マイナンバーカードの「かざし利用」について、生活はどう変わる?
「かざし利用」の課題
電子証明書を使った「かざし利用」については、今まで法で明確に定められたルールがなかったため、自治体によって運用の仕方がバラバラであった。例えば、ある自治体では、マイナンバーカードと図書館カードの紐付けの時にだけ、本人にPIN(4桁の暗証番号)を入力させ、以降、図書の貸出、返却の際には、PIN入力なしでマイナンバーカードをかざすだけという自治体もあれば、最初の紐付け登録から、貸出、返却のすべてでPIN入力を必要とする自治体、最初から最後までPIN入力は一切不要にしている自治体など運用ルールはさまざまだった。
法改正で明確に 「かざし利用」の運用ルール
人によっては、利用ごとのPIN入力が利便性を大きく下げる要因ともなり、マイナンバーカード利活用の妨げにもなりかねない。なので、PIN入力の回数を最小限にし、カードをかざすだけで本人確認に使えるよう法的根拠を整えたのが、今回の公的個人認証法の改正である。今回の法改正により、「市民カード化構想」の「暗証番号なしでのマイナンバーカード利用」、すなわちマイナンバーカードの「かざし利用」のシーンが今後増えてくることと思われる。
スマホでも「かざし利用」ができるのか
マイナンバーカードの「かざし利用」を増やすには、使用者側の利便性を高める必要がある。しかし、持ち物が増えてしまうことを不便だと感じる人もいるかもしれない。普段持ち歩いているスマホで「かざし利用」ができるようになれば利便性が向上し、活用の場が広がるのではないだろうか。23年5月より、Androidのスマホには、マイナンバーカードと同じ電子証明書を搭載できるようになった。PIN入力以外でも、スマホに登録した生体情報で本人確認ができるのが特徴だ。
電子証明書が搭載されたスマホがあれば、それだけでマイナポータルにログインできるし、コンビニのキオスク端末で住民票などを取得できる。しかし、コンビニでキオスク端末に「かざし利用」する際には、かざした先の端末へのPIN入力が必須になる。
来春にはiPhoneへの電子証明書を含むマイナンバーカード機能の搭載が決まった。Apple社のサイトには、以下のように記載がある。
「利用者は、ウォレットを開いて自分のマイナンバーカードを選択し、iPhoneのサイドボタンをダブルクリックしてFace IDまたはTouch IDで認証し、非接触IDカードリーダーに自分のiPhoneをかざすだけで、対面で身分証明書を提示できます。利用場面によっては、カードリーダーでの読み取りの際に追加の認証ステップが必要になる場合があります。」
iPhoneに搭載された電子証明書の「かざし利用」の仕方として、Face IDやTouch IDなどで本人確認が済めば、あとは「かざす」だけで良くなるのか、それともAndroidスマホの現在の仕様と同じく、かざした後にPIN入力が必要になるのか、現在、デジタル庁とApple社が協働し、検討しているようだ。