【家電コンサルのお得な話・235】日銀の「政策金利引き上げ決定」が話題になっている。2024年7月の日銀の利上げに続き、1月24日までの日銀の金融政策決定会合で、再び政策金利を0.25%引き上げ、0.5%程度に設定されたからである。これにより、可処分所得(収入のうち税金や社会保険料などを除いた所得、いわゆる手取り収入)への影響が懸念される。
つまり今年は、2回の利上げを変動型住宅ローン利用者は経験することになる。実際には、利上げのパーセンテージや利上げ時期、利上げ回数(2回の利上げ分を1回にまとめる)など、利用する金融機関や借り入れの時期によってごとに違いがある。借入額・借入期間によっても差があるため、確認しておくことが重要であるが、間違いないのは「金利の引き上げによって住宅ローンの総返済総額が増える」ということである。
通常、日銀の政策金利引き上げは、経済全体の資金調達コストを上昇させることを目的としている。企業や個人が借りる際の利息が高くなれば、新たな投資や消費が抑制され、物価上昇(インフレ)を抑制する効果がある。つまり、「好景気によって消費者の可処分所得が増加し、需要が供給を上回ることで商品やサービスの価格が急上昇する需要主導型インフレが発生する」が、これが異常な過熱をしないように、政策金利の引き上げが行われるのである。
しかし、現在のインフレは、原材料価格やエネルギー価格の上昇による原価高騰型とされている。新聞では「12月のスーパー売上高は3%増」といった報道もされているが、これは原価が上昇している影響であり、販売企業の粗利額は伸び悩んでいる。これはスーパーだけの問題ではなく、多くの業種に当てはまるため、中小企業をはじめとして賃金増加は見込みにくい状況にある。
消費者には可処分所得の減少、コロナ融資の返済が残る中小企業には資金繰りの悪化をもたらす、今のタイミングでの政策金利の引き上げは、さらなる消費者の買い控えと中小企業の倒産増加につながるだろう。日銀や政府には、自国経済の実態を最優先に考慮した政策対応を求めたい。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。
「手取り」アップどころかさらに減少!?
ガソリン代の高騰や、食料品を始めとするあらゆる生活必需品の値上げで家計が厳しさをますなか、政策金利引き上げは、さらなる国民生活への影響が懸念される。例えば、変動型の住宅ローン金利も見直される。政策金利の引き上げと住宅ローン金利の引き上げにはタイムラグが生じるため、昨年7月の政策金利引き上げ分は、2025年1月返済分から反映される金融機関が多く、それがもう一段、引き上がる見通しだ。つまり今年は、2回の利上げを変動型住宅ローン利用者は経験することになる。実際には、利上げのパーセンテージや利上げ時期、利上げ回数(2回の利上げ分を1回にまとめる)など、利用する金融機関や借り入れの時期によってごとに違いがある。借入額・借入期間によっても差があるため、確認しておくことが重要であるが、間違いないのは「金利の引き上げによって住宅ローンの総返済総額が増える」ということである。
通常、日銀の政策金利引き上げは、経済全体の資金調達コストを上昇させることを目的としている。企業や個人が借りる際の利息が高くなれば、新たな投資や消費が抑制され、物価上昇(インフレ)を抑制する効果がある。つまり、「好景気によって消費者の可処分所得が増加し、需要が供給を上回ることで商品やサービスの価格が急上昇する需要主導型インフレが発生する」が、これが異常な過熱をしないように、政策金利の引き上げが行われるのである。
しかし、現在のインフレは、原材料価格やエネルギー価格の上昇による原価高騰型とされている。新聞では「12月のスーパー売上高は3%増」といった報道もされているが、これは原価が上昇している影響であり、販売企業の粗利額は伸び悩んでいる。これはスーパーだけの問題ではなく、多くの業種に当てはまるため、中小企業をはじめとして賃金増加は見込みにくい状況にある。
消費者には可処分所得の減少、コロナ融資の返済が残る中小企業には資金繰りの悪化をもたらす、今のタイミングでの政策金利の引き上げは、さらなる消費者の買い控えと中小企業の倒産増加につながるだろう。日銀や政府には、自国経済の実態を最優先に考慮した政策対応を求めたい。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。