【社会人のためのTOEIC Program・3】この連載は、「社会人のためのTOEIC Program」と題して、社会人が英語を学ぶ目的、英語を学ぶ際のコツや注意点、企業における英語研修などについて解説しています。第3回目のテーマは、「キャリアアップに使えるTOEIC Testsのスコアとは?」です。実際にTOEIC Testsを受験したとして、いったい何点から履歴書に書けるのか、どのくらいの点数なら採用時に有利に働くのか、逆にマイナスに働く点数はあるのか。このようなキャリアアップを考える際に気になる項目について、日本でTOEIC Programを実施・運営するIIBCが保有するデータや調査結果からお伝えします。
2022年の調査では、「『履歴書・職務経歴書・社内のプロフィール等に記載してもいい』と思う『TOEIC L&R』のスコア」を求職者に聞いたところ、「700点以上」と答えた人が最多となりました。一方で、採用を担当する人事側に「実際に評価するスコア」を尋ねたところ、中央値は「600点以上」となり、応募する側と評価する側で100点ほどの開きがありました。つまり、企業では高得点獲得者への評価はもちろんのことですが、中級者~上級者に入り始めたくらいのスコアからでも評価されているともいえる結果となったのです。
実際に英語を実務で必要としている企業の人事担当者は、「(もちろんスコアが高いことは評価するものの)たとえスコアが高くなくても、自分の現在の英語力を把握した上で、目標を決めて学習を行い、どういう成長をしていきたいという意識があれば一定の評価をすることもあります」と話していました。
実際、調査でも「人事担当者が最も評価したいもの」を聞いたところ、「『TOEIC L&R』において高いスコア(8割以上)を取得している」が27%だったのに対して、「『TOEIC L&R』『TOEIC S&W』の両方で平均以上(6割~7割)のスコアを取得している」が45%と、4技能全体でスコアを持っていることが評価されるという結果も見られました。TOEIC S&Wはそれぞれ0~200点となっています。TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2024からTOEIC S&W公開テスト受験者の平均スコアがSpeaking約130点、Writing約140点のため、まずはこの辺りを目指すと良いと思います。
特にキャリアアップを意識した場合には、日常やビジネスで使うことを想定して勉強する必要があります。TOEIC Testsの問題は、日常やビジネスでよくあるシーンから作成されているため、TOEIC Testsの題材を徹底的に活用して学習することが効果的です。その際、ただ解けばいいというよりは、リスニングの問題をシャドウイングしてみたり、リーディングの問題をディクテーションしてみたりして、反復練習を重ねることで、自然と使える英語力が身に付いていくでしょう。
また、TOEIC Testsは合否ではなくスコアで評価が出るということもポイントの一つです。常に最新の英語力の状況が数値として把握できるので、これまでと比べてどれくらい上がったのか下がったのかが一目瞭然で、現在のキャリアにも今後のキャリアステップにも生かしやすいといえます。(国際ビジネスコミュニケーション協会・髙津 誠)
■Profile
髙津 誠
大手旅行代理店勤務を経て、日本企業の国際化に貢献するために国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)に入団。法人営業、プロモーション責任者を歴任後、2024年度からTOEIC Program公開テストに関するプロモーション部の責任者に着任。
キャリアアップに使える英語力はTOEIC L&R で言うとどれくらいのスコア?
「ビジネスで使える英語力」といっても、その目的や場面などによってさまざまです。IIBCは、TOEIC Testsを採用基準に用いている企業や受験者への調査を行っており、その結果にもとづいて解説します。2022年の調査では、「『履歴書・職務経歴書・社内のプロフィール等に記載してもいい』と思う『TOEIC L&R』のスコア」を求職者に聞いたところ、「700点以上」と答えた人が最多となりました。一方で、採用を担当する人事側に「実際に評価するスコア」を尋ねたところ、中央値は「600点以上」となり、応募する側と評価する側で100点ほどの開きがありました。つまり、企業では高得点獲得者への評価はもちろんのことですが、中級者~上級者に入り始めたくらいのスコアからでも評価されているともいえる結果となったのです。
実際に英語を実務で必要としている企業の人事担当者は、「(もちろんスコアが高いことは評価するものの)たとえスコアが高くなくても、自分の現在の英語力を把握した上で、目標を決めて学習を行い、どういう成長をしていきたいという意識があれば一定の評価をすることもあります」と話していました。
キャリアアップを考えた時に必要な英語力とは?
「英語力」にもListening、Readingといったインプットの技能と、Speaking、Writingのようなアウトプットの技能を合わせて「英語4技能」と呼び、これらの技能をバランスよく身につけていることが望ましいといえます。また、ビジネスにおいては、シチュエーションに応じたコミュニケーションや、相手の文化背景に合わせて、知識としての英語を使いこなせるかといった点も重要になります。実際、調査でも「人事担当者が最も評価したいもの」を聞いたところ、「『TOEIC L&R』において高いスコア(8割以上)を取得している」が27%だったのに対して、「『TOEIC L&R』『TOEIC S&W』の両方で平均以上(6割~7割)のスコアを取得している」が45%と、4技能全体でスコアを持っていることが評価されるという結果も見られました。TOEIC S&Wはそれぞれ0~200点となっています。TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2024からTOEIC S&W公開テスト受験者の平均スコアがSpeaking約130点、Writing約140点のため、まずはこの辺りを目指すと良いと思います。
キャリアアップを考えた時に効果的な勉強法とは?
英語力を身につけるためにはインプットとアウトプット両方の練習が大事です。なぜなら、インプットの実力以上にアウトプットの実力が伸びることは基本的にはなく、例えば英単語などの基礎をおろそかにして英会話だけを練習していてもいずれ伸び悩んでしまうケースが多いからです。特にキャリアアップを意識した場合には、日常やビジネスで使うことを想定して勉強する必要があります。TOEIC Testsの問題は、日常やビジネスでよくあるシーンから作成されているため、TOEIC Testsの題材を徹底的に活用して学習することが効果的です。その際、ただ解けばいいというよりは、リスニングの問題をシャドウイングしてみたり、リーディングの問題をディクテーションしてみたりして、反復練習を重ねることで、自然と使える英語力が身に付いていくでしょう。
企業がTOEIC Testsのスコアを採用基準に用いている理由
TOEIC Testsのスコアが企業で採用や人事の基準として扱われている理由には、大きく二つあると思います。まず、日常やビジネスの場面から作成されている問題であるため、実務との親和性が高いという点が挙げられます。次に、企業だけでなく官公庁、自治体、大学など、約3000団体で使われているという点が評価されているのだと考えています。キャリアに英語を活かすためにはどのような頻度でTOEIC Testsを受けるべき?
英語力も体力測定や健康診断と一緒で、定期的に測定し、維持や改善に努めることが必要です。そのため、TOEIC Testsを定期的に受験し、英語力の変化を把握することが大事だと思います。少なくとも年に一回は受験して最新のスコアを自分で知っておいた方がいいでしょう。その際、ただやみくもに受験するよりは、何らかの目標値を持って取り組んだ方が効果的です。モチベーションを保ち続けるためにも、例えば洋楽を聴きとる、洋書や洋画を翻訳・字幕なしで見るなど、趣味を活かした目標作りをすると身が入りやすいといえます。また、TOEIC Testsは合否ではなくスコアで評価が出るということもポイントの一つです。常に最新の英語力の状況が数値として把握できるので、これまでと比べてどれくらい上がったのか下がったのかが一目瞭然で、現在のキャリアにも今後のキャリアステップにも生かしやすいといえます。(国際ビジネスコミュニケーション協会・髙津 誠)
■Profile
髙津 誠
大手旅行代理店勤務を経て、日本企業の国際化に貢献するために国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)に入団。法人営業、プロモーション責任者を歴任後、2024年度からTOEIC Program公開テストに関するプロモーション部の責任者に着任。