ばせ業”をつなぎ、期待を超える」という同社のパーパスに基づき、「お客様喜ばせ業」を体現した従業員を讃える制度だ。その中の一つに、品揃えや展開面で地域No.1の売り場を体現できているかを評価する「ハンドレッド計画部門」がある。「ハンドレッド計画」とは、売り場を細分化して、販売員一人ひとりが自分の担当エリアを“欲しい”が生まれるような商品提案や、トレンドを捉えた品揃えなど、自ら考えて売り場をつくる、ビックカメラ独自の活動の名称である。

春・夏・冬の各商戦に各店舗から候補を募って受賞者を決定する。その受賞者の中から、年間を通じた大賞が決まる。
ビックカメラは8月が決算期のため、年間表彰は23年冬商戦(樋山さんはここで受賞)、24年春商戦、24年夏商戦の受賞者の中から、24年11月に樋山さんが年間の大賞に選ばれた。
この春に4年目になる樋山さんは「スキルトイコーナーでの経験を、現在担当するビューティー家電コーナーにも生かしていきたいです」と目を輝かせながら語った。(BCN・細田 立圭志)