【拝啓、徳島より36】日本全国には地域ごとに独特なお国言葉があり、その豊かな表現力に驚かされることもしばしば。ここ徳島にも「阿波弁」と呼ばれる方言があり、言葉遊びのような面白さや、耳に残るリズムが魅力的です。移住してからさまざまな阿波弁に出会ってきましたが、その中でも特に印象深い阿波弁をご紹介していきます。
レベル2「たりっちぇる」:数メートルの高さから落ちた時
レベル3:「うんどっちぇる」:あ、これはもう助からないな・・・と一見してわかる程度に落ちた時
「ちえる→たりっちぇる→うんどっちぇる」と、活用が進むにつれてもはや日本語とは思えない。まるでイタリア語やスペイン語のようなラテンの雰囲気さえ漂います。ユーモラスな響きに思わず笑ってしまいますよね。
「いつか使ってみたい!」と思っていましたが、移住してから早6年経つものの、まだ「ちえる」以降の活用系を実際に使ったことはありません。
地元の方に「たりっちぇる」や「うんどっちぇる」を使った経験があるのか聞いてみたところ、「昔、崖から車が落ちるのを見たことがあるけど、あれはきっと“たりっちぇる”やったな・・・」とのこと。
どうやら「うんどっちぇる」を実際に使うには、かなりハードルが高そうです。
移住してすぐの頃、ドライブ中に友人から「トイレ、いける?」と聞かれたとき。私は、トイレ休憩に行けるか、つまり「いくことができるか?=行ってもいい?」と聞かれていると思い、(私も行きたいよ!)の意味で「いけるよ!」と答えたら、次の休憩スポットまで我慢する羽目に…。
「トイレ、いける?」「いける!」は「トイレ行かなくて大丈夫?」「うん、行かなくて大丈夫!」の意味だったんですね。阿波弁初心者には理解が難しい会話でした。
■Profile
甲斐イアン
徳島在住のライター、イラストレーター。千葉県出身。オーストラリア、中南米、インド・ネパールなどの旅を経て、2018年に四国の小さな港町へ移住。地域活性化支援企業にて、行政と協力した地方創生プロジェクトの広報PR業務に従事。21年よりフリーランスとなり、全国各地の素敵なヒト・モノ・コトを取材しています。
もはや外国語? 三段活用する阿波弁「ちえる」
移住してすぐに、地元のおっちゃんたちに教えてもらった言葉が「ちえる」。「こける、つまづく、落ちる」といった意味で使うのですが、こけたレベルによって、なんと活用系があるんです。ちえる三段活用
レベル1「ちえる」:道を歩いていて、段差で軽くつまづいた時レベル2「たりっちぇる」:数メートルの高さから落ちた時
レベル3:「うんどっちぇる」:あ、これはもう助からないな・・・と一見してわかる程度に落ちた時
「ちえる→たりっちぇる→うんどっちぇる」と、活用が進むにつれてもはや日本語とは思えない。まるでイタリア語やスペイン語のようなラテンの雰囲気さえ漂います。ユーモラスな響きに思わず笑ってしまいますよね。
「いつか使ってみたい!」と思っていましたが、移住してから早6年経つものの、まだ「ちえる」以降の活用系を実際に使ったことはありません。
地元の方に「たりっちぇる」や「うんどっちぇる」を使った経験があるのか聞いてみたところ、「昔、崖から車が落ちるのを見たことがあるけど、あれはきっと“たりっちぇる”やったな・・・」とのこと。
どうやら「うんどっちぇる」を実際に使うには、かなりハードルが高そうです。
奥が深い!印象的な阿波弁たち
語尾が特徴的だったり、響きがかわいらしかったりするものが多い阿波弁。「ちえる」以外にも、印象深い言葉がたくさんあります。使いやすさNo.1「ほなけん」
「だからね」「つまりね」という意味で使う「ほなけん」。最初に使い慣れた阿波弁です。会話に取り入れると「お、徳島に染まってきたね!」と地元の人に褒めてもらえたりもします。あまりエセ感がないので移住者でも使いやすいのがポイントです。便利な言葉「いける」の落とし穴
徳島では「大丈夫」「問題ない」と言った意味で使われる「いける」。「ほなけん」と同様に、移住者でもすぐに使える言葉のひとつですが、使い慣れるまでには若干の時間が必要でした。移住してすぐの頃、ドライブ中に友人から「トイレ、いける?」と聞かれたとき。私は、トイレ休憩に行けるか、つまり「いくことができるか?=行ってもいい?」と聞かれていると思い、(私も行きたいよ!)の意味で「いけるよ!」と答えたら、次の休憩スポットまで我慢する羽目に…。
「トイレ、いける?」「いける!」は「トイレ行かなくて大丈夫?」「うん、行かなくて大丈夫!」の意味だったんですね。阿波弁初心者には理解が難しい会話でした。
いつか使いたい阿波弁
まだ実際に使ったことはまだないけれど、いつか使ってみたいと思う阿波弁もたくさんあります。「あるでないで」
思わず、え、どっち!?と突っ込みたくなる言葉「あるでないで」。「あるでしょ」「あるじゃないか」の意味で、徳島では世代に関係なく広く使われています。関東出身からすると、その微妙な発音が難しく、使うにはまだまだハードルが高い言葉です。「あばばい」
眩しい時に使う言葉。「今日はいい天気だし、太陽があばばいな」のような感じ。言葉の響きになんだか愛嬌があって好きなのですが、なんとなく気恥ずかしくて使えていません。「いんぐりちんぐり」
「うんどっちぇる」と同様に日本語っぽさがないこの言葉。「ふぞろいな、でこぼこな、ちぐはぐな」といった意味で使われます。使用例としては「今日の服装、いんぐりちんぐりやな」「こっちとこっちの大きさ、いんぐりちんぐりやん」などでしょうか。正直私もあまり聞いたことない言葉ではありますが、いつかさらっと使ってみたいなと思います。「どちらいか」
「どういたしまして」の意味で使われる言葉。とってもポピュラーな阿波弁です。最初に聞いたときは「え、いか!?」とびっくりしましたが、物腰の柔らかいおばあさんがゆっくりと「どちらいか」と言っている姿はとてもかわいく、憧れのワードになりました。いつか使ってみたいと思うのですが、これも使いこなすのにまだ勇気がいりますね。阿波弁マスターを目指して
阿波弁の魅力は、その語感の面白さや、地域に根ざした独特の言い回しにあります。ことばのおもしろさもさることながら、移住者にとっては地域に馴染むための貴重なツールでもあるなぁと感じます。まだまだ私自身、使いこなせていない言葉も多いですが、阿波弁を使いこなせる日を夢に見つつ、これからもこの地に根ざした言葉を学んでいきたいですね。(フリーライター・甲斐イアン)■Profile
甲斐イアン
徳島在住のライター、イラストレーター。千葉県出身。オーストラリア、中南米、インド・ネパールなどの旅を経て、2018年に四国の小さな港町へ移住。地域活性化支援企業にて、行政と協力した地方創生プロジェクトの広報PR業務に従事。21年よりフリーランスとなり、全国各地の素敵なヒト・モノ・コトを取材しています。