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東京都企業立地相談センター、「搭乗型ロボット」をプロデュースする起業家へのインタビューを公開

暮らし

2025/02/13 07:00

 東京都企業立地相談センターは2月4日に、ロボットを操る体験をストーリーに仕立てることによって、希少性の高い「エンターテインメント」の領域に特化し成長しつづける、MOVeLOTの代表取締役 CEOである廣井健人氏に行ったインタビューを、同センターのウェブサイトにて公開した。

MOVeLOTの代表取締役 CEOである
廣井健人氏

「自分でロボットに乗って操縦してみたい」という夢を実現する

 MOVeLOTは2023年2月の創業で、「人間がパイロットとして乗り込んで操縦する搭乗型ロボット」が一大ジャンルを築いている日本において、「自分でロボットに乗って操縦してみたい」という夢を現実のものとする空間を提供している。

 廣井氏によれば、搭乗型ロボットをビジネスとしている企業は現在、世界に10社ほど存在しており、うち6社が「人間がパイロットとして乗り込んで操縦する搭乗型ロボット」の発祥地といえる、日本に集中しているという。

 そういった環境にあって、MOVeLOTの強みについて廣井氏は、「ロボットの精度もさることながら、ロボットを操る体験をストーリーに仕立て、希少性の高いエンターテインメントとして、時間と空間をドラマチックに楽しんでいただけること」であると語る。

 同社は現在、「ROBOT BASE-00-」と「パトラボ」という2つの拠点を構えており、「ROBOT BASE-00-」ではVRのシューティングゲームやライド式のロボットゲームを提供している。ゲームの過程であるミッションが発生し、そのミッションをクリアするために搭乗型ロボット「ASTRO」のコクピットに乗り込んで、リアルのガトリング銃で敵を倒すという一連のプロセスが用意される。
 
「ROBOT BASE-00-」施設内の様子
 
搭乗型ロボット「ASTRO」のコクピットに乗り込んで、
ロボット操縦を体験できる


 「ROBOT BASE-00-」のチケットは原則的に海外サイトで扱っており、利用者はほぼインバウンドに限定されている。2023年10月の営業開始で、機体改修やメンテナンスなどもあり実質的な開業日数は半年ほどながら、すでに約30カ国から約600名の外国人観光客が訪れているという。
 
「パトラボ」に設置されている
「イングラム」

 もう1つの拠点である「パトラボ」には、近未来SF・ロボットアニメの名作「機動警察パトレイバー」に登場するレイバー「イングラム」が設置されている。原作を忠実に再現したフォルムもさることながら、パイロットがセンサー付きの特殊なグローブを装着して指や腕を動かすと、イングラムが同じ動作をするため、原作ファンでなくても感動的な体験となる。
 
「パトラボ」内では、「機動警察パトレイバー」に登場する
キャラクターが身につけているシャツなどの販売も行われている

 「パトラボ」の利用者は原則的に日本人限定で、2024年10月に1カ月間行われた試験的な営業では、約900名が来場したという。廣井氏によれば「2024年12月以降、本格的に稼働を開始するのですが、早くも1月までのパイロット体験ができる搭乗プランは完売しています」とのこと。この調子で、体験者数を伸ばしていきたいという。

 廣井氏は、同社が拠点を構える東京都墨田区について、「ロボットをつくるだけなら東京にこだわる必要はないのですが、当社のこだわりである“操縦体験者を増やす”という点では、やはり、お客様となる人の数が圧倒的に多い東京のロケーションは大きな魅力です」とした上で、「なぜ墨田区を選んだのかといえば、それはほぼ偶然でした。東京都内でスタートアップ向けのインキュベーション施設を探していたところ、墨田区横川に、ロボット製作に最適な高い天井高、高い耐荷重の床を備えた作業スペースを備えたベンチャー企業向けのインキュベーション施設『センターオブガレージ』があることを知り、そこに入居できたことが、墨田区で仕事を始める第一歩になったのです」と語っている。

 あわせて、墨田区には浅草寺・東京スカイツリー・秋葉原というインバウンドに大人気の3スポットが近く、インバウンド向けの「ROBOT BASE-00-」にアクセスしやすい点も大きなメリットだという。

 さらに墨田区に拠点を置いたことで、スタートアップとスポンサー企業や地元のものづくり企業との出会いの場である「墨田区産業共創施設SUMIDA INNOVATION CORE(SIC)」と関われたことも、成長の可能性を広げたといい、「ASTRO」の動力を油圧式から電動に換えることで可動性を向上し、トラックに乗せても稼働できるようにする機体改修といった、コラボの可能性が得られた点もメリットとして挙げた。また、墨田区のふるさと納税返礼品として、「イングラム」操縦体験のチケットが提供されているという。

 搭乗型ロボットを操縦する人を1人でも多く増やすべく、いずれは「機動警察パトレイバー」以外のアニメともコラボして新たな搭乗型ロボットを開発したいとのことで、MOVeLOTは2024年2月にシードラウンド累計1.15億円の資金調達を完了しており、夢を叶えるための準備は着々と進んでいる。
 
JR錦糸町駅にほど近い場所にある「パトラボ」の入り口