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お店にとって大切なのは「接客」それとも「料理」? 取捨選択も必要

暮らし

2024/10/27 18:00

【外食業界のリアル・14】「素晴らしい接客だけど、料理が美味しくないお店」と「接客は最悪だけど、料理が美味しいお店」どちらを選びますか?と聞くといろいろな意見があがってくる。個人の嗜好やお店を利用する目的にもよるし、その時々によっても変わってくる。一方、飲食店側も人手不足の中で運営していくとなると、何から何まで100%満たせるわけではないので取捨選択も必要になってくるのが実情だ。今回は「接客」と「料理」、どちらが大切なのか、について語りたいと思う。

 

「接客」と「料理」どちらを選ぶか?

 前述の「接客と料理のどちらを選ぶのか?」という質問をSNS上で投げかけて意見を聞かせてもらったことがあるが、その意見はさまざま。自分1人であれば接客よりも料理が重要だという人もいれば、料理が圧倒的においしいのであれば接客は我慢できるといった人もいた。誰かと一緒に行くのであれば、連れに不愉快な思いをさせたくはないので接客を重視するという声もある。

 また、接客の悪さがどこまでなのか次第という意見もあり、単に対応が悪いだけであればいいが、接客・調理中にスタッフが喫煙していたり、店が不衛生だったり、といった場合は行きたくないとのことだった。何を重視するのかは個人の嗜好や店の利用目的、シチュエーションに応じて大きく変わってくるという結果であった。

 さらに、回答者に中には飲食店側もいたのだが、料理の味を変えることよりも接客(≒スタッフの性格)を変える方が難しい。なので、接客が重要といった話があったのは印象深かった。
 

お店の満足度は集客に大きく影響してしまう

 今の時代、ユーザーが店を選ぶ際にグルメサイトやGoogleなどの口コミや点数をチェックするのが当たり前の工程となっている。一部のグルメサイトで点数評価を売りにしていることもあって、高得点の飲食店の中から選ぶ人も多く、得点順に予約がされている傾向がある。

 一方、Googleのレビューは店選びの起点になるというよりも、ユーザーが行こうと思っている店が本当に大丈夫かを確認するという観点で点数や口コミが見られるケースが多い。そのため、点数が低かったり、良くない口コミが多かったりすると「予約をやめる」と結果になってしまうことも少なくない。

 もちろん飲食店自体は普段、良い運営をしているのだが、何かのミスで嫌な体験をさせてしまうこともあったり、競合店舗の嫌がらせなどで悪いレビューを書き込まれたりすることもある。ユーザーもそのあたりは学習しており、一件だけのもので判断するのではなく、書き込み件数や複数人のコメントを見ていくことで点数や口コミの信ぴょう性もあわせて確認するのが普通の工程ともなっている。

 先日、口コミの点数が高いことを売りにしている飲食店に行ってみた。雑居ビルに入っている、ごく普通の感じの店でメニューや内装は普通であった。が、接客の質は非常に高かったと思う。言葉遣いが丁寧というよりも店の空間を楽しんでもらうための演出を含めた接客が良かった。スタッフが来店客に楽しんでもらうということを徹底している。その結果、「接客が良い」とつながっていると感じた。

 一般的に値段が高い飲食店ほど求められる接客と料理のレベルが高くなってくる。全てのユーザーが絶対評価を持って同じ基準で評価をしていくわけではなく、あくまで主観的で相対的な評価とならざるを得ない。支払っている金額に対して接客や料理がどうだったのかを見ているに過ぎないのである。

 飲食店の口コミを見ていくと、料理よりも接客に対する不満が多い。あくまで店での体験を通しての評価となるので、料理は普通でも低い点数を付けられることは少ない。やはり、接客で嫌な思いをした人が書き込む傾向が圧倒的に強い。口コミの特性上、ポジティブなことよりもネガティブな方が書き込みをするというモチベーションになりやすい。そのため、接客が悪いと飲食店の評価は低くなりやすいといえる。
 

終わりに

 外食業界に携わる身としては、多くの人に飲食店へ足を運んでほしいと望んでいる。仮に、ある店で嫌な体験をしたことがあり、もうその店には行きたくないと思うこともあるだろう。だが、時間をおいてから、是非もう一度行ってみてほしい。なぜなら飲食店側も口コミや点数を意識して、料理や接客に対して改善を繰り返しているからである。その改善によって、次に訪れたときは印象が変わることも少なくない、もしかしたらその店が好きに変わるかもしれない。楽観的な空想家のように映るかもしれないが、自分自身はそうなって欲しいと願っているし、そのように信じている。(イデア・レコード・左川裕規)