まだ世にスパイスカレーなんて言葉も浸透しておらず、キーマという単語すら一般に知られていない時代。2006年、『ゴヤクラ』は開店した。店主の西川直さんは、飲食店勤めの経験がなかったにもかかわらず、独学でカレーを作り続け、ついに「激辛チキンキーマ」という新ジャンルを確立させたのだ。
ハバネロを主体に、シナモンより香りが強いカシア、クローブ、マスタードシードなどのスパイスを利かせ、ゴロッゴロの鶏挽肉で食感を主張したカレー。鶏肉は決まった肉屋から仕入れ、自分で粗挽きにする。国産の朝びきだという。
激辛というから覚悟して食べるが、1口目は「…?そんなでもないな」。2口目、3口目と匙を進めるにつれ、ジッワーと辛みが来る。単なる唐辛子の辛さというより「色んなスパイスの集団が複雑な辛さと香りを一体化させて襲ってきている」と表現したほうが良い。辛い!というより旨辛い!と叫びたくなる。
こんなに手間をかけて作るカレーが700円なんておかしいですよと言ったら、「原価計算してないんです!」と笑っていた。おいしいカレーを作る一心だけで生きていて、試作に夢中になりすぎて徹夜することもしばしばあるそうだ。
西川さんには弟子がいる。『ゴヤクラ』の味に惚れて弟子入り志願した人々も多く、現在残っている門下店は『北浜 丁子』と『七日カリー』のみ。弟子の2店にも取材に伺ったが、どちらの店主も西川さんを神のようにリスペクトしていた。人生の全てを教わった、あの人を超えることなんてできない…等々。
『ゴヤクラ』は男性のファンが多いが、なんかこう、「仁義!」「男気!」みたいのが溢れているからなのだと思う。カレー業界の二郎のように、常連だけが知っている「暗号」が存在するのも男ゴコロをくすぐるのだろう。
ちなみに…。
その暗号の一つ、「鬼辛」と呼ばれる期間限定の超激辛カレーも一口味見させていただいた。「私、辛いの得意なんです~」とほざいた自分をしばきたいほど、瀕死レベルの辛さだった。
『和レー屋 南船場ゴヤクラ』
住所/大阪府大阪市中央区南船場1-7-8
※こちらの記事は、関西の食のwebマガジン「あまから手帖Online」がお届けしています。
あまから手帖Online=https://www.amakaratecho.jp/
ハバネロを主体に、シナモンより香りが強いカシア、クローブ、マスタードシードなどのスパイスを利かせ、ゴロッゴロの鶏挽肉で食感を主張したカレー。鶏肉は決まった肉屋から仕入れ、自分で粗挽きにする。国産の朝びきだという。
激辛というから覚悟して食べるが、1口目は「…?そんなでもないな」。2口目、3口目と匙を進めるにつれ、ジッワーと辛みが来る。単なる唐辛子の辛さというより「色んなスパイスの集団が複雑な辛さと香りを一体化させて襲ってきている」と表現したほうが良い。辛い!というより旨辛い!と叫びたくなる。
店主は不愛想で塩対応…?
ところで西川さん、初めて行くとぶっきらぼうで話しかけづらい。この人に取材申し込むの怖いなあと内心思いながら恐る恐る声をかけたら、初見の印象とは180度違って超フレンドリーだった。こんなに手間をかけて作るカレーが700円なんておかしいですよと言ったら、「原価計算してないんです!」と笑っていた。おいしいカレーを作る一心だけで生きていて、試作に夢中になりすぎて徹夜することもしばしばあるそうだ。
西川さんには弟子がいる。『ゴヤクラ』の味に惚れて弟子入り志願した人々も多く、現在残っている門下店は『北浜 丁子』と『七日カリー』のみ。弟子の2店にも取材に伺ったが、どちらの店主も西川さんを神のようにリスペクトしていた。人生の全てを教わった、あの人を超えることなんてできない…等々。
『ゴヤクラ』は男性のファンが多いが、なんかこう、「仁義!」「男気!」みたいのが溢れているからなのだと思う。カレー業界の二郎のように、常連だけが知っている「暗号」が存在するのも男ゴコロをくすぐるのだろう。
ちなみに…。
その暗号の一つ、「鬼辛」と呼ばれる期間限定の超激辛カレーも一口味見させていただいた。「私、辛いの得意なんです~」とほざいた自分をしばきたいほど、瀕死レベルの辛さだった。
『和レー屋 南船場ゴヤクラ』
住所/大阪府大阪市中央区南船場1-7-8
※こちらの記事は、関西の食のwebマガジン「あまから手帖Online」がお届けしています。
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