• ホーム
  • トレンド
  • 長野・佐久市中込の老舗「やきとり 紀美」、絶品のニンニクダレ焼き鳥

長野・佐久市中込の老舗「やきとり 紀美」、絶品のニンニクダレ焼き鳥

暮らし

2024/10/01 16:00

【酒場レコード・3】東京駅から北陸新幹線で76分の長野県佐久平駅へ。そこからJR小海線に乗り換え10分、佐久市中心部の中込駅に到着。今回の酒場、「やきとり 紀美(きみ)」は駅から歩いて1分のところにある。

入店前から匂いがおいしい

飲食店が軒を連ねる中込の町

 中込は筆者が生まれ育った町であり、当社が製造・販売している日本酒器「hiyakan PRO」の組み立て工場があるため、定期的に訪れている。ここは大正から続く商業の町で、多くの飲食店が軒を連ねる。2026年には地元出身の映画監督である新海誠氏を中心に、新たな映画館が設立されるそうだ。さらなる発展前夜の町、中込でも老舗の焼き鳥屋、「やきとり 紀美(きみ)」で絶品のニンニクダレ焼き鳥を楽しむ。
 

18時で賑やかな店内

 やきとり 紀美には、開店から1時間経った18時に入店。座席数はカウンター8席、小上がりテーブル12席。串打ち、焼き場から接客まで全て女将さんが1人でこなす。混み合ってくるとお孫さんのサポートが入るので給仕が滞ることは少ない。

 店に入ると先客が7人、すでにほろ酔いのご様子。早い時間に来店する客の多くは、中込の飲み屋街に繰り出す前の景気付けとして、ひととき焼き鳥を楽しむのだ。
 
賑わう店内で一瞬人波が途切れた時を狙って撮影

焼き鳥を中心とした潔いメニュー

 メニューは壁に掲示されているが、ほとんどの客がメニューを見ずに焼き鳥を注文する。名物の「レバー」は巨大な肉塊で呈される売り切れ必至の人気メニューだ。焼き鳥に混じって「じばち=蜂の子」が掲げられているあたりが信州の飲み屋であることを物語る。
 
3本500円の手羽先も旨い

駆けつけは「ハイボール」と「長芋千切り」

 酔いを求めて「ハイボール」。立て続けに2~3杯飲むと緊張がほぐれ、酔いがまわり、時にクラクラする。焼き鳥を頼む前につまむのが、卵黄がのった「長芋千切り」。醤油をひと回しして卵黄を溶きながら食べる。長芋の繊細な味が卵黄によって増幅され、旨みが増す。精もつくし酒も進む、良いつまみ。
 
長芋千切り(400円)とハイボール(550円)
 
卵黄を溶きながらいただく

紀美の焼き鳥は女将さんが串打ちして焼き上げる

 カウンターに座れたので、串打ち中の女将さんとの会話を楽しむ。鶏肉の仕入れ価格がずいぶん上昇していること、それでも国産鶏にこだわっていること、女将さんもお酒が大好きだということ、客を大切にしていること。笑顔で話してくれている最中も手際よく串打ちが進む。
 
ていねいに串うちする女将さん

 串打ちした焼き鳥は大きめの焼き台で焼き上げる。店内は混み合っている上、お土産注文も多く、大量の焼き鳥をリズミカルにさばく姿に惚れぼれ。うちの祖母も使っていたぶっとい菜箸がノスタルジア。
 
焼き上げる量で紀美の人気がわかる

 紀美の焼き鳥の味付けは塩かタレを選ぶことができるが、ほとんどの客は「タレ」を選ぶ。醤油をベースに甘さを抑え、強めにニンニクが香るタレが紀美の特徴。このニンニクダレで焼いた焼き鳥が食べたくて通うのだ。
 
紀美の至宝、ニンニクダレ

いよいよ焼き鳥を食す

 焼き鳥は、始めに食べたい串をまとめて注文すると皿盛りにして出される。これにより、サクッと飲んで気持ちよく帰ることができる。焼き上がりを見ると、部位によって焼き加減を変えているのが分かる。かしらとタンは軽く焦げ目がつくまで焼かれ、こにく(せせり)とねぎまは焦がさないように焼かれている。大きな焼き台で、このテクをサラッとやってのける女将さんに感服。
 
焼き鳥は皿盛りで提供される

 朝仕入れたばかりの肉はジューシーで柔らかい。カラメのニンニクダレが鶏の旨味と甘みを引き立てる。何よりニンニクの香りがたまらなくヤミツキになるのだ。ハイボールをお代わりしながら熱いうちに夢中で食べる。
 
こにく(せせり)(140円)
 
ねぎま(140円)
 
かしら(140円)
 
タン(140円)

 今回は売り切れで食べることができなかった「レバー」は前回訪問時の写真。角が立った美しき姿。
 
レバー(140円)

風情ある店内

 
店内からまだ明るい外を眺める

 焼き鳥を食べ尽くしたところで少し店内を眺める。解放された窓から信州の風が吹き抜ける。湿度が低いので風が心地よい。加えて店内は常時複数の扇風機が回っているから不快感はない。

 客の流れが一瞬途切れたので少しだけ店内を見学。目を凝らすと素敵なものばかり。時間の経過、店の賑わい、ご家族の成長、いろんな歴史を感じてしまう。
 
巨匠ちばてつや先生を彷彿とさせる絵画
 
箸立てに貼られた1983年製スーパーまじゃりんこシール

 少人数での来店に特化した店だからこそ、温かい「もてなし」を受けることができる。鮮度の高い焼き鳥と中毒性の高いニンニクだれは記憶に残り、また来店せずにはいられない。さて、酔いの下地が整ったので中込の飲屋街へ羽ばたく時間だ。やきとり 紀美さん、おいしい焼き鳥をありがとうございました。また寄ります。
 

今回の酒場:やきとり 紀美

 やきとり 紀美は、JR小海線、中込駅から徒歩1分。ニンニクだれの焼き鳥は絶品。事前に電話予約することで指定時間に焼き上げてくれる持ち帰りも人気。女将さんがおひとりで切り盛りされているので、優しい心を持って楽しみたい店。(ナードワード社・國安淳史)
 
やきとり 紀美

『やきとり 紀美』
住所:長野県佐久市中込1-21-5
電話:0267-62-5864
営業時間:17:00~21:00
定休日:日曜
※最新の営業時間・定休日は店舗へご確認ください

■Profile
國安淳史
ナードワード社 代表取締役。外資系IT企業などを経て2018年にWeb・Shopify・各種デザイン制作、商品企画などを提供するナードワード社を設立。KISOと共創した「日本酒器 hiyakan PRO」はECサイトや百貨店等で販売中。趣味は音楽、読書、飲酒。