今年12月2日から従来の健康保険証の新規発行が終了し、全面的にマイナンバーカードを保険証として利用する方式(以下「マイナ保険証」)に切り替わる。今回は「マイナ保険証」の賛否ではなく、実際に自身で使ってみて気になった「マイナ保険証」の利用上の注意点を挙げていこう。
また、小学生の子どもの受診時は、紙の小児医療証を受付で提示すると医療費の自己負担が0円になることから、受付で健康保険証、マイナンバーカード、どちらでも構わないと言われた。一方、全員マイナ保険証を利用してほしい旨を掲出している歯科で、読み取り用のカードリーダに本人の背が届かないためマイナンバーカードと4桁の暗証番号で認証しようとしたところ、好奇心旺盛な子どもが「顔認証」をやりたがってしまい、受付スタッフに踏み台を出してもらってようやく認証できたという軽微なトラブルもあった。
「24年12月に健康保険証を原則廃止」という方針が打ち出されて以降、SNSやインターネット掲示板などでは反対する声は多いが、マイナ保険証の場合、自身でカードリーダにマイナンバーカードをセットして認証するため、受付で健康保険証を手渡しする従来のフローに比べ、むしろセキュリティは高いといえる。
実際に何度か利用してみて、マイナ保険証の最大の問題点は、子どもや背の低い大人、逆に背の高い大人が受付カウンターに設置されたカードリーダで顔認証しにくい点だと思った。とはいえ、カウンター周辺の設計を抜本的に見直さない限り解決は難しいと考えられ、無理に顔認証を利用しようとせず、医療機関に求められない限り、4桁の暗証番号で認証したほうが無難だと思う。
誤解している人も多いようだが、12月2日以降も手元にある健康保険証は最長1年間有効だ(75歳以上の被保険者に対して市町村が発行する後期高齢者医療被保険者証は年1回更新のため、25年7月末まで)。あくまで新規発行の中止であり、とりあえず今冬から1年間の移行期間が始まると思えばいい。
マイナンバーカードは有効期限があり、発行時に18歳未満だった人は本人の5回目の誕生日、18歳以上の大人は発行日から10回目の本人の誕生日までに更新申請を行う必要がある。用語としては「更新」だが、運転免許証同様、カードに貼付する顔写真を撮り直し、新しいマイナンバーカードを市役所などに取りに行く必要があるので、手続き上の負担は新規発行とほぼ変わらない。
24年11月現在、マイナンバーカードの発行は一括して行うため、更新であってもおおむね1~2カ月かかるという(発行にかかる時間は時期や自治体によって異なる)。マイナ保険証への切り替えにあわせ、今年12月2日以降、「満1歳未満の乳児」や「国外からの転入者」「紛失・破損」「盗難」など所定の条件を満たす場合に、申請から発行・受け取りまで原則1週間程度で完了する「特急発行・交付制度」を開始する予定だが、「即日発行」は今後も非対応なので、有効期限到達による更新のお知らせ(交付通知書)がポストに届いたら早めに更新申請を行い、余裕をもって新しいマイナンバーカードを作ったほうが安心だ。
マイナンバーカードの更新の手続きは、有効期限の3カ月前の翌日から可能。子どもの誕生日の2週間前にようやく更新の申請を行い、有効期限である誕生日までに新しいマイナンバーカードを入手できなかった記者の経験から、マイナンバーカードは極力早めに手続きすることをおすすめしたい。これまで身分証明書・本人確認書類の代表例だった運転免許証同様、これからは健康保険証も更新必須と覚えておくとよいだろう。
この2回目以降のマイナンバーカードの更新の負担こそ、マイナ保険証の最大のデメリットではないだろうか。また、更新したマイナンバーカードの受け取り時に、本人確認書類としてその時点で有効なマイナンバーカードが必要であり、マイナンバーカードの有効期限が切れている場合は別途、本人確認書類1点または2点が必要となるので、負担を減らすためにも有効期限が切れる前に更新の申請を行い、新しいマイナンバーカード(マイナ保険証)を受け取ろう。
ちなみに電子証明書(4桁の暗証番号など)の有効期限は5年で、マイナンバーカード本体の更新サイクルとは異なる。電子証明書とマイナンバーカードの有効期限を一致させるか、電子証明書の更新手続きのみの場合はオンラインで完結するように変更するか、利便性向上のため今後の改善を期待したい。(BCN・嵯峨野 芙美)
「マイナ保険証」の顔認証の精度が悪い
「マイナ保険証」と呼ばれる、ICチップを搭載する顔写真付きカードであるマイナンバーカードを保険証として利用する仕組みは、すでに2021年10月21日から始まっている。記者自身は歯科、眼科、内科、薬局などで利用経験があるが、顔認証を利用しようとしたところ、本人にも関わらず認証されず、代わりに4桁の暗証番号を入力して認証する機会が何度かあった。また、小学生の子どもの受診時は、紙の小児医療証を受付で提示すると医療費の自己負担が0円になることから、受付で健康保険証、マイナンバーカード、どちらでも構わないと言われた。一方、全員マイナ保険証を利用してほしい旨を掲出している歯科で、読み取り用のカードリーダに本人の背が届かないためマイナンバーカードと4桁の暗証番号で認証しようとしたところ、好奇心旺盛な子どもが「顔認証」をやりたがってしまい、受付スタッフに踏み台を出してもらってようやく認証できたという軽微なトラブルもあった。
「24年12月に健康保険証を原則廃止」という方針が打ち出されて以降、SNSやインターネット掲示板などでは反対する声は多いが、マイナ保険証の場合、自身でカードリーダにマイナンバーカードをセットして認証するため、受付で健康保険証を手渡しする従来のフローに比べ、むしろセキュリティは高いといえる。
実際に何度か利用してみて、マイナ保険証の最大の問題点は、子どもや背の低い大人、逆に背の高い大人が受付カウンターに設置されたカードリーダで顔認証しにくい点だと思った。とはいえ、カウンター周辺の設計を抜本的に見直さない限り解決は難しいと考えられ、無理に顔認証を利用しようとせず、医療機関に求められない限り、4桁の暗証番号で認証したほうが無難だと思う。
誤解している人も多いようだが、12月2日以降も手元にある健康保険証は最長1年間有効だ(75歳以上の被保険者に対して市町村が発行する後期高齢者医療被保険者証は年1回更新のため、25年7月末まで)。あくまで新規発行の中止であり、とりあえず今冬から1年間の移行期間が始まると思えばいい。
マイナンバーカードは有効期限があり、発行時に18歳未満だった人は本人の5回目の誕生日、18歳以上の大人は発行日から10回目の本人の誕生日までに更新申請を行う必要がある。用語としては「更新」だが、運転免許証同様、カードに貼付する顔写真を撮り直し、新しいマイナンバーカードを市役所などに取りに行く必要があるので、手続き上の負担は新規発行とほぼ変わらない。
24年11月現在、マイナンバーカードの発行は一括して行うため、更新であってもおおむね1~2カ月かかるという(発行にかかる時間は時期や自治体によって異なる)。マイナ保険証への切り替えにあわせ、今年12月2日以降、「満1歳未満の乳児」や「国外からの転入者」「紛失・破損」「盗難」など所定の条件を満たす場合に、申請から発行・受け取りまで原則1週間程度で完了する「特急発行・交付制度」を開始する予定だが、「即日発行」は今後も非対応なので、有効期限到達による更新のお知らせ(交付通知書)がポストに届いたら早めに更新申請を行い、余裕をもって新しいマイナンバーカードを作ったほうが安心だ。
マイナンバーカードの更新の手続きは、有効期限の3カ月前の翌日から可能。子どもの誕生日の2週間前にようやく更新の申請を行い、有効期限である誕生日までに新しいマイナンバーカードを入手できなかった記者の経験から、マイナンバーカードは極力早めに手続きすることをおすすめしたい。これまで身分証明書・本人確認書類の代表例だった運転免許証同様、これからは健康保険証も更新必須と覚えておくとよいだろう。
この2回目以降のマイナンバーカードの更新の負担こそ、マイナ保険証の最大のデメリットではないだろうか。また、更新したマイナンバーカードの受け取り時に、本人確認書類としてその時点で有効なマイナンバーカードが必要であり、マイナンバーカードの有効期限が切れている場合は別途、本人確認書類1点または2点が必要となるので、負担を減らすためにも有効期限が切れる前に更新の申請を行い、新しいマイナンバーカード(マイナ保険証)を受け取ろう。
ちなみに電子証明書(4桁の暗証番号など)の有効期限は5年で、マイナンバーカード本体の更新サイクルとは異なる。電子証明書とマイナンバーカードの有効期限を一致させるか、電子証明書の更新手続きのみの場合はオンラインで完結するように変更するか、利便性向上のため今後の改善を期待したい。(BCN・嵯峨野 芙美)