【背景、徳島より42】高知県室戸岬の近く、海辺の小さな集落の中に、かつての小学校を活用した水族館があります。その名も「むろと廃校水族館」。決してアクセスがいいとは言えない立地ながら、年間に10万人近くが訪れる高知でも人気の観光スポットです。懐かしい雰囲気がそのまま残る校舎では、習字や地球儀などと並び、伊勢海老やウミガメ、色とりどりの魚たちがお出迎え。一度訪れたらもう一度行きたくなる水族館の魅力をたっぷりとご紹介します。
水族館があるのは高知県室戸市室戸岬町。高知龍馬空港から車で走ること1時間40分、大海原の絶景が広がるのどかな海沿いのエリアです。
校舎として使われていた建物をそのまま活かした独特の世界観や、ユネスコの世界ジオパークにも選定されている室戸の豊かな海の魅力を伝える水族館は、オープンからすぐに大人気に。
開館初年度の18年は17万人の来場者で賑わいました。コロナ禍で客足が減少した時期もありましたが、現在は年間10万人近くが訪れる高知でも人気の観光スポットとなっています。
初めて訪れた人にとっては「え、ここが水族館!?」と驚いてしまうほど、学校の雰囲気が残っているのが、ここ廃校水族館の人気の理由のひとつ。
入口に書かれた営業時間は「始業:9:00、下校:17:00」となっているし、チケットを買って奥に進むと、当時使われていたであろう人体模型が迎えてくれます。
階段や通路に習字が張り出されていたり、地球儀や跳び箱などが置かれていたり、思わず「懐かしい!」「よく学校で見たよね」といったものばかり。机や椅子、黒板などもそのまま残されています。
魚を見る前から楽しい仕掛けがそこかしこにあり、今でも現役の小学校と見間違うような雰囲気が、おとなも子どももワクワクさせてくれるのです。
一方で、魚の展示もしっかり行われていて、ここにも廃校水族館ならではの魅力がたくさん。例えば、手洗い場を活かした「タッチプール」では伊勢海老や貝、ナマコを観察できます。実際に触れられるのも嬉しいポイントですね。
さらに進むと、奥にはたくさんの水槽が並んだ魚の展示スペースが。館内の生き物の多くは定置網にかかったものを近所の漁師さんから譲り受けたもの。ウツボやフグ、カラフルな魚たちに、ついつい足を止めて見入ってしまいます。
また、展示エリアの中央には大きな円柱の水槽があります。ウミガメやエイがゆったりと泳ぐ姿や、ボラのむれが大きな絵を描くように回遊する様子を間近で観察できちゃいます。
さらに生き物だけでなくシーグラスや海洋ゴミについての展示もあり、死亡した野生のウミガメのお腹から出てきたプラスチックゴミの写真なども掲示されていました。
むろと廃校水族館は、特定非営利活動法人「日本ウミガメ協議会」のメンバーが運営しているため、「海洋環境について考えるきっかけ」を届けてくれる点も特徴のひとつです。
見所がたくさんあるむろと廃校水族館。中でも一番の注目ポイントはプールをそのまま活用した大水槽です。室戸近海で獲れる大型の回遊魚が泳ぐ姿は迫力満点。ここでもウミガメをすぐそばで観察することができます。
日向ぼっこをしたりお昼寝をしたりしている様子はとってもキュート。まさに「ここでしか見られないもの」が目白押しです。
階段の踊り場には多種多様なウミガメの剥製が展示され、廊下には現代では絶対に輸入できなペンギンやアルマジロ、ワニの剥製まで並んでいます。
古くから漁業が盛んな室戸市では遠洋漁業で海外に行く漁師さんも多く、寄港地のお土産として現地の動物の剥製を持って帰ってくることも多かったそう。
展示の説明によると「生体を捕獲して持ち帰ることもありました」とのことで、生きたペンギンを飼っていたり、トラやカンガルーの剥製を持っていたりした家もあるんだとか。
展示の工夫はもちろん、学校という誰もが体験したことのある空間だからこそ生まれる独特の雰囲気や懐かしさが、この水族館の魅力を倍増させていると言えるでしょう。「また来たい!」という声が多いのも納得ですね。
入場料は、大人(高校生以上)が600円、子ども(小・中学生)が300円、未就学児は無料なので、お財布に優しい点もリピーターの多い理由かもしれません。
アクセスは少し不便かもしれませんが、室戸岬観光と併せて訪れることで高知の自然と文化を存分に味わうことができます。多くの人が魅了される理由が実際に行ってみるとよく分かる、そんな特別な水族館です。(フリーライター・甲斐イアン)
■Profile
甲斐イアン
徳島在住のライター、イラストレーター。千葉県出身。オーストラリア、中南米、インド・ネパールなどの旅を経て、2018年に四国の小さな港町へ移住。地域活性化支援企業にて、行政と協力した地方創生プロジェクトの広報PR業務に従事。21年よりフリーランスとなり、全国各地の素敵なヒト・モノ・コトを取材しています。
「むろと廃校水族館」とは?
「むろと廃校水族館」は、2006年に閉校した旧室戸市立椎名小学校を改装してつくられた水族館です。地域活性化を目的とした廃校活用プロジェクトとして始まり、18年4月にオープン。地元の海の生態系を身近に感じられる施設として生まれ変わりました。水族館があるのは高知県室戸市室戸岬町。高知龍馬空港から車で走ること1時間40分、大海原の絶景が広がるのどかな海沿いのエリアです。
校舎として使われていた建物をそのまま活かした独特の世界観や、ユネスコの世界ジオパークにも選定されている室戸の豊かな海の魅力を伝える水族館は、オープンからすぐに大人気に。
開館初年度の18年は17万人の来場者で賑わいました。コロナ禍で客足が減少した時期もありましたが、現在は年間10万人近くが訪れる高知でも人気の観光スポットとなっています。
館内はまさに学校!散策するのが楽しい
初めて訪れた人にとっては「え、ここが水族館!?」と驚いてしまうほど、学校の雰囲気が残っているのが、ここ廃校水族館の人気の理由のひとつ。
入口に書かれた営業時間は「始業:9:00、下校:17:00」となっているし、チケットを買って奥に進むと、当時使われていたであろう人体模型が迎えてくれます。
階段や通路に習字が張り出されていたり、地球儀や跳び箱などが置かれていたり、思わず「懐かしい!」「よく学校で見たよね」といったものばかり。机や椅子、黒板などもそのまま残されています。
魚を見る前から楽しい仕掛けがそこかしこにあり、今でも現役の小学校と見間違うような雰囲気が、おとなも子どももワクワクさせてくれるのです。
展示されているのは地元の魚たち
一方で、魚の展示もしっかり行われていて、ここにも廃校水族館ならではの魅力がたくさん。例えば、手洗い場を活かした「タッチプール」では伊勢海老や貝、ナマコを観察できます。実際に触れられるのも嬉しいポイントですね。
さらに進むと、奥にはたくさんの水槽が並んだ魚の展示スペースが。館内の生き物の多くは定置網にかかったものを近所の漁師さんから譲り受けたもの。ウツボやフグ、カラフルな魚たちに、ついつい足を止めて見入ってしまいます。
また、展示エリアの中央には大きな円柱の水槽があります。ウミガメやエイがゆったりと泳ぐ姿や、ボラのむれが大きな絵を描くように回遊する様子を間近で観察できちゃいます。
さらに生き物だけでなくシーグラスや海洋ゴミについての展示もあり、死亡した野生のウミガメのお腹から出てきたプラスチックゴミの写真なども掲示されていました。
むろと廃校水族館は、特定非営利活動法人「日本ウミガメ協議会」のメンバーが運営しているため、「海洋環境について考えるきっかけ」を届けてくれる点も特徴のひとつです。
見所がたくさんあるむろと廃校水族館。中でも一番の注目ポイントはプールをそのまま活用した大水槽です。室戸近海で獲れる大型の回遊魚が泳ぐ姿は迫力満点。ここでもウミガメをすぐそばで観察することができます。
日向ぼっこをしたりお昼寝をしたりしている様子はとってもキュート。まさに「ここでしか見られないもの」が目白押しです。
海のまちの文化も感じられるのも魅力
「むろと廃校水族館ならではの楽しみ」は他にもまだまだたくさんありますよ。骸骨が案内してくれた標本室には、大きな鯨の骨格やウミガメの頭蓋骨などがずらり。階段の踊り場には多種多様なウミガメの剥製が展示され、廊下には現代では絶対に輸入できなペンギンやアルマジロ、ワニの剥製まで並んでいます。
古くから漁業が盛んな室戸市では遠洋漁業で海外に行く漁師さんも多く、寄港地のお土産として現地の動物の剥製を持って帰ってくることも多かったそう。
展示の説明によると「生体を捕獲して持ち帰ることもありました」とのことで、生きたペンギンを飼っていたり、トラやカンガルーの剥製を持っていたりした家もあるんだとか。
高知に来たなら絶対訪れてほしい
むろと廃校水族館は単なる水族館としてだけでなく、地域の歴史や思い出が詰まった特別な空間です。展示の工夫はもちろん、学校という誰もが体験したことのある空間だからこそ生まれる独特の雰囲気や懐かしさが、この水族館の魅力を倍増させていると言えるでしょう。「また来たい!」という声が多いのも納得ですね。
入場料は、大人(高校生以上)が600円、子ども(小・中学生)が300円、未就学児は無料なので、お財布に優しい点もリピーターの多い理由かもしれません。
アクセスは少し不便かもしれませんが、室戸岬観光と併せて訪れることで高知の自然と文化を存分に味わうことができます。多くの人が魅了される理由が実際に行ってみるとよく分かる、そんな特別な水族館です。(フリーライター・甲斐イアン)
■Profile
甲斐イアン
徳島在住のライター、イラストレーター。千葉県出身。オーストラリア、中南米、インド・ネパールなどの旅を経て、2018年に四国の小さな港町へ移住。地域活性化支援企業にて、行政と協力した地方創生プロジェクトの広報PR業務に従事。21年よりフリーランスとなり、全国各地の素敵なヒト・モノ・コトを取材しています。