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AHS、サウンド関連ソフト2年連続トップ、ユーティリティソフトで8年連続トップを背景に新たな進化を遂げる

 家電量販店・オンラインショップの実売データを集計した「BCNランキング」をもとに、部門(ジャンル)ごとに年間販売数量累計1位の企業を表彰する「BCN AWARD」は、今年、26回目を迎え、107部門・58社が受賞した。2024年1月1日~12月31日の年間データを集計した「BCN AWARD 2025」の「サウンド関連ソフト」部門では、「Synthesizer V」シリーズを手がけるAHSが2年連続で受賞。さらに、8年連続となる「ユーティリティソフト」部門の受賞と合わせ、ダブル受賞を達成した。

 

音声合成市場が伸長

 矢野経済研究所によると、24年度の音声合成市場は前年比20ポイントを超える成長率が予測されている。AI技術の進化により自然な音声生成が実現しており、顧客サービスや教育分野での利用が拡大している。特に企業のDX推進やクリエイターエコノミーの拡大により、高品質な音声合成へのニーズが急速に高まっている。従来のボーカロイド市場が主にアマチュアクリエイターによって牽引されてきたのに対し、近年では企業の動画制作やゲーム開発、さらには放送・配信コンテンツの制作現場からの需要が拡大。プロフェッショナル市場における音声合成技術の活用が本格化している。

 このような市場の変化を背景に、AIを活用した音声合成技術も急速な進化を遂げている。特に自然な抑揚や感情表現の再現性向上により、従来の機械的な印象が払拭され、人間の歌唱に迫る表現力を実現。市場からの期待も一層高まっている。
 

VOICEPEAKがユーティリティ部門を牽引

 音声合成市場の躍進を支えているユーティリティソフト。AHSはその「BCN AWARD」ユーティリティソフト部門で8年連続トップを獲得している。主力製品の「VOICEPEAK 商用可能6ナレーターセット」は、最新のAI技術を活用し、人間に近い自然な音声を実現。コールセンターや店舗案内、公共機関の読み上げシステム、教育コンテンツなど、幅広い分野での採用が進んでいる。
 
VOICEPEAK 商用可能6ナレーターセット

 また、PowerPointなど既存資料からナレーション入りの動画を作成する「Voice Presenter Pro」は、導入が容易でナレーションの修正も直感的に行える。企業現場で求められる商品紹介動画制作など、短時間での質の高いコンテンツを制作できるとして、企業からの引き合いも増えた。

 放送局や広告業界、教育現場での採用も相次いでおり、クリエイティブなコンテンツ制作の可能性を広げている。
 

Synthesizer V2で実現する次世代の歌声合成

 AHSは、サウンド関連ソフトでシェア40.2%を獲得し、前年から約10ポイント上昇。2年連続でトップシェアを獲得している。特に「Synthesizer V Studio Pro スターターパック」が好調で、高性能なエディターと歌声データベースを手頃な価格で提供する同製品が、シェア拡大の原動力となった。
 

 この実績を背景に、同社は「Synthesizer V」の新バージョン「Synthesizer V2」の発売を予定している。すでに高い評価を得ている人間らしい歌唱表現をさらに向上させ、人の歌声に近い音質や表現力を一段階上へと引き上げるため、数多くの機能を刷新。プロフェッショナルな歌唱表現を実現する次世代エンジンを搭載し、表現力と操作性を大幅に向上させた。
 
「Synthesizer V2」を発売

進化した三つの機能

 Synthesizer V2では、「ボーカルスタイル」機能が進化した。従来のスライダー式からノブ型の操作になり、ピッチ(音の高さ)、声色(声質)、発音(アーティキュレーション)を独立して調整可能となった。例えば、アップテンポな楽曲で声の張りを保ちながら、特定フレーズのピッチを自然に抑えるといった繊細な表現が実現できる。

 「AIリテイク」機能も実用性を重視して刷新された。従来のランダム生成方式から、ユーザーの意図を反映できる選択式に進化。ライブ演奏のような躍動感のある歌唱やスタジオレコーディングのような精緻な表現など、より柔軟に歌唱の方針を選択できる。

 ピッチ編集においても、プロフェッショナルな歌唱表現を支援するAIアシスト機能を実装。編集箇所の前後のピッチを自動分析し、自然な抑揚やビブラートを提案する。新設された「発音タイミング」パネルでは、「さ」行や「ら」行などの子音の強さを0.1秒単位で調整可能。母音と子音のバランスを緻密に制御することで、歌詞の明瞭さと音楽的な表現の両立を実現。このような改良により、プロのミュージシャンが歌っているかのような自然なダイナミクスの再現が可能となった。

 BCN AWARD受賞の喜びの声として、AHSからコメントをいただいた。

 「このたび、BCN AWARDにおいて、サウンド関連部門で2年連続、さらにユーティリティ部門で8年連続という実績を達成できたこと、心より光栄に感じております。まずは、弊社製品をご評価いただいたユーザーの皆様、そして日々支えてくださるパートナー企業の皆様に、深い感謝の意を申し上げます。特に、15年に渡り多数の歌唱音声ソフトを発売して参りましたサウンド部門において、2年連続でトップをいただけたことは、我々にとって大きな喜びであり、さらなる挑戦への大きな励みとなっております。また、ユーティリティ部門での8年連続の受賞は、長年にわたり高い信頼と支持をいただいている証であり、弊社発売製品の技術力と品質の高さを改めて実感する機会となりました。今後は、これまで以上にユーザーの皆様のニーズに寄り添い、最新のAI技術を活用した革新的なプロダクト開発に邁進してまいります。より自然で人間らしい音声合成を実現し、業界全体の発展に貢献できるよう、全社一丸となって努力してまいります」

 Synthesizer Vの新バージョンは、音声合成技術の可能性を広げ、プロフェッショナルな音楽制作の新たなスタンダードを目指す製品だ。今回の刷新は、従来の枠にとらわれない新たな価値を市場に提示するものといえよう。発売前の盛り上がりとともに、プロの作曲家からアマチュアユーザーまで幅広い層での活用が期待される。
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